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第一章 長い夜の終わり
Meiha / メイハ
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リタは彼女たちをどこかの貴族の子どもだと思っていた。きめ細やかで優美な衣服、気品高い立ち居振る舞い、そして何より、口調から滲み出る他者への優越感が、いかにも旧家の生まれという印象だった。それは、兵士たちの報告書を読んで、一目で見抜けたほどである。獣人特有の耳が見られないのも、ありあまる金で何かしらの魔術具を買ったのだろうと思われた。
彼のこれまでの経験から言って、貴族というのは自尊心が異様に高く、とにかく自分が優れていると思い込んでいる生き物であった。だから、適当であっても他と比べて素晴らしいと褒めておけば、たいていは気分を良くし、大人しくこちらの指示に従ってくれる。ひたすらに称賛し続け、後はどこかのタイミングで睡眠薬を吸わせておけば完成の、単純な動物である。
「ということで皆さま、いかがでしょう。素晴らしく優秀なお三方に来て頂けるなら、私も嬉しい限りです」
彼の貴族観はそれほど外れてはいなかった。特に人間族にはこういった傾向が著しかったが、獣人の貴族でも当てはまる者はそれなりにいたのである。
彼が失敗したのは、相手が何者なのかを見極めるという点だった。
「Seskolhi minun suvetinua, ja seploi vies miela」
その後彼は、3人の正体を知る機会を永久に失ってしまったのであった。
光の粉が舞い散る中、ライザがそっと杖を片付ける。
「すぐにでも壊滅に移りたいところだけれど、まずは地下の人たちを外に出しましょう」
ソファーの奥にあった重たい扉を開けると、大きい広場のような場所であった。公共の空間という位置づけか、噴水や植木が石畳の上に立っている。十軒ほどの木造民家が広場の中心から離れたところにあって、そのどれにも明かりは点いていない。
「空間ごと」
ルナが周囲を一瞥して呟く。彼女が言ったのは、人がいるこの場所自体を外に持っていくという作戦である。術式こそ大規模にはなれ、彼女たちにとっては人を転移させるのと大して違いは無い。
移動させる空間の始終点をマークし、魔力を込めた短剣で壁を撫でるように、ルナが壁に字を彫っていく。
なお、魔法言語は複雑怪奇なこと極まりなく、たとえ製作者でも誤文を作り上げるのは簡単だ。
「屈折間違ってるわ」
「どこ」
「もっと左、thetpreの前にnyが抜けてると思うのだけど」
「あった。了解」
十分して作業が完了し、入念に見直しも済ますと、彼女は構築した魔法を発動させた。もちろん失敗などはなく、屋敷の前には小さな集落が完成し、逆に屋敷の中には、今ごろは野原が広がっていることだろう。
続けて、ミカエラが家々を覆うように睡眠魔法を行使する。エリスと決めた集合時刻は、ちょうど夜明けと同じほど。残り一時間の間に、ここと関係のある組織を潰して回り、さらに集合場所のエルヴェ要塞まで行くには、囚われていた人々に大人しくしていてもらう必要があった。
万が一に備えて周囲に結界を張ると、3人は最初の目的地へと転移した。
広く視界を占めているのは、まだ真っ黒い海である。
「あれね」
「ん」
「あのぼんやりと灯っている辺りですね」
奴隷貿易というのは、基本的に海を隔てて行われる。国内で売買などしたらすぐに露見してしまうが、一度国家権力の及ばないところに出ると、その追跡は極端に困難となるからだ。加えて、獣人の奴隷を必要としているのは主に人間国家である。自然、貿易の最重要拠点は港湾にならざるを得ない。
「捕囚はまとめて獣王のところに送りつけましょう」
三人とも、他人の面倒を見ることが不得意であったし、その上嫌いであった。獣人のことは獣王に任せておくのが一番だと考えていた。
ライザの提案したように、港湾設備の中に拘留されていた人々を王都へと転移させる。転移魔法が終了すると同時に、今度はルナが魔法を使った。ある存在を無に帰すのが彼女の得意分野である。
「終わり。次」
建物も船舶も商人たちも消え、それらが生まれるよりずっと前の、大地のあるべき姿というものを確認した三人は、すぐに次の場所へ移った。夜が明けるまではそれほど長くない。
「何ヶ所」
「全部で10だったはずよ。共有した情報に入ってるから確認して」
