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会計を済ませて店を出ようとすると、牧が表まで見送りに来てくれた。
「うまかったよ。ありがとうな」
「こちらこそ来ていただいて。ありがとうございました」
「酒もうまかったよ。最近缶ビールばっか飲んでたから」
ははは、と牧は笑って目を細くした。
「また飲みに行きたいですね」
そうだな、と裕司が返すと、ふと牧の視線が流れて、裕司の半歩後ろにいた良に向いた。
「……ごちそうさまでした」
ぎこちない調子で良は言って、小さく頭を下げた。それに牧は笑みを深くする。
「美味しそうに召し上がってくれたんでよかったです。またぜひ来てください」
良は明らかに人見知りした様子ではにかんで、はっきりとした返事をしなかった。良のそんな顔を見たのは久しぶりで、裕司は懐かしいものを見たような気持ちになる。
牧に見送られて駅に向かう道すがら、良は緊張が解けたというふうに長く息を吐いた。
「お前、そんなに人見知りだったか?」
声を掛けると、良は唇を尖らせた。
「だって、あんたと仲いい人に会うとか今までなかったし」
「そりゃそうだが」
「俺のせいであんたのイメージとか悪くなったらヤだなって、俺だってちょっと考えたんだよ」
拗ねた子どものような口調で良は言い、しかしその言葉は裕司の胸をつくものがあった。
逆の立場だったなら、裕司も間違いなく同じことを考えただろう。良のパートナーとして自分がふさわしいかといえば、決してそうは思えない。第三者の目から見たときに、自分のせいで良の評価が下がることは大いにありえることだと思えたし、それは良の母親に関わるときにもずっと同じことを思っていた。
「……良」
夜道が暗いのを幸いと、裕司は良の手に触れる。それでもそれを握り締める勇気はなかった。
「ありがとうな、色々気にしてくれて」
良はぱちぱちと瞬いて、そして気恥ずかしそうにふいと目を背けた。
「……気にはしたけど、俺、愛想悪かっただけでしょ」
「そんなことないよ」
「うそだあ」
渋い顔をする良に、ほんとだって、と裕司は苦笑した。
「お前はぴんと来ないだろうけど、お前ぐらいの歳のやつが人見知りしながら挨拶とかしようとしてるのって、俺らみたいないい歳の大人からしたら可愛く見えるんだよ。一生懸命なのが全部可愛く見えるんだ」
良は複雑そうな目で裕司を見て、ぼそりと言った。
「……それも若者の特権?」
「そうだよ。俺みたいなオッサンが人見知りしてても気持ち悪いだけだろ」
良は何を想像したのか、小さく失笑して顔を背けた。
「おい。こら、何笑ってんだ」
「ふふ、ごめん。……気ぃ遣ってくれてありがと」
裕司は一瞬言葉に詰まり、それから良の頭を撫でて、こっちの台詞だ、と返した。
良の口から自然と出てくるように聞こえる『ありがとう』という言葉は、彼にとって当たり前の言葉ではないのだと察しつつも、指摘するほどの確信を得られずにいた。
裕司に出会う前の良の生活は、感謝することにも感謝されることにも縁遠くて、誰のことも大切に思えなくてむなしかったと彼は言った。
その良が、最近では裕司に対して、日常の端々でありがとうと言うのは、決して無意識ではないのではないかと思う。
良の言葉はいつもどこか不器用で、ぎこちなくもあり、だからこそ彼の心根を伝えてくれるものだったが、感謝を述べたり謝罪をしたりする言葉──他人との関係性を維持していこうとする言葉は、ことさら言外ににじむ想いがあるように聞こえた。
うがちすぎだと思う自分もあったが、良は裕司の気持ちと存在を繋ぎとめる努力をしているのではないだろうか、と裕司は思う。
そうしなければ他人同士の暮らしなど成り立たないと言ったのは裕司だったが、良にはもっと、裕司がそばにいることを当然だと思ってほしかったし、そこにあぐらをかいてほしかった。
──ただの俺のわがままだ。
わかっていても、切なくなる気持ちは拭えなかった。良と暮らしていることをあえて牧に伝えたのも、簡単にそれを解消する気はないのだということを示したいだけだったのかもしれない、と今になって思った。
「……そういや、デザートはあれで足りたのか?」
思い付いた話題を振ってみると、良はぱっと裕司を見た。その目にすでに期待の色が見えて、裕司は笑ってしまう。
良は甘いものが好きだけれど、あれだけ食べておいてなおその食欲がなくならないのは、さすがの若さだと思うほかなかった。
「帰りにコンビニ寄っていくか」
言えば、良はさらに目を輝かせて頷いた。食べ物で釣るばかりでは芸がない、とも思いつつ、良のこの顔を見れば嬉しくなってしまうのはどうしようもなかった。
「そういえばさ、あんたんちかき氷作るやつある?」
裕司のシャツの裾を引いて、良はいきなりそんなことを訊いてきた。
「え? 氷削るやつか? ねえよそんなの」
「こないだスーパーで売ってたよ。全然安いんだねあれ。もっと暑くなったらうちでやらない? コンビニでアイス買うよりコスパいいよ」
こんなプレゼンをしてくるのは珍しいな、と思いながら、その楽しげな様子にはつい顔が緩んだ。
「いいけど、食いすぎて腹壊すなよ」
