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第6話 シオンの嫉妬
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領地視察から戻ってきた翌朝、帰ってきたばかりだというのに、シオン様は変わらず稽古を行っている。
クラウド様はいつも騎士団の制服を着ているけれど、今は私服姿なので今日はお仕事がお休みなのかもしれない。
私はいつものように部屋の窓からじっとお二人を見ていた。
するとシオン様がどこかへ行き、木箱を抱えて戻ってきた。
中には領地から持ってきた野菜がたくさん入っている。クラウド様は野菜を受け取り、嬉しそうに笑っている。
本当に仲が良いなぁ。いつまでも見ていられる。
こうして見ていると、やっぱり私は邪魔者だと感じるな……。
なんてしていたら、私も仕事の時間になった。
急いで身支度をして、調合室へと向かう。
新しい肥料はボウブラには合っていたけれど、ビーツにはだめだった。
やっぱり野菜の種類にそれぞれ合ったものを作らないといけないな。
いろいろ考えながら、試作品ができあがった。
試作品を持って、庭にある小さな畑へと行く。小さいといっても、畝が十列ほどあり、庭にある畑にしては随分と広さがある。
その中のビーツの畝に試作品の肥料を撒く。
「これでどうなるか様子をみていこう」
成長魔法をかけてすぐに反応をみたいところだけど、そんなことをしても意味がない。
気長に見守るしかないのだ。
「今日できることは終わったし、お楽しみの時間としますか!」
私は一冊の本を持って、畑と中庭の間にある、大きな欅の木陰に座る。
幹にもたれかかり、栞を挟んだページを開く。
『囚われの王子と魔法使い』
敵国に囚われた王子を、魔法使いの幼馴染が助けにいくというお話。
今は敵国の城に幼馴染が潜り込み、王子と再会したシーンだ。
『なんで、お前がここに?!』
『助けに来たに決まってるだろ』
『危ないから早く逃げて』
『お前を置いていくわけないだろ。俺にはお前が必要なんだから――』
はぁ、尊い……。
身分差がありながらもお互いを必要とし合い、困難を乗り越え心を通わせていく。
元々、男性同士の恋愛が好きだったわけではないが、シオン様とクラウド様を見て、興味を持った。
そしてもっとより深く知りたいと思い小説を読みはじめ――はまってしまった。
「僕だって、お前のことが――」
「っ!!!!」
突然次のセリフを読み上げられ、心臓が跳ねる。
振り返ると、クラウド様がいた。
「ク、クラウド様、どうされたのですか?!」
「なんか真剣に読んでるから、何読んでんのかと思って。それって、男同士のやつなのか?」
「え?! あ、いや……」
クラウド様って、こういうところがあるんだよな。
学園時代から、気になることはなんでも聞く。
あっさりしたところは悪くないんだけど、今は困る。
「ちょっと見せてくれよ」
そう言って本に手を伸ばしてきた。
その動きは素早く、あっという間に私の手から抜き取られる。
だめー!!
「きゃぁっ」
取り戻そうとした瞬間、躓いた。
けれどもクラウド様に抱きとめられ、倒れ込むことはなかった。
「ねえ、何やってるの」
「あ、シオン」
「シオン様……」
なぜか息が切れているシオン様。声は低く、目が鋭い。
怒ってる?
私たちを見るその顔には、いつもの貼り付けたような笑顔すらない。
これは、怒っている。
私はクラウド様の手からスッと本を抜き取り背中に隠した。
この本を見られて、余計に怒らせたくない。
「別に、なにもしてないけど」
私の気持ちを汲んでくれたのか、誤魔化してくれた。
「言えないことしてたんだ。さっき抱き合ってたの見たけど」
「はあ? 抱き合ってなんかない。たまたま見かけたティア嬢が転びそうになったから支えただけだよ」
同意するように、私も大きく頷いた。
でも、シオン様はまだ不満気にこちらを見ている。
嫉妬、してるんだよね。ごめんなさい。クラウド様とは本当に何もありません。
口に出して謝りたいけれど、二人は関係を隠しているから言えない。
「でもまあ、不慮の事故だったとはいえ、勘違いさせることして悪かったよ。お前という相手がいるのに軽率だった」
っ?! え?! ええ?!
今、お前という相手がいるのにって言った?!
シオン様という相手がいながら私と抱き合うようなことになってごめんってことだよね?!
それってもう、二人は関係を私に認めるということ?!
クラウド様の方を見ながら驚いていると、シオン様は小さくため息を吐いた。
「僕の方こそむきになってごめん。この話は終わりにしよう」
これは……秘密にしておきたいということだろうか。
この話には触れないでくれっていうことだよね?
