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1年生2学期
12月3日(金)晴れのち曇り 岸本路子との親交その17
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テスト前の週もあっという間に金曜日。この日は火曜日と同じく岸本さんや花園さんと一緒に勉強することになった。来週は一週間丸々テストになるからこの放課後から日曜日にかけてはかなり大変な時間になる。
そんな勉強会を一段落して僕たちは少し雑談を始める。
「産賀くん、もしよかったらなのだけれど、この日曜日もわたしとかりんちゃんと一緒に勉強しない?」
「日曜日? 土曜日じゃなくて?」
「土曜日は華凛が家を離れるには少々都合が悪いのです」
「もしかして、産賀くんは日曜日に用事が?」
「いや、用事ってほどのことじゃないんだけど……」
「じゃあ、いったいなんなのですか?」
花園さんにそう聞かれて僕は少しだけ言うのを迷ってしまう。テスト直前で勉強しなければならないのは確かなんだけど、その日は僕にとって少しくらいは楽しんでも許して欲しい日なのである。
「……僕の誕生日なんだ。5日の日曜日は」
「ええっ!? ご、ごめん……わたし、すっかり忘れてた……」
「いやいや、たぶん岸本さんに誕生日の言ったことなかったから」
「そうかもしれないけれど……だとしたら早めに聞いておけばよかった」
清水先輩とも話していなかったことを考えると、どうやら僕は誕生日に対する自己主張が足りないのかもしれない。大倉くんや本田くんとは知り合った最初の方の話題で出てきた気がするけど、たぶん僕から話を振っていなかった。
「華凛の誕生日は2月28日です。覚えておいてください」
「へぇー、2月の末日って凄い。本来はうるう年の生まれとかじゃなく?」
「いえ、華凛は正真正銘の2月28日生まれです」
花園さんは何故か誇らしげに言う。でも、これだけ主張されたら僕もこの誕生日は忘れなさそうだ。
「じゃあ、岸本さんの誕生日は?」
「わたしは……10月12日」
「ええっ!? とっくに過ぎて……るのは僕も誕生日を聞いてなかったからか。ごめん、僕こそ気が回らなかった」
「ううん。わたし、今年はその時は……学校休んでたから」
岸本さんは少し気を落としながらそう言った。その日付ですぐには思い付かなかったけど、文化祭の直後だと気付いた僕はその意味を察する。何とも悪いタイミングであの出来事が起こってしまったようだ。
「それでリョウスケは日曜日だと1日中予定が埋まっているのですか?」
「いや、今のところ昼に家族でご飯を食べに行くだけだからそれ以降なら遅れて合流しようと思えば……」
「ううん。移動するのも時間がかかるだろうし、そこまで無理しなくても大丈夫。今回はわたしとかりんちゃんだけで勉強するわ」
「別に土曜日二人で勉強するという手もあるのでは? 華凛のことはお気になさらず」
「ふ、二人で!? そ、それはさすがにちょっと……」
岸本さんがどういう意味で言ったのかはわからないけど、やんわりと拒否されてしまった。かく言う僕もここ最近は学校以外だと花園さんも一緒に来るのが普通になっているから二人にされるとちょっと困る気がする。
「何かわからないことがあったらテスト期間中に聞くようにするから……あっ、産賀くんがそれでいいならだけれど」
「大丈夫。数Ⅰは確か火曜日だから月曜日にまた聞いて貰えたら」
「なるほど。リョウスケはそのタイミングで誕生日プレゼントを貰おうという魂胆ですか」
「そ、そっか。この休み中に考えておかないと……」
「そんなつもりはないけど!? 岸本さん、本当に気を遣わなくて大丈夫だからね? そうして貰うならまずは僕が岸本さんの誕生日をお祝いしないといけないし……」
そこまで言って僕は少し考えた。恐らく今年の岸本さんの誕生日はそれほどいい思い出ではなかったはずだと。
「……花園さん。岸本さんの誕生日に何か遊びに行ったりとかしたの?」
「いいえ。まさか今からそれを非難しようと……?」
「違う違う。それなら僕も岸本さんの誕生日をお祝いできていなからテストが終わった後に誕生日会的なものを開いてみるのもいいかと思って」
「ええっ!? そ、そこまでしなくていいよ、わたしの誕生日くらいで……」
「僕の誕生日もそれでついでに祝って貰うから。それならこの休みにプレゼントのことも考えずに済むからテスト勉強に集中できるだろうし」
それは遅れてでも今年の誕生日をいいものにして欲しいと言う気持ちと誕生日のことを失念していた少しの罪悪感から思い付いたものだ。ちょうど自分の誕生日にかこつければ岸本さんも納得してくるとも思って。
「華凛の誕生日は2月28日ですが」
「それはまた別でお祝いするから。テスト前に遊ぶ話になって悪いけど、二人とも検討してくれる?」
「華凛は構いません。ミチちゃんの誕生日を盛大に祝えるなら」
そう言った花園さんと僕は岸本さんの方を見つめる。こんな話になるとは思っていなかっただろうけど、岸本さんは少し迷ってから口を開く。
「二人の気持ちだけでも十分だけれど……改めて祝って貰えるならわたしも嬉しい」
