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第5話 不本意な作戦決行
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一通り視察を終え、一日があっという間に終わった。
私はずっと畑でいたけれど、途中シオン様は街の様子も確認していて忙しそうだった。
この領地の街は、王都まではいかないけれど、それなりに栄えている。
前当主がこだわった街作りで、畑で採れたものをすぐに売り場に出せるように市場を畑から一番近いところにしたり、農作業で疲れた領民が疲れを癒せるように、湯浴み施設なんかも作られている。
旅の途中でこの街に寄る人も多いため、宿やご飯屋も充実している。
美味しい作物を使った料理が旅人の間で噂になったりもして、領地としての収入は安定していた。
その分、シオン様はとても忙しいのだけれど。
「今回もお疲れ様でした」
「ティアもお疲れ様。ありがとう」
邸宅に戻り、ひと息つく。
野菜がたっぷり入ったポトフをいただいたので、それと街で買ったパンを夕食として食べることにした。
ポトフを温め直し、パンと一緒にテーブルに並べる。
シオン様と向かい合い食べ始めるが、普段はマシューさんや料理長がいるので、二人きりの空間はなんだか張りつめているように感じる。
それでも、ポトフを口に入れた瞬間、野菜の旨味と優しいスープの味に自然と頬が緩む。
「美味しいですね」
顔を上げると、シオン様がパンをちぎりながら言った。
「なんだか……」
「はい?」
「質素だよね」
たしかに王都の邸宅ではいつも料理長が豪勢な食事を出してくれる。
でも、領地にきたときはいつもこれくらいの食事だったので気にしていなかった。
もしかしたらずっと質素だと思っていた?!
「す、すみません! 街で何か買ってきます」
急いで立ち上がり買いに出ようとしたけれど、腕を掴まれ止められた。
「いや、ごめん。買ってきて欲しいわけじゃないんだ」
「ですが、やはりこれだけでは物足りませんよね……」
「違うんだ。昔のことを思い出して――」
シオン様はポツリと幼い頃の話をし始めた。
先々代の当主までは、領地に来るときも料理人や執事、メイドなどの使用人たちも連れてきて、王都にいるときと同じ生活ができるようにしていたそうだ。
けれど、シオン様のお父様が当主になってからは一切それをやめた。
領地でいるときは、領民と同じような生活をしようと家族だけでやってくるようになった。
お母様は、領地で採れた作物をご自身で調理し、三人で食卓を囲んでいたそうだ。
「家族三人でゆっくり過ごす時間が好きだったんだ。母の作る料理もとても美味しくてね。僕に料理ができたら良かったんだけど」
「あの、よろしければ私が何かお作りしましょうか?」
「え……いいの?」
「お口に合うかはわかりませんが」
公爵家に嫁いで来てからはやらなくなったけれど、実家でいたころはよく料理をしていた。
私はキッチンに立つ。
料理をする予定ではなかったのであまり材料はない……。
あるのは、畑でもらった野菜たち。
ヘルシーなものばかりになっちゃうな。
キッチンにあるものを一通り見回す。
よし、決めた。
ボウブラをトロトロになるまでふかし、しっかりと裏ごしをする。
香辛料で味をつけ丸く形を整えたら、パンを削った粉を付けて油であげていく。
……あれ? もしかして、これはチャンスなのでは?
不味いものを出せばシオン様をがっかりさせることができる。
いやでも、せっかくの思い出の時間を台無しにすることはできない。
ここは普通に私の料理の腕を振るおう。
離縁作戦は別のときでもいいのだから。
ボウブラの衣揚げ。シンプルだけど、ボリュームのある一品だ。
実家ではボウブラではなくジャガイモで作っていた。ジャガイモよりも甘味が増して美味しいはず。
あまり待たせてもいけないのでこれだけしか作れなかったけれど、けっこう自信がある。
シオン様にどうぞ、と差し出し、私もテーブルにつく。
手料理を振る舞うのは初めてなので緊張する。
シオン様は一口食べると、そのまま手を止めた。
フォークを持った手は震えている。
え? どうかしたの?
