産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生2学期

12月21日(火)晴れ 岸本路子との親交その19

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 文芸部がある火曜日。いつも通りの小説や文芸に勉強会を行い、年内最後の活動は終了した。本当に振り返るべきなのは年度末になるんだろうけど、今年だけで振り返っても文芸部では色々あった。でも、どの出来事も最終的にはいい経験になったと言える。

 ただ、今年の汚れは今年のうちにではないけど、年内に決めておくべきことが僕と岸本さんにはあった。

 それを伝えるため、勉強会が終わった後に森本先輩のところへ行く。

「おー? どしたの二人とも?」

「森本先輩。先日、言って貰った件なんですけど……今度の部長と副部長は僕と岸本さんでやることにします。気を遣って貰ったのはありがたいですけど、これまでそういう流れでやって来たならそれに従おうと思ったんです」

 打ち上げ兼忘年会が終わった後、僕と岸本さんは連絡で部長と副部長の件を相談した。岸本さんも最初から部長か副部長をやる方向だったから特に食い違うことはなかったけど、それでも直接言える今日までよく考えて、結果としてはこのような形になった。

「ちゃんと二人で相談して決めたので、無理はしていません」

「そうかー じゃあ、年明けてからいいタイミングで二人へ引き継ぐようにするねー ちなみにどっちが部長やるとかは決まってるー?」

「あっ……そこはまだでした」

「別にいいよー すぐに決めろって話じゃないしー まー、なんやかんや部長と副部長は連携して色々やるからそんなに差はないんだけどねー」

 森本先輩はそう言いながら隣の水原先輩を見る。

「確かにそうだな。会議とかも基本は二人で出る。あとは誰かさんが補習を喰らったりしたら部長代理をするくらいか」

「うわー……今そこを抉られるとは思わなかったー」

「来年は部長を外れるんだからもう言い訳はできないぞ」

 水原先輩に指摘された森本先輩は苦い顔をしていた。今回のテストでは補習にならずに済んだのかちょっと気になるけど、今日の話の流れではやめておこう。

「それにしても年明け以降でいいって言ったのに二人とも真面目だねー」

「沙良も見習わないとな」

「もー 何で最後の部活で説教される感じなのー?」

 二人のやり取りに僕と岸本さんは笑ってしまう。そういう空気感で部長と副部長が引っ張ってくれたから文芸部で楽しく過ごせたと個人的には思う。だから、どっちの役職になるにしろ、この二人を目指すつもりでやっていきたい。



 部長と副部長の件の報告を終えた後、岸本さんと少し話すことになった。この雑談タイムも年明けまでは暫くお別れだ。

「岸本さん、誕生日会で貰った本まだ全部読めてないけど、凄く面白いよ。全然先が読めない展開で驚かされることが多いし、自分じゃ選ばないタイプの本だったから貰えてよかった」

「本当に? それなら選んだかいがあったわ」

「冬休み中に読めたらまた感想を送るよ。あっ、そういえば、花園さんから僕がお店に行ったこと聞いた?」

「うん。妹さんと一緒に来たって。かりんちゃん、妹さんが可愛らしくてまた来て欲しいって言ってた」

「へー……その感じだと妹だけって意味に聞こえるな」

「そ、そんなことはないと思うけれど。でも、わたしも産賀くんの妹さんちょっと見てみたいかも」

「ああ、それならスマホに写真あるけど見る?」

「えっ? 妹さんの写真撮ってるの?」

 岸本さんは少し驚いた顔をする。自然な流れで言ってしまったけど、よく考えたら普通は妹の写真を撮ってないものか。いや、兄妹なんだから写真の1枚くらい持っていてもおかしくはない……と思いたい。

「うん。この写真……あっ」

「どうしたの?」

 写真を見てから思い出した。今スマホにある写真は大山さんへ見せる時に撮ったもので、ついでに僕も写っていることを。この状況をどう説明すればいいのか。

「え、えっと……この写真は妹に自撮りを教えて貰った時のものなんだけど……」

「産賀くん、自撮りとかしてるんだ」

「あっ、そういうわけじゃなくて。その……そう! 創作のネタになると思って! その時期はまだネタを練ってる時だったから!」

 苦し紛れの言い訳だったけど、岸本さんは納得したように頷いた。僕はもう一度写真をよく確認して、他に問題がないと確信してから岸本さんへ見せる。

「これが産賀くんの妹さん……うん。兄妹だから当たり前なのだけど、目元の辺りが凄く似てる」

「よく言われるよ。自分じゃあんまり思わないけど、みんな言うならそうなんだろうなぁ」

「ふふっ。産賀くん、結構妹さんのことみんなに話してるんだね。わたしも時々仲良くしているって話を聞いていたけれど、この写真を見ればよりわかるわ」

「えっ!? 僕、岸本さんにも妹のことそんな話してた……?」

「うん。たまに妹が~って……もしかして、何か間違ったこと言ってる?」

「いや……完全に無意識だった」

 岸本さんにまでそうなっているなら松永たちからシスコン呼ばわりされるのも無理はない。悪いことではないけど、自分では口走っているつもりはなかった。

「それだけ妹さんのこと大切にしてるってことだから良い事だと思う」

「そ、そうかな? それなら良かった」

 そんな会話も終えて雑談タイムとしての部活も年納めとなった。来年度はこんな僕も文芸部を引っ張る立場になると思うと……ちょっと不安かもしれない。後輩には妹の話を出し過ぎないようにせねば。
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