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空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか? 4
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プロローグ 4
「つまりスキルとは[個人の体験や性質に影響されて発現する特殊な能力]と考えればよいのでしょうか?」
「概ねそう考えて頂いて結構です。魔法にしろスキルにしろ[精神感応エネルギ―粒子=魔力]にどれだけ大きな影響を与えるかは...多分に“使役者のイメージ”に依存しています。使役者が“より明確な意図”で“細緻に現象をイメージ”すれば、より“大きなエネルギー”を意図通りの“魔法・固有魔法”に込めて行使できます」
なるほど...今の僕にはそのイメージを投射する土台が“体内に構築されていない”からスキルのイメージがあっても行使出来ないのか...
「いくつか疑問点はありますが概ね理解しました。それではもう一つの重要問題について...転移時点で僕に迫っている危険について教えていただけますか?」
若干、話しにくそうな表情をして【神様】は切り出す。
「それは...お伝えできないのです」
やはりか...神様の態度からなんとなくそんな気がしていた。
「実は、私達にも未来を観測出来る様な力はありません。ただし、対象を絞れば周辺の事象と個々の資質、過去の膨大なデータベースを参考に〝未来予測演算プログラム〟が、ある程度正確な予測を行う事ができます。しかしその予測結果をもって事象に介入しようとした結果、予測結果よりも更に酷い事態を招くことが頻発しました。今回は緊急避難でしたが、本来“何かが起こる”という事を貴方に伝えるだけでも相当なリスクがあります」
なんとなくだが、知っている事によって起りうるパラドックスに大きく影響を受けるのかもしれない。
「分かりました。無理を言ってもしょうがありませんし、そもそも保護されている身の上ですしね...それで僕が帰還する為にしていただける“お手伝い”をお聞きしてもいいでしょうか?」
「承知いたしました。お手持ちのスマートフォンをこちらへ」
?どう考えても電話やインターネットが繋がる訳もなく、早晩バッテリー切れになるのが明確なのに、何をするというのか?
「このモバイルに、『貴方が一人立ちする為に役立つ知識』、護身の為に『自身で使用可能になるまでの魔法の代替行使機能』、『次元連結の捜索機能と連結先の調査機能』、『本体に電源供給する為のエネルギー変換アプリ』、『その他の“補助に必要な機能”を統括する双方向インターフェイス』をインストールします。その上でこちらの世界でも奇異に映らない形状に改造します」
...色々と突っ込みたいのを我慢して一つだけ疑問を口にする。
「親切な機能は大変ありがたいのですが...“事象への介入”には当たらないのですか?」
「...むしろこれらの機能を持つガジェットによって“貴方自身が及ぼすこの世界への影響”を『一定以下にリミットする』為に必要と考えています」
???説明の中にそんな機能があっただろうか?
「疑問はごもっともですが、直接見て頂いたほうが早いでしょう。インストールを開始します」
その言葉と同時に、どういったエフェクトかは分からないが、スマートフォンの画面が異常に光り出す。と、その光は画面以外の本体にまで浸食し始めた。さらに光は勢いを増し視認できる光量を超える。体感的には一分程度だと思うが...光が消えた時そこには...
「以後、よろしくお願い致します。主殿」
そこには、頭部の一本羽のみが白い、漆黒のフクロウがいた。大きさは鳩くらいで、その脇には小さなレンズが付いた見慣れない器具が転がっている。
「片眼鏡です。A R機能と私との双方向通信機能、各種機能の精神波による直接操作機能もあります。また主殿のスキルを一部応用して“条件指定”で位置固定しているため紛失したり激しく動いても外れることはありません。空間位相技術を応用して存在自体を半分別の空間に存在させることにより、特殊な条件を満たさない限り破壊も不可能です」
とんでもアーティファクトだな...
「油断して人に奪われない様にしないと、とんでもない事になりそうだな」
「万一にも奪われる事などないと思いますが・・・主殿以外にはただのモノクルとしての機能しかありませんし、私に命令して頂ければ即座に位相空間経由でお手元に引き戻せます」
さらりとまた...ナンチャッテSFチックなことを...そういえばどこかで〝十分に進んだ科学は既に魔法と区別できない。〟と聞いたことがあるが...