顔を見ると、口をギュッと噤んでいて目には涙が浮かんでいる。
ええ?! どうして?! そんなに不味かった?
シオン様なら美味しくなくても美味しいと言いそうなものだけれど。
涙を堪えないといけないほど不味かったの?!
私は自分でも食べてみた。
うん。美味しい。上手くできている。
なのに、なんで?
「シオン様、お口に合いませんでしたか?」
「……いや」
震える声でそう否定しただけだった。
やっぱり、美味しくないんだ。
もしかしたらシオン様は味覚がずれているのかもしれない。
苦茶も美味しいと言っていたし。
私が美味しいと感じるものを出したほうが効果があるのかもしれないな。
思わぬ形で作戦を決行してしまった。
それにしても、そんなに我慢して食べなくてもいいのに。
「シオン様、無理に食べなくてもいいですからね」
「全部いただくよ。ありがとう……」
頑張って完食してくれるあたり、やっぱりシオン様は優しい人だ。
◇ ◇ ◇
一日を終え、ティアと共にベッドに入る。
王都の邸宅のベッドよりも少し狭く、距離が近い。
でも、触れたくなるのを堪えるため、いつものようにできるだけ離れて目を瞑る。
彼女が僕のことを好きになってくれるまで手は出さない決めている。好きでもない男に手を出されるほど嫌なことはないだろう。
僕は彼女が嫌がるようなことはしたくない。
『シオン様が私を見初めたわけではないのです――』
今朝、畑で僕の言葉を遮るように否定したティア。
僕の想いなど何ひとつ伝わっていないと実感する。
いや、僕の想いなんて迷惑にすぎないのかもしれない。
それでも、僕は彼女を離してあげることはできない。
夕食時、ボウブラの衣揚げを作ってくれたときは驚いた。
母の作ってくれたものとよく似ていたから。
美味しくて、温かくて、懐かしくて、涙を堪えるのに必死で口数が少なくなってしまった。
「ティア、起きてる?」
「はい。なんでしょう?」
「今日もありがとう」
「いえ、グラーツ家の妻として当たり前のことですから」
グラーツ家の妻か……。
僕の、妻なんだけどな……。
私はずっと畑でいたけれど、途中シオン様は街の様子も確認していて忙しそうだった。
この領地の街は、王都まではいかないけれど、それなりに栄えている。
前当主がこだわった街作りで、畑で採れたものをすぐに売り場に出せるように市場を畑から一番近いところにしたり、農作業で疲れた領民が疲れを癒せるように、湯浴み施設なんかも作られている。
旅の途中でこの街に寄る人も多いため、宿やご飯屋も充実している。
美味しい作物を使った料理が旅人の間で噂になったりもして、領地としての収入は安定していた。
その分、シオン様はとても忙しいのだけれど。
「今回もお疲れ様でした」
「ティアもお疲れ様。ありがとう」
邸宅に戻り、ひと息つく。
野菜がたっぷり入ったポトフをいただいたので、それと街で買ったパンを夕食として食べることにした。
ポトフを温め直し、パンと一緒にテーブルに並べる。
シオン様と向かい合い食べ始めるが、普段はマシューさんや料理長がいるので、二人きりの空間はなんだか張りつめているように感じる。
それでも、ポトフを口に入れた瞬間、野菜の旨味と優しいスープの味に自然と頬が緩む。
「美味しいですね」
顔を上げると、シオン様がパンをちぎりながら言った。
「なんだか……」
「はい?」
「質素だよね」
たしかに王都の邸宅ではいつも料理長が豪勢な食事を出してくれる。
でも、領地にきたときはいつもこれくらいの食事だったので気にしていなかった。
もしかしたらずっと質素だと思っていた?!