クラウド様は公にしてもいいけど、シオン様は隠していたい、といったところか。
覚えておこう。
「ティア、戻ろう」
「はい……」
「クラウド、休みの日に付き合ってくれてありがとう。さっさと帰ってね」
「はいはい、さっさと帰りますよー」
シオン様、クラウド様への当たりが強いな。
やっぱり怒っているのだろうか。
私のせいで、二人の仲がこじれてしまうのは申し訳ない。
屋敷へ戻りながら、謝罪した。
「シオン様、すみませんでした」
「悪いことしたと思ってるの?」
「はい、今後は気を付けます」
「そうしてくれると、嬉しいな」
やっぱり、クラウド様と私が親しくしてるのは嫌だったよね。
嫉妬する姿がなんだか可愛いと思ってしまったのは秘密にしておこう。
クラウド様はいつも騎士団の制服を着ているけれど、今は私服姿なので今日はお仕事がお休みなのかもしれない。
私はいつものように部屋の窓からじっとお二人を見ていた。
するとシオン様がどこかへ行き、木箱を抱えて戻ってきた。
中には領地から持ってきた野菜がたくさん入っている。クラウド様は野菜を受け取り、嬉しそうに笑っている。
本当に仲が良いなぁ。いつまでも見ていられる。
こうして見ていると、やっぱり私は邪魔者だと感じるな……。
なんてしていたら、私も仕事の時間になった。
急いで身支度をして、調合室へと向かう。
新しい肥料はボウブラには合っていたけれど、ビーツにはだめだった。
やっぱり野菜の種類にそれぞれ合ったものを作らないといけないな。
いろいろ考えながら、試作品ができあがった。
試作品を持って、庭にある小さな畑へと行く。小さいといっても、畝が十列ほどあり、庭にある畑にしては随分と広さがある。
その中のビーツの畝に試作品の肥料を撒く。
「これでどうなるか様子をみていこう」
成長魔法をかけてすぐに反応をみたいところだけど、そんなことをしても意味がない。
気長に見守るしかないのだ。
「今日できることは終わったし、お楽しみの時間としますか!」
私は一冊の本を持って、畑と中庭の間にある、大きな欅の木陰に座る。
幹にもたれかかり、栞を挟んだページを開く。
『囚われの王子と魔法使い』
敵国に囚われた王子を、魔法使いの幼馴染が助けにいくというお話。
今は敵国の城に幼馴染が潜り込み、王子と再会したシーンだ。
『なんで、お前がここに?!』
『助けに来たに決まってるだろ』
『危ないから早く逃げて』
『お前を置いていくわけないだろ。俺にはお前が必要なんだから――』
はぁ、尊い……。
身分差がありながらもお互いを必要とし合い、困難を乗り越え心を通わせていく。
元々、男性同士の恋愛が好きだったわけではないが、シオン様とクラウド様を見て、興味を持った。
そしてもっとより深く知りたいと思い小説を読みはじめ――はまってしまった。
「僕だって、お前のことが――」
「っ!!!!」
突然次のセリフを読み上げられ、心臓が跳ねる。
振り返ると、クラウド様がいた。
「ク、クラウド様、どうされたのですか?!」
「なんか真剣に読んでるから、何読んでんのかと思って。それって、男同士のやつなのか?」
「え?! あ、いや……」
クラウド様って、こういうところがあるんだよな。
学園時代から、気になることはなんでも聞く。
あっさりしたところは悪くないんだけど、今は困る。
「ちょっと見せてくれよ」
そう言って本に手を伸ばしてきた。
その動きは素早く、あっという間に私の手から抜き取られる。
だめー!!
「きゃぁっ」
取り戻そうとした瞬間、躓いた。
けれどもクラウド様に抱きとめられ、倒れ込むことはなかった。
「ねえ、何やってるの」
「あ、シオン」
「シオン様……」
なぜか息が切れているシオン様。声は低く、目が鋭い。
怒ってる?
私たちを見るその顔には、いつもの貼り付けたような笑顔すらない。
これは、怒っている。
私はクラウド様の手からスッと本を抜き取り背中に隠した。
この本を見られて、余計に怒らせたくない。
「別に、なにもしてないけど」
私の気持ちを汲んでくれたのか、誤魔化してくれた。
「言えないことしてたんだ。さっき抱き合ってたの見たけど」
「はあ? 抱き合ってなんかない。たまたま見かけたティア嬢が転びそうになったから支えただけだよ」
同意するように、私も大きく頷いた。
でも、シオン様はまだ不満気にこちらを見ている。
嫉妬、してるんだよね。ごめんなさい。クラウド様とは本当に何もありません。
口に出して謝りたいけれど、二人は関係を隠しているから言えない。
「でもまあ、不慮の事故だったとはいえ、勘違いさせることして悪かったよ。お前という相手がいるのに軽率だった」
っ?! え?! ええ?!
今、お前という相手がいるのにって言った?!
シオン様という相手がいながら私と抱き合うようなことになってごめんってことだよね?!
それってもう、二人は関係を私に認めるということ?!
クラウド様の方を見ながら驚いていると、シオン様は小さくため息を吐いた。
「僕の方こそむきになってごめん。この話は終わりにしよう」
これは……秘密にしておきたいということだろうか。
この話には触れないでくれっていうことだよね?
クラウド様は公にしてもいいけど、シオン様は隠していたい、といったところか。
覚えておこう。
「ティア、戻ろう」
「はい……」
「クラウド、休みの日に付き合ってくれてありがとう。さっさと帰ってね」
「はいはい、さっさと帰りますよー」
シオン様、クラウド様への当たりが強いな。
やっぱり怒っているのだろうか。
私のせいで、二人の仲がこじれてしまうのは申し訳ない。
屋敷へ戻りながら、謝罪した。
「シオン様、すみませんでした」
「悪いことしたと思ってるの?」
「はい、今後は気を付けます」
「そうしてくれると、嬉しいな」
やっぱり、クラウド様と私が親しくしてるのは嫌だったよね。
嫉妬する姿がなんだか可愛いと思ってしまったのは秘密にしておこう。
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