「まぁよろしく頼むよ。名前はあるのかい?」
「米国i社製モバイルフォン タイプ8 製造ナンバー16758...」
「ちょっと待ってくれ。それが名前では余りにも...別で愛称を付けても構わないか?」
「ご随意に...主殿手ずから新たな名を頂けるのに異存などございません。」
「うーんフクロウらしい名前なんて全く分からない...少ない知識からで申し訳ないけど“ミネルヴァ”でいいだろうか」
「光栄でございます。これよりこのミネルヴァ主殿の恩為に奮迅の働きを誓わせていただきます」
とりあえず、この先が分からない状況で頼もしい同伴者が出来たのはありがたい。
「無事にインストールが完了した様で安心しました。今後は彼女があなたの旅を支え導いてくれるでしょう。そして次元の運行に対して大きすぎる影響が現れそうな時は、大過ない結果に収束されるよう手助けしてくれます」
なるほどそういう事か...
「それでは保護空間にあなたを匿える時間も少なくなって来ました。これより貴方を保護前の空間に戻します。現実空間ではミネルヴァがあなたを守ってくれますので、取り急ぎは目前にせまる危難を凌いでください。ご自分の能力の詳細と次元連結の捜索方法は二人で相談して下さい。その為の機能と能力はあるはずです。しばらくは試行錯誤の連続で苦労される事になるかと思いますが...健勝と幸運があなたと共にあらんことを...」
正直なところ不安だらけだが...自然災害に巻き込まれたと考えれば、やり直しの機会を与えられただけで御の字なんだろう。
「お世話になりました」
モノクルを左目に装着し、右肩にミネルヴァが静かに舞い降りた。...改めて考えるとハンパない中二臭!で、たまらない気持ちになった。orz...
「準備が整ったら(あの言葉)を...」
柔らかな微笑みで促される。
「 ムーヴ!! 」
僕はこの世界に来て、初めて発した言葉を再び呟いた。
「つまりスキルとは[個人の体験や性質に影響されて発現する特殊な能力]と考えればよいのでしょうか?」
「概ねそう考えて頂いて結構です。魔法にしろスキルにしろ[精神感応エネルギ―粒子=魔力]にどれだけ大きな影響を与えるかは...多分に“使役者のイメージ”に依存しています。使役者が“より明確な意図”で“細緻に現象をイメージ”すれば、より“大きなエネルギー”を意図通りの“魔法・固有魔法”に込めて行使できます」
なるほど...今の僕にはそのイメージを投射する土台が“体内に構築されていない”からスキルのイメージがあっても行使出来ないのか...
「いくつか疑問点はありますが概ね理解しました。それではもう一つの重要問題について...転移時点で僕に迫っている危険について教えていただけますか?」
若干、話しにくそうな表情をして【神様】は切り出す。
「それは...お伝えできないのです」
やはりか...神様の態度からなんとなくそんな気がしていた。
「実は、私達にも未来を観測出来る様な力はありません。ただし、対象を絞れば周辺の事象と個々の資質、過去の膨大なデータベースを参考に〝未来予測演算プログラム〟が、ある程度正確な予測を行う事ができます。しかしその予測結果をもって事象に介入しようとした結果、予測結果よりも更に酷い事態を招くことが頻発しました。今回は緊急避難でしたが、本来“何かが起こる”という事を貴方に伝えるだけでも相当なリスクがあります」
なんとなくだが、知っている事によって起りうるパラドックスに大きく影響を受けるのかもしれない。
「分かりました。無理を言ってもしょうがありませんし、そもそも保護されている身の上ですしね...それで僕が帰還する為にしていただける“お手伝い”をお聞きしてもいいでしょうか?」
「承知いたしました。お手持ちのスマートフォンをこちらへ」
?どう考えても電話やインターネットが繋がる訳もなく、早晩バッテリー切れになるのが明確なのに、何をするというのか?