「ええ、10ですね。ということはこれで2/10、と」
1ヶ所を除いて、全ての拠点は獣王国内に散在しており、その配置を考えると、国内のあらゆる土地で犯罪行為に及んでいることが窺えた。それぞれの拠点は主街道沿いに置かれ、その内3つは沿岸部、残りは内陸部にある。
彼女たちは、北から南へと下るように移動していった。空を飛んでいくのも良かったが、今はあまり時間を食うようなことはできない。
その視界に、住民たちの温かい生活の灯火がうっすらと映る。
「いつかのんびりと旅をしてみたいものですね」
「そうね」
まだ見ぬ獣王国の街並みを想像しつつ、遂に9ヶ所を壊滅させることに成功した。残りは遠く離れた人間の国にある1つのみである。
行先を聞いて、ルナは不機嫌さを隠そうともしない。
「人間嫌い」
「別に仲良くするために行くわけではないですよ」
「分かってる。でも嫌」
「目標のちょうど真上にするから。さっさと終わらせて帰りましょう」
2人も、人間のことを好いているわけではなかった。
視界がサッと切り替わり、目も眩むような明かりが飛び込んでくる。人間の街の、冷ややかで硬質な光の群れがルナを苛立たせる。この場所に囚われの人がいないことは知っていたから、何も躊躇するようなことはなかった。彼女は乱暴に魔法陣を描くと、それを足元へと叩きつけた。勢いよく落ちながら何百にも分裂し、建物の屋根へと降り注いでいく。地上の者たちには幻想的な光景だったろう。色鮮やかな雨粒と、それに反応して結界が光り輝く様子は。
ひときわ大きい、街の煌めきを打ち消すほどの光輝が、全ての物の影を鮮明にする。何かの砕ける音が激しく響き渡る。それは、彼らが傘を失った印であった。
このすぐ後、世界でも五指に入る巨大な商人連合の1つが、その本部を完全に喪失し、壮絶な人材不足に陥って解体に至った。その影響は甚大で、以降およそ一年の間、世界中で輸送網が凍結し、物価が異様な高騰を見せることになる。
「帰りましょうか」
赤々と踊り狂う炎。立ち上がる煙は闇夜に同化して広がり、悲鳴はひと時も絶えることはない。ルナは、その様を見下ろして舌打ちをすると、速やかにその場から立ち去った。
―――――
彼女たち3人がエリスら獣王国軍と合流したのは、まだ暗い時間帯であった。
太陽が地上を照らすまでにはしばらく時間があったが、エリスが主導して報告を始めた。
「こちらはつつがなく完了いたしました。第一軍に加えて治安警邏隊にも連絡を済ませたので、国内の奴隷貿易関連組織は近日中に根絶やしとなるでしょう。国軍内の不純も除去してあります」
見れば、尾行を手引きしていた兵士の姿がない。裏切者は正しく処罰されたようである。
「今回の作戦が民衆にばれているということもなさそうです。聡い者はいるかもしれませんが、そのような人物が情報をまき散らすということは無いでしょう。なお、調査の結果から判明したことですが、フォヴィンスキは村そのものが犯罪組織となっていたようです。ここ最近の羽振りの良さも総じて奴隷の売買がもたらしたものと思われます。道中ですれ違った麦俵の馬車も追いかけて確認しましたが、やはり中身は麦ではありませんでした。王宮の方にも応援要請を出し、この国の全都市を対象に調査をする予定です。ということですので、万事問題ありません。そちらはどうでしたか」
「こちらもよ。あの屋敷の主人の情報から、残っている拠点10ヶ所を探して滅ぼしておいたわ。救出したのは獣王のところね。人間たちにも罪に相応しいだけの罰を与えたのだから、心配するようなことはないでしょう。あとはミイハたちだけよ」
念のため、軍の報告書用に自分たちが行ったことを口答し、お互いに細かいところまで確認をする。エリスが記載を終えると、全員でフォヴィンスキへと転移した。まずはミイハを残している宿屋である。
その入り口に立つと、ライザがエリスに話しかけた。
「私たちから獣王国に頼みたいことがあるのだけど」
「何でしょう」
「あの子、引き取らせてもらえないかしら」
ライザたち3人にとって、エリスという人物は、個人としても軍人としても、自分と同じ国民を譲り渡してくれるような人物には思えなかった。だから当然、断られたら大人しく引くつもりでいたのである。しかし彼女は、その提案を軽く承諾した。
「ミイハはどうやら身寄りがないようなのです。それどころか種族も定かでなく、恐らくは彼女が最後の生き残りと思われます。軍で保護するのも議会から叩かれますし、孤児院では精神が持ちません。お三方に引き取って頂けるならば安心ですし、彼女も嬉しいでしょう。随分と懐いていたようですから」