「す、すみません! 街で何か買ってきます」
急いで立ち上がり買いに出ようとしたけれど、腕を掴まれ止められた。
「いや、ごめん。買ってきて欲しいわけじゃないんだ」
「ですが、やはりこれだけでは物足りませんよね……」
「違うんだ。昔のことを思い出して――」
シオン様はポツリと幼い頃の話をし始めた。
先々代の当主までは、領地に来るときも料理人や執事、メイドなどの使用人たちも連れてきて、王都にいるときと同じ生活ができるようにしていたそうだ。
けれど、シオン様のお父様が当主になってからは一切それをやめた。
領地でいるときは、領民と同じような生活をしようと家族だけでやってくるようになった。
お母様は、領地で採れた作物をご自身で調理し、三人で食卓を囲んでいたそうだ。
「家族三人でゆっくり過ごす時間が好きだったんだ。母の作る料理もとても美味しくてね。僕に料理ができたら良かったんだけど」
「あの、よろしければ私が何かお作りしましょうか?」
「え……いいの?」
「お口に合うかはわかりませんが」
公爵家に嫁いで来てからはやらなくなったけれど、実家でいたころはよく料理をしていた。
私はキッチンに立つ。
料理をする予定ではなかったのであまり材料はない……。
あるのは、畑でもらった野菜たち。
ヘルシーなものばかりになっちゃうな。
キッチンにあるものを一通り見回す。
よし、決めた。
ボウブラをトロトロになるまでふかし、しっかりと裏ごしをする。
香辛料で味をつけ丸く形を整えたら、パンを削った粉を付けて油であげていく。
……あれ? もしかして、これはチャンスなのでは?
不味いものを出せばシオン様をがっかりさせることができる。
いやでも、せっかくの思い出の時間を台無しにすることはできない。
ここは普通に私の料理の腕を振るおう。
離縁作戦は別のときでもいいのだから。
ボウブラの衣揚げ。シンプルだけど、ボリュームのある一品だ。
実家ではボウブラではなくジャガイモで作っていた。ジャガイモよりも甘味が増して美味しいはず。
あまり待たせてもいけないのでこれだけしか作れなかったけれど、けっこう自信がある。
シオン様にどうぞ、と差し出し、私もテーブルにつく。
手料理を振る舞うのは初めてなので緊張する。
シオン様は一口食べると、そのまま手を止めた。
フォークを持った手は震えている。
え? どうかしたの?
顔を見ると、口をギュッと噤んでいて目には涙が浮かんでいる。
ええ?! どうして?! そんなに不味かった?
シオン様なら美味しくなくても美味しいと言いそうなものだけれど。
涙を堪えないといけないほど不味かったの?!
私は自分でも食べてみた。
うん。美味しい。上手くできている。
なのに、なんで?
「シオン様、お口に合いませんでしたか?」
「……いや」
震える声でそう否定しただけだった。
やっぱり、美味しくないんだ。
もしかしたらシオン様は味覚がずれているのかもしれない。
苦茶も美味しいと言っていたし。
私が美味しいと感じるものを出したほうが効果があるのかもしれないな。
思わぬ形で作戦を決行してしまった。
それにしても、そんなに我慢して食べなくてもいいのに。
「シオン様、無理に食べなくてもいいですからね」
「全部いただくよ。ありがとう……」
頑張って完食してくれるあたり、やっぱりシオン様は優しい人だ。
◇ ◇ ◇
一日を終え、ティアと共にベッドに入る。
王都の邸宅のベッドよりも少し狭く、距離が近い。
でも、触れたくなるのを堪えるため、いつものようにできるだけ離れて目を瞑る。
彼女が僕のことを好きになってくれるまで手は出さない決めている。好きでもない男に手を出されるほど嫌なことはないだろう。
僕は彼女が嫌がるようなことはしたくない。
『シオン様が私を見初めたわけではないのです――』
今朝、畑で僕の言葉を遮るように否定したティア。
僕の想いなど何ひとつ伝わっていないと実感する。
いや、僕の想いなんて迷惑にすぎないのかもしれない。
それでも、僕は彼女を離してあげることはできない。
夕食時、ボウブラの衣揚げを作ってくれたときは驚いた。
母の作ってくれたものとよく似ていたから。
美味しくて、温かくて、懐かしくて、涙を堪えるのに必死で口数が少なくなってしまった。
「ティア、起きてる?」
「はい。なんでしょう?」
「今日もありがとう」
「いえ、グラーツ家の妻として当たり前のことですから」
グラーツ家の妻か……。
僕の、妻なんだけどな……。
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