243 / 942
1年生2学期
12月2日(木)晴れ 変革は難しい
しおりを挟む
この日は11月に行われた生徒総会で検討されることになった項目について、検討の結果が発表される。一番変わったところで言えば購買や自販機の商品について来年度の追加が決定されていたことだろう。今年度の3年生はその恩恵を受けられないけど、確か生徒総会の時に1・2年生から出ていた意見だからそこは成功と言える。
ただ、それ以外の校則に関わる部分について変更なしという結果に終わった。服装や化粧は引き続き古き良き校則に従うことになる。
「あーあ。ダメだったのかー」
その結果を受けて栗原さんはがっかりしていた。今日も化粧をしているのかどうかはわからないけど、そういうことが正式にできない限りは栗原さんにとって少し窮屈な学生生活になってしまう。
「産賀くん、副会長と知り合いだったよね?」
「えっ。うん。そうだけど……何?」
「今度会った時でいいから伝えて欲しいんだけど……」
栗原さんの次の言葉に僕は身構えてしまう。これで生徒会に対する文句を言われてしまったら、僕でせき止めなければならない。
「次の総会ではがんばってくださいって」
「ほっ……」
「おや? 何で安心してるの?」
「い、いや……わかったよ。そう伝えておく」
「副会長、この前の会の時もビシッとしててかっこよかったんだよねー できる女性で感じ!」
僕の心配とは裏腹に栗原さんの副会長に対する評価は以前に注意された時よりも高くなっていた。僕は桜庭先輩として知り合っているから栗原さんのような感想はあまり出てこないけど、そうでなければこういう感想になったんだろうか。
「というか、産賀くんと副会長が知り合った話、結局聞いてなくない?」
「それ長くなるから話さないって言った気がするし、てっきり忘れてるものかと……」
「忘れてないし、長くてもいいから話してよー 副会長ってどんな人なのかも知りたいし」
「そ、それで言うなら同じ茶道部の野島さんの方が詳しいから!」
どうにも誤魔化せなかった僕は思わず野島さんを巻き込んでしまう。でも、桜庭先輩について野島さんの方が詳しいのはたぶん事実だ。
その呼びかけに振り向いた野島さんは僕の方を一度だけ見てから話し出す。
「頼られてしまったからには仕方ない。質問を受け付けましょう」
「そもそも茶道部なのが初耳だったー で、副会長は茶道部だとどんな感じなの、野島ちゃん?」
「それはもう副会長の時に見せるような絵に描いたような模範的な人で誰に対しても優しく、人を弄ったりすることなんて全くないような……」
「えっ、そうなの?」
あまりに褒め称える言葉を並べるので僕は思わず口を挟んでしまった。その瞬間、野島さんはニヤリと笑う。
「あれ? 産賀くんはどこが疑問だったのかな? これはもしかしたら私が部活で知らないような桜庭先輩を知ってるとしか思えない!」
「ええっ!?」
「ほらー やっぱり産賀くんの方が詳しいんじゃん? 普段はどんなこと話してるの? 運命的な出会いだったり?」
「いや、僕はただ……野島さん!」
「私は何も悪くないよ? それに私も産賀くんと桜庭先輩がどんな風に知り合ったかは聞いてないから興味あるし」
僕はスケープゴートにする相手を間違えてしまったようだ。結局、逃げ場を失った僕は長くなりそうな話を適度に省略しながら桜庭先輩との出会いを二人と話した。もちろん、最初はちょっと敵視されていたことは言えるはずもないので、清水先輩と会った時からついでに仲良くなったことにしている。
そんな僕の話は置いといて、元からあったものを大きく変えることはたとえ学校であっても難しいのだと思った。
「産賀くんって、もしかして女子の先輩に好かれるタイプだったり?」
「ここだけの話、茶道部の先輩界隈では産賀くんはちょっとした話題の人なんだよねぇ。あっ、本人って知られてるわけじゃなくて、清水先輩と桜庭先輩が話すから謎の後輩としてなんだけど」