エリスは3人のことを信用していた。一ヶ月にも及ばない期間ではあるが、実際に一緒に行動し、会話することを通じて、3人の人物像をよく理解していた。『創始者』として世界を監視してはいるが、決して無機的な存在ではない。引き取ったミイハを大切に育ててくれると確信していた。
「もちろん、皆様の立場を考えて獣王陛下の許諾は必要になりますが、あくまで形式的なものですし、現時点をもって皆様の保護下に置いて頂いて大丈夫です」
「ありがとう」
さて、宿は随分と物静かであった。あの大勢が軍に補導されたのか逃走したのかは分からないが、宿にはもうミイハしか残っていない。
「お姉さんたち」
部屋の中に設置しておいた亜空間に入ると、白いベッドに腰かけていたミイハがふり返った。3人に向けてゆっくりと手を振る。
「約束は守ったわよ」
「うん」
言葉はまだ途切れ途切れだが、それも少しずつ回復していくだろう。先ほどエリスと決めたことを伝えても、嫌そうな様子を見せることもなく、元気にうなずいて笑った。
「じゃあ、みんなのところに行きましょうか」
ミイハを刺激しないよう、手を繋いで屋敷へと歩いて行く。転移は使わない。小さな歩幅でゆっくりと進んでいく。いろいろな色の光球で道を照らしながら、時々クルクルと動かしてミイハを楽しませる。
やがて、睡眠魔法と結界が張られた木造民家群にたどり着いた。ミカエラがそれを解除すると、軍人たちが中心となって、捕らえられていた人々を外に連れ出していく。結界に回復効果を加えておいたおかげか、瀕死だったり重病だったりする者はいなかった。
「エリスは全員の出身地を聞いておいてくれるかしら。魔法で送り届けるから」
「いえ、被害者たちの護送は国と軍が責任をもってしますので」
「そういうことならお願いするわね」
「ええ」
答えるや否や、エリスは軍人たちに交じっていった。ミイハも、ずっと一緒にいた者たちが恋しいのだろう、たくさんの人とたどたどしく話をしている。もしかしたら、これからすぐに別れるということを伝えたいのかもしれない。
「良かったわ」
ライザもルナもミカエラも、獣人に特別な思い入れはない。興味があるというのでもなかった。彼らの救出も、彼らのために行ったのではない。それでも、抱き合って涙を流している眼前の光景を見れば、少しばかり嬉しい気持ちになるのである。
そのままじっと見守っていると、ミイハが笑顔で戻ってきた。一通り話は終えたらしい。
元気そうな様子を見て、ライザはそっと念話を繋ぐ。
彼女たちがこの少女を引き取ったのには理由があった。可愛いというのは当然だが、彼女を自分たちの同行者とするつもりだったのである。つまり、『創始者』の権限を使って眷属化しようと思っていたのだ。
ミイハは、しゃべることは難しいが、思考自体があやふやなわけではない。念話ならスムーズに会話ができると踏んだのだ。
『分かった。お姉さんたちと同じにして』
『いいのね?』
『今のままじゃ何もできないのは分かってる。助けてくれたお姉さんたちに恩返しがしたいし、それに私の体を作り変えるんでしょ』
『そうよ』
『だからね、蝶にして欲しいの。空を自由に飛べるように』
彼女はじっとライザの目を見つめる。そこにあるのは、絶望でもなければ諦めでもない、あることへの強い望みであった。
「ルナ、エリスを呼んできて。見てもらうわ」
「いいの?」
「彼女は私たちを信頼してこの子を預けてくれたのよ。立ち会ってもらうべきでしょう」
「そういうことなら」
すぐにルナがエリスを引っ張ってくる。4人の間で繋いでいた念話をエリスにも接続し、ライザが丁寧に事情を説明すると、意外にも彼女はあっさりと賛成した。
「もはや我々の庇護下にはありませんから、非人道的なことでなければ手出しは致しません。そもそも予想していたことですし、何より本人が望んでいるのですから」
彼女にとって、最も大切なのはミイハ自身の意志である。実際に念話で会話をして、操られているようなこともないと分かった。この状況でこちらが否を唱えることはできない。
「ただ、彼女を変える瞬間には同席させてください。それが私が最後にするべきことだと思いますので」
「もちろんよ。というか、そのために貴女を呼んだのだもの。ミイハも、準備は良い?」
『うん』
