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1年生3学期
1月26日(水)曇り 大山亜里沙の再誕その4
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早くも折り返しの水曜日。1月は学校行事的には何もないからこの終盤に差し掛かってくると、良い意味で平和な月だったように思えてくる。
この日も例外ではなく、校内は平和な時間が過ぎていった。
「すー……すー……」
そう、あまりに平和過ぎて授業中に寝てしまう人がいるくらいには。これが隣の松永なら何かアクションを起こせばいいけど、絶賛夢の中にいるのは後ろの席の大山さんだ。
冬休み明け以降、再び現代社会のノートは僕のものを写すことになったので、大山さんは安心して寝られる。いや、別に本田くんと付き合っていた期間も本田くんに見せて貰っているなら大山さんは今年度中の現代社会はずっと安心安眠になっている。
正直、どこかのタイミングでバレるものかと思っていたけど、担当の宇梶先生は割と自分のペースで授業を進めてしまうタイプなので、生徒の方はあまり気にしていない。そのおかげで今日まで寝る時間判定されてしまっているのだ。
「……ふわぁー あっ、うぶクン。おはー」
「いつも思うけど、よく熟睡できるね」
「それほどでもー……って褒めてないか。前にも言ったと思うケド、宇梶先生の話し方とかペースは完全に寝させるためのものだと思うんだよね」
「大山さん……本当にそろそろ起きてちゃんと授業を受けようって思わない?」
僕は割と真剣な顔でそう言う。間は空いてしまったけど、僕としては大山さんにもちゃんと授業を受けて欲しいと思っている。もちろん、ノートを見せるのが嫌というわけじゃないし、現社の授業はお世辞にも面白い部類ではない。ただ、後のことを考えれば――
「ない!」
「……そうですか」
「うわ。そんなにがっかりしちゃう?」
「だって、2年生になってからもこんな風になってると困るのは大山さんの方だし……」
「うぶクン、2年生もアタシにノート写させてくれるつもりだったの?」
「いや、写させる話じゃなくて寝ちゃう方だから」
「そっか……2年生になると今のクラスからどうなるかわからないもんね……」
大山さんは普段なら話はよく聞く人だし、話しやすい人ではあるけど、この時ばかりは全力で話題を逸らしてしまう。それがお決まりのやり取りみたくなっているのはある意味仲が良いと言えるけど、僕の方は毎回本気で言っているつもりだ。
「……わかった。今年度はもう諦めることにする」
「……なんかゴメン。いや、マジで受けた方がいいのはわかってるんだケド、たぶん頑張っても寝ちゃうと思う」
「僕も前に言ったと思うけど、気持ちはわからなくはないよ」
「でしょでしょ? だから……もし2年生でも同じクラスだったらお願いするね!」
「…………」
「あっ、今のは一緒のクラスになれたらいいねって話だから!」
僕が訝しげな顔になると、大山さんは取り繕うように言う。話す順番が逆になってしまったのは本音が優先されたからだろう。
ただ、元に戻ったというのもおかしな言い方だけど、大山さんと以前のようにやり取りできるようになったのは良かったと思ってもいいかもしれない。
仮に2年生でも同じクラスになった時は……今度こそちゃんと授業を受けて貰えるようがんばろう。
この日も例外ではなく、校内は平和な時間が過ぎていった。
「すー……すー……」
そう、あまりに平和過ぎて授業中に寝てしまう人がいるくらいには。これが隣の松永なら何かアクションを起こせばいいけど、絶賛夢の中にいるのは後ろの席の大山さんだ。
冬休み明け以降、再び現代社会のノートは僕のものを写すことになったので、大山さんは安心して寝られる。いや、別に本田くんと付き合っていた期間も本田くんに見せて貰っているなら大山さんは今年度中の現代社会はずっと安心安眠になっている。
正直、どこかのタイミングでバレるものかと思っていたけど、担当の宇梶先生は割と自分のペースで授業を進めてしまうタイプなので、生徒の方はあまり気にしていない。そのおかげで今日まで寝る時間判定されてしまっているのだ。
「……ふわぁー あっ、うぶクン。おはー」
「いつも思うけど、よく熟睡できるね」
「それほどでもー……って褒めてないか。前にも言ったと思うケド、宇梶先生の話し方とかペースは完全に寝させるためのものだと思うんだよね」
「大山さん……本当にそろそろ起きてちゃんと授業を受けようって思わない?」
僕は割と真剣な顔でそう言う。間は空いてしまったけど、僕としては大山さんにもちゃんと授業を受けて欲しいと思っている。もちろん、ノートを見せるのが嫌というわけじゃないし、現社の授業はお世辞にも面白い部類ではない。ただ、後のことを考えれば――
「ない!」
「……そうですか」
「うわ。そんなにがっかりしちゃう?」
「だって、2年生になってからもこんな風になってると困るのは大山さんの方だし……」
「うぶクン、2年生もアタシにノート写させてくれるつもりだったの?」
「いや、写させる話じゃなくて寝ちゃう方だから」
「そっか……2年生になると今のクラスからどうなるかわからないもんね……」
大山さんは普段なら話はよく聞く人だし、話しやすい人ではあるけど、この時ばかりは全力で話題を逸らしてしまう。それがお決まりのやり取りみたくなっているのはある意味仲が良いと言えるけど、僕の方は毎回本気で言っているつもりだ。
「……わかった。今年度はもう諦めることにする」
「……なんかゴメン。いや、マジで受けた方がいいのはわかってるんだケド、たぶん頑張っても寝ちゃうと思う」
「僕も前に言ったと思うけど、気持ちはわからなくはないよ」
「でしょでしょ? だから……もし2年生でも同じクラスだったらお願いするね!」
「…………」
「あっ、今のは一緒のクラスになれたらいいねって話だから!」
僕が訝しげな顔になると、大山さんは取り繕うように言う。話す順番が逆になってしまったのは本音が優先されたからだろう。
ただ、元に戻ったというのもおかしな言い方だけど、大山さんと以前のようにやり取りできるようになったのは良かったと思ってもいいかもしれない。
仮に2年生でも同じクラスになった時は……今度こそちゃんと授業を受けて貰えるようがんばろう。
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