その言葉を聞いて僕はひと安心する。だいぶ余計なお世話だと思うけど、先日の清水先輩の言葉を借りるなら誕生日くらいはわがままになって、遠慮なく祝われるべきなのだ。
そんなこんなでテスト後の予定が一つ出来上がったけど、テスト自体は長いものだから気を引き締めていこうと思った。
そんな勉強会を一段落して僕たちは少し雑談を始める。
「産賀くん、もしよかったらなのだけれど、この日曜日もわたしとかりんちゃんと一緒に勉強しない?」
「日曜日? 土曜日じゃなくて?」
「土曜日は華凛が家を離れるには少々都合が悪いのです」
「もしかして、産賀くんは日曜日に用事が?」
「いや、用事ってほどのことじゃないんだけど……」
「じゃあ、いったいなんなのですか?」
花園さんにそう聞かれて僕は少しだけ言うのを迷ってしまう。テスト直前で勉強しなければならないのは確かなんだけど、その日は僕にとって少しくらいは楽しんでも許して欲しい日なのである。
「……僕の誕生日なんだ。5日の日曜日は」
「ええっ!? ご、ごめん……わたし、すっかり忘れてた……」
「いやいや、たぶん岸本さんに誕生日の言ったことなかったから」
「そうかもしれないけれど……だとしたら早めに聞いておけばよかった」
清水先輩とも話していなかったことを考えると、どうやら僕は誕生日に対する自己主張が足りないのかもしれない。大倉くんや本田くんとは知り合った最初の方の話題で出てきた気がするけど、たぶん僕から話を振っていなかった。
「華凛の誕生日は2月28日です。覚えておいてください」
「へぇー、2月の末日って凄い。本来はうるう年の生まれとかじゃなく?」
「いえ、華凛は正真正銘の2月28日生まれです」
花園さんは何故か誇らしげに言う。でも、これだけ主張されたら僕もこの誕生日は忘れなさそうだ。
「じゃあ、岸本さんの誕生日は?」
「わたしは……10月12日」
「ええっ!? とっくに過ぎて……るのは僕も誕生日を聞いてなかったからか。ごめん、僕こそ気が回らなかった」
「ううん。わたし、今年はその時は……学校休んでたから」
岸本さんは少し気を落としながらそう言った。その日付ですぐには思い付かなかったけど、文化祭の直後だと気付いた僕はその意味を察する。何とも悪いタイミングであの出来事が起こってしまったようだ。
「それでリョウスケは日曜日だと1日中予定が埋まっているのですか?」
「いや、今のところ昼に家族でご飯を食べに行くだけだからそれ以降なら遅れて合流しようと思えば……」
「ううん。移動するのも時間がかかるだろうし、そこまで無理しなくても大丈夫。今回はわたしとかりんちゃんだけで勉強するわ」
「別に土曜日二人で勉強するという手もあるのでは? 華凛のことはお気になさらず」
「ふ、二人で!? そ、それはさすがにちょっと……」
岸本さんがどういう意味で言ったのかはわからないけど、やんわりと拒否されてしまった。かく言う僕もここ最近は学校以外だと花園さんも一緒に来るのが普通になっているから二人にされるとちょっと困る気がする。
「何かわからないことがあったらテスト期間中に聞くようにするから……あっ、産賀くんがそれでいいならだけれど」
「大丈夫。数Ⅰは確か火曜日だから月曜日にまた聞いて貰えたら」
「なるほど。リョウスケはそのタイミングで誕生日プレゼントを貰おうという魂胆ですか」
「そ、そっか。この休み中に考えておかないと……」
「そんなつもりはないけど!? 岸本さん、本当に気を遣わなくて大丈夫だからね? そうして貰うならまずは僕が岸本さんの誕生日をお祝いしないといけないし……」
そこまで言って僕は少し考えた。恐らく今年の岸本さんの誕生日はそれほどいい思い出ではなかったはずだと。
「……花園さん。岸本さんの誕生日に何か遊びに行ったりとかしたの?」
「いいえ。まさか今からそれを非難しようと……?」
「違う違う。それなら僕も岸本さんの誕生日をお祝いできていなからテストが終わった後に誕生日会的なものを開いてみるのもいいかと思って」
「ええっ!? そ、そこまでしなくていいよ、わたしの誕生日くらいで……」
「僕の誕生日もそれでついでに祝って貰うから。それならこの休みにプレゼントのことも考えずに済むからテスト勉強に集中できるだろうし」
それは遅れてでも今年の誕生日をいいものにして欲しいと言う気持ちと誕生日のことを失念していた少しの罪悪感から思い付いたものだ。ちょうど自分の誕生日にかこつければ岸本さんも納得してくるとも思って。
「華凛の誕生日は2月28日ですが」
「それはまた別でお祝いするから。テスト前に遊ぶ話になって悪いけど、二人とも検討してくれる?」
「華凛は構いません。ミチちゃんの誕生日を盛大に祝えるなら」
そう言った花園さんと僕は岸本さんの方を見つめる。こんな話になるとは思っていなかっただろうけど、岸本さんは少し迷ってから口を開く。
「二人の気持ちだけでも十分だけれど……改めて祝って貰えるならわたしも嬉しい」
その言葉を聞いて僕はひと安心する。だいぶ余計なお世話だと思うけど、先日の清水先輩の言葉を借りるなら誕生日くらいはわがままになって、遠慮なく祝われるべきなのだ。
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