兵士たちには少し遠くへ行ってもらい、5人だけを囲うように結界を張る。外側から見られることが無いようにするためである。
亜空間からベッドを取り出し、ミイハを仰向けに寝させる。服は脱いでもらう必要があった。
少女の枕もとに屈んだミカエラが問いかける。
「新しい名前はどうしますか?」
『お任せ』
「ふふ。分かりました」
ルナとライザが慎重に力を注いでいく。魔力よりもずっと強力なため、力加減を誤ると大変なことになるのだ。
二人は斉唱する。
「Le yhtherzem」
白い光がその体を包んでいく。
「Mit dipaaser nyikentra'm una Sierra piu Tetra」
それは、繭であった。
そして同時に、殻でもあった。
ミカエラがミイハの精神に干渉を開始する。ミイハが新しい体を想像するのを手伝うために。加えて、彼女が複眼や触覚を作らいないように監視するという、極秘の役割も持っていた。
頃合いを見計らって、ルナとライザが最後の一節を吟唱する。
「Fode'ti eethea ela aifaa tina méten raviatna」
―――――
綺麗な羽を自慢している少女を、3人は何も言わず、木に寄りかかりながら眺めていた。
彼女にはミカエラが新しい名を与えた。新しいとは言っても、今までのを一文字変えただけであるが。もともと綺麗な名前で、全く違うものにはしたくなかったのであろう。
「Meihaが蝶という意味だと知ったら、どんな顔するのかしら」
「内緒ですよ」
「分かってるわ」
これは、ミカエラからのささやかなプレゼントである。
「それにしても、ようやく終わったわね」
「ええ、本当に」
「長かったけど楽しかった」
「そうね。楽しかったし、良かったわ」
地平線が段々と明るみ始め、弱々しい光が辺りに差し込んでいく。メイハの白い羽も、朝日を反射して美しく輝いていた。
東の空にはまだ雲が多い。
「そろそろ行きましょうか」
その時だった。
「なにも良くねえよ」
幼い男の子の声。
集団から離れて、彼女たちの側にいたのである。
「なにも良くねえ」
周囲が再び暗くなった。
「あんたたちが俺らを連れ出したって軍の人に聞いた」
少年は、激しく3人を睨みつける。
「何でだよ。誰がそんなこと頼んだんだよ」
向こうから彼の親らしき人物が駆け寄ってくる。
「あそこから出して、それで終わりなのかよ。どうすればいいんだよ。家もお金も何にもないのに、どうやって生きていけって」
「止めなさいっ」
「あいつらは飯をくれた。住む場所もくれた。俺らが遊べるようにもしてくれた。それが今じゃ何も残ってねえんだ。あんたたちがしたのは、俺らから奪っただけだろ」
「エル、黙って」
「うっせえ。父ちゃんも母ちゃんも分かってるくせに。こいつらがやったのは遊びだよ。道楽なんだよ。たいして考えもしないで、とりあえず可哀そうだからって。勝手に助けた気になって、その後は放っとくだけで」
両親に抱きかかえられ、向こうへと連れ戻されていく。
「あんたらは、俺らを救うふりして、本当は自分が満足したかっただけだ。弱い奴を助ける自分に酔ってるだけなんだ。覚えとけよ。俺の家族はお前らのせいで苦しむんだ。お前らがこんなことしなければ、まだ生きる望みもあったんだ」
きっと両親は理解しているのだろう。自分たちが今までいた場所には、未来など全くなかったことを。だから、2人して丁寧に頭を下げているのに違いなかった。
「ミイハだってそうだ。何だよあの翅。あいつらと全然同じじゃねえか。あいつらのは眼で、お前らのは体だっただけだ。勝手に俺らをいじくりやがって。俺らはお前らの道具じゃない」
必死に大声を上げている。
「許さねえ。ミイハは絶対に連れ戻す。そんで、俺らが奪われた分、全部お前らから奪ってやる。食べ物だけじゃない。仲間も、未来もだ。俺たち全員の苦しみを味わわせてやる」
声が届かなくなっても、地を裂く激しい怒りと憎悪を、少年は強く浴びせかけていた。
暫くの後。
3人のもとに走ってきたのは、慌てた様子のエリスである。
「皆様、激しい嵐が来ているようです。早く王都に向けて出発しましょう。同行員は私だけですので、転移をお願いします」
「貴女だけ?」
「ええ。他の人員は元奴隷たちの護送に充てることになりましたので」
「そう。分かったわ」
太陽は、先ほどからずっと雲に隠れたままであった。上空の強い風にあおられ、朱を帯びた黒い雲が迫ってきていた。
光の届かない夜は、陰鬱な朝に取って代わられようとしていた。