「このモバイルに、『貴方が一人立ちする為に役立つ知識』、護身の為に『自身で使用可能になるまでの魔法の代替行使機能』、『次元連結の捜索機能と連結先の調査機能』、『本体に電源供給する為のエネルギー変換アプリ』、『その他の“補助に必要な機能”を統括する双方向インターフェイス』をインストールします。その上でこちらの世界でも奇異に映らない形状に改造します」
...色々と突っ込みたいのを我慢して一つだけ疑問を口にする。
「親切な機能は大変ありがたいのですが...“事象への介入”には当たらないのですか?」
「...むしろこれらの機能を持つガジェットによって“貴方自身が及ぼすこの世界への影響”を『一定以下にリミットする』為に必要と考えています」
???説明の中にそんな機能があっただろうか?
「疑問はごもっともですが、直接見て頂いたほうが早いでしょう。インストールを開始します」
その言葉と同時に、どういったエフェクトかは分からないが、スマートフォンの画面が異常に光り出す。と、その光は画面以外の本体にまで浸食し始めた。さらに光は勢いを増し視認できる光量を超える。体感的には一分程度だと思うが...光が消えた時そこには...
「以後、よろしくお願い致します。主殿」
そこには、頭部の一本羽のみが白い、漆黒のフクロウがいた。大きさは鳩くらいで、その脇には小さなレンズが付いた見慣れない器具が転がっている。
「片眼鏡です。A R機能と私との双方向通信機能、各種機能の精神波による直接操作機能もあります。また主殿のスキルを一部応用して“条件指定”で位置固定しているため紛失したり激しく動いても外れることはありません。空間位相技術を応用して存在自体を半分別の空間に存在させることにより、特殊な条件を満たさない限り破壊も不可能です」
とんでもアーティファクトだな...
「油断して人に奪われない様にしないと、とんでもない事になりそうだな」
「万一にも奪われる事などないと思いますが・・・主殿以外にはただのモノクルとしての機能しかありませんし、私に命令して頂ければ即座に位相空間経由でお手元に引き戻せます」
さらりとまた...ナンチャッテSFチックなことを...そういえばどこかで〝十分に進んだ科学は既に魔法と区別できない。〟と聞いたことがあるが...
「まぁよろしく頼むよ。名前はあるのかい?」
「米国i社製モバイルフォン タイプ8 製造ナンバー16758...」
「ちょっと待ってくれ。それが名前では余りにも...別で愛称を付けても構わないか?」
「ご随意に...主殿手ずから新たな名を頂けるのに異存などございません。」
「うーんフクロウらしい名前なんて全く分からない...少ない知識からで申し訳ないけど“ミネルヴァ”でいいだろうか」
「光栄でございます。これよりこのミネルヴァ主殿の恩為に奮迅の働きを誓わせていただきます」
とりあえず、この先が分からない状況で頼もしい同伴者が出来たのはありがたい。
「無事にインストールが完了した様で安心しました。今後は彼女があなたの旅を支え導いてくれるでしょう。そして次元の運行に対して大きすぎる影響が現れそうな時は、大過ない結果に収束されるよう手助けしてくれます」
なるほどそういう事か...
「それでは保護空間にあなたを匿える時間も少なくなって来ました。これより貴方を保護前の空間に戻します。現実空間ではミネルヴァがあなたを守ってくれますので、取り急ぎは目前にせまる危難を凌いでください。ご自分の能力の詳細と次元連結の捜索方法は二人で相談して下さい。その為の機能と能力はあるはずです。しばらくは試行錯誤の連続で苦労される事になるかと思いますが...健勝と幸運があなたと共にあらんことを...」
正直なところ不安だらけだが...自然災害に巻き込まれたと考えれば、やり直しの機会を与えられただけで御の字なんだろう。
「お世話になりました」
モノクルを左目に装着し、右肩にミネルヴァが静かに舞い降りた。...改めて考えるとハンパない中二臭!で、たまらない気持ちになった。orz...
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「 ムーヴ!! 」
僕はこの世界に来て、初めて発した言葉を再び呟いた。
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