そんなのしたことないよ、と文句を言う良の肩を抱き寄せたくて、けれど駅前の明るさに、裕司はただ笑ってみせた。
「うまかったよ。ありがとうな」
「こちらこそ来ていただいて。ありがとうございました」
「酒もうまかったよ。最近缶ビールばっか飲んでたから」
ははは、と牧は笑って目を細くした。
「また飲みに行きたいですね」
そうだな、と裕司が返すと、ふと牧の視線が流れて、裕司の半歩後ろにいた良に向いた。
「……ごちそうさまでした」
ぎこちない調子で良は言って、小さく頭を下げた。それに牧は笑みを深くする。
「美味しそうに召し上がってくれたんでよかったです。またぜひ来てください」
良は明らかに人見知りした様子ではにかんで、はっきりとした返事をしなかった。良のそんな顔を見たのは久しぶりで、裕司は懐かしいものを見たような気持ちになる。
牧に見送られて駅に向かう道すがら、良は緊張が解けたというふうに長く息を吐いた。
「お前、そんなに人見知りだったか?」
声を掛けると、良は唇を尖らせた。
「だって、あんたと仲いい人に会うとか今までなかったし」
「そりゃそうだが」
「俺のせいであんたのイメージとか悪くなったらヤだなって、俺だってちょっと考えたんだよ」
拗ねた子どものような口調で良は言い、しかしその言葉は裕司の胸をつくものがあった。
逆の立場だったなら、裕司も間違いなく同じことを考えただろう。良のパートナーとして自分がふさわしいかといえば、決してそうは思えない。第三者の目から見たときに、自分のせいで良の評価が下がることは大いにありえることだと思えたし、それは良の母親に関わるときにもずっと同じことを思っていた。
「……良」
夜道が暗いのを幸いと、裕司は良の手に触れる。それでもそれを握り締める勇気はなかった。
「ありがとうな、色々気にしてくれて」
良はぱちぱちと瞬いて、そして気恥ずかしそうにふいと目を背けた。
「……気にはしたけど、俺、愛想悪かっただけでしょ」
「そんなことないよ」
「うそだあ」
渋い顔をする良に、ほんとだって、と裕司は苦笑した。
「お前はぴんと来ないだろうけど、お前ぐらいの歳のやつが人見知りしながら挨拶とかしようとしてるのって、俺らみたいないい歳の大人からしたら可愛く見えるんだよ。一生懸命なのが全部可愛く見えるんだ」
良は複雑そうな目で裕司を見て、ぼそりと言った。
「……それも若者の特権?」
「そうだよ。俺みたいなオッサンが人見知りしてても気持ち悪いだけだろ」
良は何を想像したのか、小さく失笑して顔を背けた。
「おい。こら、何笑ってんだ」
「ふふ、ごめん。……気ぃ遣ってくれてありがと」
裕司は一瞬言葉に詰まり、それから良の頭を撫でて、こっちの台詞だ、と返した。
良の口から自然と出てくるように聞こえる『ありがとう』という言葉は、彼にとって当たり前の言葉ではないのだと察しつつも、指摘するほどの確信を得られずにいた。
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その良が、最近では裕司に対して、日常の端々でありがとうと言うのは、決して無意識ではないのではないかと思う。
良の言葉はいつもどこか不器用で、ぎこちなくもあり、だからこそ彼の心根を伝えてくれるものだったが、感謝を述べたり謝罪をしたりする言葉──他人との関係性を維持していこうとする言葉は、ことさら言外ににじむ想いがあるように聞こえた。
うがちすぎだと思う自分もあったが、良は裕司の気持ちと存在を繋ぎとめる努力をしているのではないだろうか、と裕司は思う。
そうしなければ他人同士の暮らしなど成り立たないと言ったのは裕司だったが、良にはもっと、裕司がそばにいることを当然だと思ってほしかったし、そこにあぐらをかいてほしかった。
──ただの俺のわがままだ。
わかっていても、切なくなる気持ちは拭えなかった。良と暮らしていることをあえて牧に伝えたのも、簡単にそれを解消する気はないのだということを示したいだけだったのかもしれない、と今になって思った。
「……そういや、デザートはあれで足りたのか?」
思い付いた話題を振ってみると、良はぱっと裕司を見た。その目にすでに期待の色が見えて、裕司は笑ってしまう。
良は甘いものが好きだけれど、あれだけ食べておいてなおその食欲がなくならないのは、さすがの若さだと思うほかなかった。
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言えば、良はさらに目を輝かせて頷いた。食べ物で釣るばかりでは芸がない、とも思いつつ、良のこの顔を見れば嬉しくなってしまうのはどうしようもなかった。
「そういえばさ、あんたんちかき氷作るやつある?」
裕司のシャツの裾を引いて、良はいきなりそんなことを訊いてきた。
「え? 氷削るやつか? ねえよそんなの」
「こないだスーパーで売ってたよ。全然安いんだねあれ。もっと暑くなったらうちでやらない? コンビニでアイス買うよりコスパいいよ」
こんなプレゼンをしてくるのは珍しいな、と思いながら、その楽しげな様子にはつい顔が緩んだ。
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