第一章 完
――――――――――
ここまでありがとうございました。
誠に勝手ではございますが、しばらく投稿をお休みさせていただきます。詳しくは近況ボードをご覧ください。
これからも、彼女たちをよろしくお願いいたします。
彼のこれまでの経験から言って、貴族というのは自尊心が異様に高く、とにかく自分が優れていると思い込んでいる生き物であった。だから、適当であっても他と比べて素晴らしいと褒めておけば、たいていは気分を良くし、大人しくこちらの指示に従ってくれる。ひたすらに称賛し続け、後はどこかのタイミングで睡眠薬を吸わせておけば完成の、単純な動物である。
「ということで皆さま、いかがでしょう。素晴らしく優秀なお三方に来て頂けるなら、私も嬉しい限りです」
彼の貴族観はそれほど外れてはいなかった。特に人間族にはこういった傾向が著しかったが、獣人の貴族でも当てはまる者はそれなりにいたのである。
彼が失敗したのは、相手が何者なのかを見極めるという点だった。
「Seskolhi minun suvetinua, ja seploi vies miela」
その後彼は、3人の正体を知る機会を永久に失ってしまったのであった。
光の粉が舞い散る中、ライザがそっと杖を片付ける。
「すぐにでも壊滅に移りたいところだけれど、まずは地下の人たちを外に出しましょう」
ソファーの奥にあった重たい扉を開けると、大きい広場のような場所であった。公共の空間という位置づけか、噴水や植木が石畳の上に立っている。十軒ほどの木造民家が広場の中心から離れたところにあって、そのどれにも明かりは点いていない。
「空間ごと」
ルナが周囲を一瞥して呟く。彼女が言ったのは、人がいるこの場所自体を外に持っていくという作戦である。術式こそ大規模にはなれ、彼女たちにとっては人を転移させるのと大して違いは無い。
移動させる空間の始終点をマークし、魔力を込めた短剣で壁を撫でるように、ルナが壁に字を彫っていく。
なお、魔法言語は複雑怪奇なこと極まりなく、たとえ製作者でも誤文を作り上げるのは簡単だ。
「屈折間違ってるわ」
「どこ」
「もっと左、thetpreの前にnyが抜けてると思うのだけど」
「あった。了解」
十分して作業が完了し、入念に見直しも済ますと、彼女は構築した魔法を発動させた。もちろん失敗などはなく、屋敷の前には小さな集落が完成し、逆に屋敷の中には、今ごろは野原が広がっていることだろう。
続けて、ミカエラが家々を覆うように睡眠魔法を行使する。エリスと決めた集合時刻は、ちょうど夜明けと同じほど。残り一時間の間に、ここと関係のある組織を潰して回り、さらに集合場所のエルヴェ要塞まで行くには、囚われていた人々に大人しくしていてもらう必要があった。
万が一に備えて周囲に結界を張ると、3人は最初の目的地へと転移した。
広く視界を占めているのは、まだ真っ黒い海である。
「あれね」
「ん」
「あのぼんやりと灯っている辺りですね」
奴隷貿易というのは、基本的に海を隔てて行われる。国内で売買などしたらすぐに露見してしまうが、一度国家権力の及ばないところに出ると、その追跡は極端に困難となるからだ。加えて、獣人の奴隷を必要としているのは主に人間国家である。自然、貿易の最重要拠点は港湾にならざるを得ない。
「捕囚はまとめて獣王のところに送りつけましょう」
三人とも、他人の面倒を見ることが不得意であったし、その上嫌いであった。獣人のことは獣王に任せておくのが一番だと考えていた。
ライザの提案したように、港湾設備の中に拘留されていた人々を王都へと転移させる。転移魔法が終了すると同時に、今度はルナが魔法を使った。ある存在を無に帰すのが彼女の得意分野である。
「終わり。次」
建物も船舶も商人たちも消え、それらが生まれるよりずっと前の、大地のあるべき姿というものを確認した三人は、すぐに次の場所へ移った。夜が明けるまではそれほど長くない。
「何ヶ所」
「全部で10だったはずよ。共有した情報に入ってるから確認して」
「ええ、10ですね。ということはこれで2/10、と」
1ヶ所を除いて、全ての拠点は獣王国内に散在しており、その配置を考えると、国内のあらゆる土地で犯罪行為に及んでいることが窺えた。それぞれの拠点は主街道沿いに置かれ、その内3つは沿岸部、残りは内陸部にある。
彼女たちは、北から南へと下るように移動していった。空を飛んでいくのも良かったが、今はあまり時間を食うようなことはできない。
その視界に、住民たちの温かい生活の灯火がうっすらと映る。
「いつかのんびりと旅をしてみたいものですね」
「そうね」
まだ見ぬ獣王国の街並みを想像しつつ、遂に9ヶ所を壊滅させることに成功した。残りは遠く離れた人間の国にある1つのみである。
行先を聞いて、ルナは不機嫌さを隠そうともしない。
「人間嫌い」
「別に仲良くするために行くわけではないですよ」
「分かってる。でも嫌」
「目標のちょうど真上にするから。さっさと終わらせて帰りましょう」
2人も、人間のことを好いているわけではなかった。
視界がサッと切り替わり、目も眩むような明かりが飛び込んでくる。人間の街の、冷ややかで硬質な光の群れがルナを苛立たせる。この場所に囚われの人がいないことは知っていたから、何も躊躇するようなことはなかった。彼女は乱暴に魔法陣を描くと、それを足元へと叩きつけた。勢いよく落ちながら何百にも分裂し、建物の屋根へと降り注いでいく。地上の者たちには幻想的な光景だったろう。色鮮やかな雨粒と、それに反応して結界が光り輝く様子は。
ひときわ大きい、街の煌めきを打ち消すほどの光輝が、全ての物の影を鮮明にする。何かの砕ける音が激しく響き渡る。それは、彼らが傘を失った印であった。
このすぐ後、世界でも五指に入る巨大な商人連合の1つが、その本部を完全に喪失し、壮絶な人材不足に陥って解体に至った。その影響は甚大で、以降およそ一年の間、世界中で輸送網が凍結し、物価が異様な高騰を見せることになる。
「帰りましょうか」
赤々と踊り狂う炎。立ち上がる煙は闇夜に同化して広がり、悲鳴はひと時も絶えることはない。ルナは、その様を見下ろして舌打ちをすると、速やかにその場から立ち去った。
―――――
彼女たち3人がエリスら獣王国軍と合流したのは、まだ暗い時間帯であった。
太陽が地上を照らすまでにはしばらく時間があったが、エリスが主導して報告を始めた。
「こちらはつつがなく完了いたしました。第一軍に加えて治安警邏隊にも連絡を済ませたので、国内の奴隷貿易関連組織は近日中に根絶やしとなるでしょう。国軍内の不純も除去してあります」
見れば、尾行を手引きしていた兵士の姿がない。裏切者は正しく処罰されたようである。
「今回の作戦が民衆にばれているということもなさそうです。聡い者はいるかもしれませんが、そのような人物が情報をまき散らすということは無いでしょう。なお、調査の結果から判明したことですが、フォヴィンスキは村そのものが犯罪組織となっていたようです。ここ最近の羽振りの良さも総じて奴隷の売買がもたらしたものと思われます。道中ですれ違った麦俵の馬車も追いかけて確認しましたが、やはり中身は麦ではありませんでした。王宮の方にも応援要請を出し、この国の全都市を対象に調査をする予定です。ということですので、万事問題ありません。そちらはどうでしたか」
「こちらもよ。あの屋敷の主人の情報から、残っている拠点10ヶ所を探して滅ぼしておいたわ。救出したのは獣王のところね。人間たちにも罪に相応しいだけの罰を与えたのだから、心配するようなことはないでしょう。あとはミイハたちだけよ」
念のため、軍の報告書用に自分たちが行ったことを口答し、お互いに細かいところまで確認をする。エリスが記載を終えると、全員でフォヴィンスキへと転移した。まずはミイハを残している宿屋である。
その入り口に立つと、ライザがエリスに話しかけた。
「私たちから獣王国に頼みたいことがあるのだけど」
「何でしょう」
「あの子、引き取らせてもらえないかしら」
ライザたち3人にとって、エリスという人物は、個人としても軍人としても、自分と同じ国民を譲り渡してくれるような人物には思えなかった。だから当然、断られたら大人しく引くつもりでいたのである。しかし彼女は、その提案を軽く承諾した。
「ミイハはどうやら身寄りがないようなのです。それどころか種族も定かでなく、恐らくは彼女が最後の生き残りと思われます。軍で保護するのも議会から叩かれますし、孤児院では精神が持ちません。お三方に引き取って頂けるならば安心ですし、彼女も嬉しいでしょう。随分と懐いていたようですから」
エリスは3人のことを信用していた。一ヶ月にも及ばない期間ではあるが、実際に一緒に行動し、会話することを通じて、3人の人物像をよく理解していた。『創始者』として世界を監視してはいるが、決して無機的な存在ではない。引き取ったミイハを大切に育ててくれると確信していた。
「もちろん、皆様の立場を考えて獣王陛下の許諾は必要になりますが、あくまで形式的なものですし、現時点をもって皆様の保護下に置いて頂いて大丈夫です」
「ありがとう」
さて、宿は随分と物静かであった。あの大勢が軍に補導されたのか逃走したのかは分からないが、宿にはもうミイハしか残っていない。
「お姉さんたち」
部屋の中に設置しておいた亜空間に入ると、白いベッドに腰かけていたミイハがふり返った。3人に向けてゆっくりと手を振る。
「約束は守ったわよ」
「うん」
言葉はまだ途切れ途切れだが、それも少しずつ回復していくだろう。先ほどエリスと決めたことを伝えても、嫌そうな様子を見せることもなく、元気にうなずいて笑った。
「じゃあ、みんなのところに行きましょうか」
ミイハを刺激しないよう、手を繋いで屋敷へと歩いて行く。転移は使わない。小さな歩幅でゆっくりと進んでいく。いろいろな色の光球で道を照らしながら、時々クルクルと動かしてミイハを楽しませる。
やがて、睡眠魔法と結界が張られた木造民家群にたどり着いた。ミカエラがそれを解除すると、軍人たちが中心となって、捕らえられていた人々を外に連れ出していく。結界に回復効果を加えておいたおかげか、瀕死だったり重病だったりする者はいなかった。
「エリスは全員の出身地を聞いておいてくれるかしら。魔法で送り届けるから」
「いえ、被害者たちの護送は国と軍が責任をもってしますので」
「そういうことならお願いするわね」
「ええ」
答えるや否や、エリスは軍人たちに交じっていった。ミイハも、ずっと一緒にいた者たちが恋しいのだろう、たくさんの人とたどたどしく話をしている。もしかしたら、これからすぐに別れるということを伝えたいのかもしれない。
「良かったわ」
ライザもルナもミカエラも、獣人に特別な思い入れはない。興味があるというのでもなかった。彼らの救出も、彼らのために行ったのではない。それでも、抱き合って涙を流している眼前の光景を見れば、少しばかり嬉しい気持ちになるのである。
そのままじっと見守っていると、ミイハが笑顔で戻ってきた。一通り話は終えたらしい。
元気そうな様子を見て、ライザはそっと念話を繋ぐ。
彼女たちがこの少女を引き取ったのには理由があった。可愛いというのは当然だが、彼女を自分たちの同行者とするつもりだったのである。つまり、『創始者』の権限を使って眷属化しようと思っていたのだ。
ミイハは、しゃべることは難しいが、思考自体があやふやなわけではない。念話ならスムーズに会話ができると踏んだのだ。
『分かった。お姉さんたちと同じにして』
『いいのね?』
『今のままじゃ何もできないのは分かってる。助けてくれたお姉さんたちに恩返しがしたいし、それに私の体を作り変えるんでしょ』
『そうよ』
『だからね、蝶にして欲しいの。空を自由に飛べるように』
彼女はじっとライザの目を見つめる。そこにあるのは、絶望でもなければ諦めでもない、あることへの強い望みであった。
「ルナ、エリスを呼んできて。見てもらうわ」
「いいの?」
「彼女は私たちを信頼してこの子を預けてくれたのよ。立ち会ってもらうべきでしょう」
「そういうことなら」
すぐにルナがエリスを引っ張ってくる。4人の間で繋いでいた念話をエリスにも接続し、ライザが丁寧に事情を説明すると、意外にも彼女はあっさりと賛成した。
「もはや我々の庇護下にはありませんから、非人道的なことでなければ手出しは致しません。そもそも予想していたことですし、何より本人が望んでいるのですから」
彼女にとって、最も大切なのはミイハ自身の意志である。実際に念話で会話をして、操られているようなこともないと分かった。この状況でこちらが否を唱えることはできない。
「ただ、彼女を変える瞬間には同席させてください。それが私が最後にするべきことだと思いますので」
「もちろんよ。というか、そのために貴女を呼んだのだもの。ミイハも、準備は良い?」
『うん』
兵士たちには少し遠くへ行ってもらい、5人だけを囲うように結界を張る。外側から見られることが無いようにするためである。
亜空間からベッドを取り出し、ミイハを仰向けに寝させる。服は脱いでもらう必要があった。
少女の枕もとに屈んだミカエラが問いかける。
「新しい名前はどうしますか?」
『お任せ』
「ふふ。分かりました」
ルナとライザが慎重に力を注いでいく。魔力よりもずっと強力なため、力加減を誤ると大変なことになるのだ。
二人は斉唱する。
「Le yhtherzem」
白い光がその体を包んでいく。
「Mit dipaaser nyikentra'm una Sierra piu Tetra」
それは、繭であった。
そして同時に、殻でもあった。
ミカエラがミイハの精神に干渉を開始する。ミイハが新しい体を想像するのを手伝うために。加えて、彼女が複眼や触覚を作らいないように監視するという、極秘の役割も持っていた。
頃合いを見計らって、ルナとライザが最後の一節を吟唱する。
「Fode'ti eethea ela aifaa tina méten raviatna」
―――――
綺麗な羽を自慢している少女を、3人は何も言わず、木に寄りかかりながら眺めていた。
彼女にはミカエラが新しい名を与えた。新しいとは言っても、今までのを一文字変えただけであるが。もともと綺麗な名前で、全く違うものにはしたくなかったのであろう。
「Meihaが蝶という意味だと知ったら、どんな顔するのかしら」
「内緒ですよ」
「分かってるわ」
これは、ミカエラからのささやかなプレゼントである。
「それにしても、ようやく終わったわね」
「ええ、本当に」
「長かったけど楽しかった」
「そうね。楽しかったし、良かったわ」
地平線が段々と明るみ始め、弱々しい光が辺りに差し込んでいく。メイハの白い羽も、朝日を反射して美しく輝いていた。
東の空にはまだ雲が多い。
「そろそろ行きましょうか」
その時だった。
「なにも良くねえよ」
幼い男の子の声。
集団から離れて、彼女たちの側にいたのである。
「なにも良くねえ」
周囲が再び暗くなった。
「あんたたちが俺らを連れ出したって軍の人に聞いた」
少年は、激しく3人を睨みつける。
「何でだよ。誰がそんなこと頼んだんだよ」
向こうから彼の親らしき人物が駆け寄ってくる。
「あそこから出して、それで終わりなのかよ。どうすればいいんだよ。家もお金も何にもないのに、どうやって生きていけって」
「止めなさいっ」
「あいつらは飯をくれた。住む場所もくれた。俺らが遊べるようにもしてくれた。それが今じゃ何も残ってねえんだ。あんたたちがしたのは、俺らから奪っただけだろ」
「エル、黙って」
「うっせえ。父ちゃんも母ちゃんも分かってるくせに。こいつらがやったのは遊びだよ。道楽なんだよ。たいして考えもしないで、とりあえず可哀そうだからって。勝手に助けた気になって、その後は放っとくだけで」
両親に抱きかかえられ、向こうへと連れ戻されていく。
「あんたらは、俺らを救うふりして、本当は自分が満足したかっただけだ。弱い奴を助ける自分に酔ってるだけなんだ。覚えとけよ。俺の家族はお前らのせいで苦しむんだ。お前らがこんなことしなければ、まだ生きる望みもあったんだ」
きっと両親は理解しているのだろう。自分たちが今までいた場所には、未来など全くなかったことを。だから、2人して丁寧に頭を下げているのに違いなかった。
「ミイハだってそうだ。何だよあの翅。あいつらと全然同じじゃねえか。あいつらのは眼で、お前らのは体だっただけだ。勝手に俺らをいじくりやがって。俺らはお前らの道具じゃない」
必死に大声を上げている。
「許さねえ。ミイハは絶対に連れ戻す。そんで、俺らが奪われた分、全部お前らから奪ってやる。食べ物だけじゃない。仲間も、未来もだ。俺たち全員の苦しみを味わわせてやる」
声が届かなくなっても、地を裂く激しい怒りと憎悪を、少年は強く浴びせかけていた。
暫くの後。
3人のもとに走ってきたのは、慌てた様子のエリスである。
「皆様、激しい嵐が来ているようです。早く王都に向けて出発しましょう。同行員は私だけですので、転移をお願いします」
「貴女だけ?」
「ええ。他の人員は元奴隷たちの護送に充てることになりましたので」
「そう。分かったわ」
太陽は、先ほどからずっと雲に隠れたままであった。上空の強い風にあおられ、朱を帯びた黒い雲が迫ってきていた。
光の届かない夜は、陰鬱な朝に取って代わられようとしていた。
第一章 完
――――――――――
ここまでありがとうございました。
誠に勝手ではございますが、しばらく投稿をお休みさせていただきます。詳しくは近況ボードをご覧ください。
これからも、彼女たちをよろしくお願いいたします。
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