……やっぱり置いておけないかもしれない。早いうちに謎の後輩の話は控えめにして貰うように頼もう。
ただ、それ以外の校則に関わる部分について変更なしという結果に終わった。服装や化粧は引き続き古き良き校則に従うことになる。
「あーあ。ダメだったのかー」
その結果を受けて栗原さんはがっかりしていた。今日も化粧をしているのかどうかはわからないけど、そういうことが正式にできない限りは栗原さんにとって少し窮屈な学生生活になってしまう。
「産賀くん、副会長と知り合いだったよね?」
「えっ。うん。そうだけど……何?」
「今度会った時でいいから伝えて欲しいんだけど……」
栗原さんの次の言葉に僕は身構えてしまう。これで生徒会に対する文句を言われてしまったら、僕でせき止めなければならない。
「次の総会ではがんばってくださいって」
「ほっ……」
「おや? 何で安心してるの?」
「い、いや……わかったよ。そう伝えておく」
「副会長、この前の会の時もビシッとしててかっこよかったんだよねー できる女性で感じ!」
僕の心配とは裏腹に栗原さんの副会長に対する評価は以前に注意された時よりも高くなっていた。僕は桜庭先輩として知り合っているから栗原さんのような感想はあまり出てこないけど、そうでなければこういう感想になったんだろうか。
「というか、産賀くんと副会長が知り合った話、結局聞いてなくない?」
「それ長くなるから話さないって言った気がするし、てっきり忘れてるものかと……」
「忘れてないし、長くてもいいから話してよー 副会長ってどんな人なのかも知りたいし」
「そ、それで言うなら同じ茶道部の野島さんの方が詳しいから!」
どうにも誤魔化せなかった僕は思わず野島さんを巻き込んでしまう。でも、桜庭先輩について野島さんの方が詳しいのはたぶん事実だ。
その呼びかけに振り向いた野島さんは僕の方を一度だけ見てから話し出す。
「頼られてしまったからには仕方ない。質問を受け付けましょう」
「そもそも茶道部なのが初耳だったー で、副会長は茶道部だとどんな感じなの、野島ちゃん?」
「それはもう副会長の時に見せるような絵に描いたような模範的な人で誰に対しても優しく、人を弄ったりすることなんて全くないような……」
「えっ、そうなの?」
あまりに褒め称える言葉を並べるので僕は思わず口を挟んでしまった。その瞬間、野島さんはニヤリと笑う。
「あれ? 産賀くんはどこが疑問だったのかな? これはもしかしたら私が部活で知らないような桜庭先輩を知ってるとしか思えない!」
「ええっ!?」
「ほらー やっぱり産賀くんの方が詳しいんじゃん? 普段はどんなこと話してるの? 運命的な出会いだったり?」
「いや、僕はただ……野島さん!」
「私は何も悪くないよ? それに私も産賀くんと桜庭先輩がどんな風に知り合ったかは聞いてないから興味あるし」
僕はスケープゴートにする相手を間違えてしまったようだ。結局、逃げ場を失った僕は長くなりそうな話を適度に省略しながら桜庭先輩との出会いを二人と話した。もちろん、最初はちょっと敵視されていたことは言えるはずもないので、清水先輩と会った時からついでに仲良くなったことにしている。
そんな僕の話は置いといて、元からあったものを大きく変えることはたとえ学校であっても難しいのだと思った。
「産賀くんって、もしかして女子の先輩に好かれるタイプだったり?」
「ここだけの話、茶道部の先輩界隈では産賀くんはちょっとした話題の人なんだよねぇ。あっ、本人って知られてるわけじゃなくて、清水先輩と桜庭先輩が話すから謎の後輩としてなんだけど」
……やっぱり置いておけないかもしれない。早いうちに謎の後輩の話は控えめにして貰うように頼もう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる