25 / 59
二十四杯目『マッドティーパーティー』
しおりを挟む
環が有栖川茶房の扉を開けると、まず忠臣の背中が目に入った。
そして、店内に居る四人分の視線がほぼ同時にやってくる。
桂、弥生、ジョリー、そして忠臣。
「待たせたな」
「呼び出すなんて珍しいね。クオーリだって話は出来るだろうに」
「桂と弥生にも話を聞きたかったからな。ここがいいと思った」
「そういうことか」
ソファ席でくつろいでいたジョリーが、飲み物を持ってカウンター席にまでやってきた。座ったのは一番端。
環は忠臣とジョリーの間にある空席に座ると、
「ダージリンを。今はセカンドフラッシュがあるだろ。農園は任せる」
桂に注文した。
コーヒーを飲んでいた忠臣が環の方を向き、
「今日は紅茶を飲みに来たわけじゃないんだろう? 一体何の用だ」
「〝アリス〟の輪廻の中に居続ける奴と、〝アリス〟と最も関わっているハートに話を聞きたくてな」
場の空気が、一瞬で凍ったのが解った。
誰もが一旦押し黙って、沈黙が暫く流れた。
聞こえるのは桂が紅茶を入れる作業の音だけ。紅茶を蒸らしている間は、完全に静寂となり、トポトポという音がして、やがて環の前にティーカップが出された。
淹れたてのそれを一口飲んで唇を湿らせてから、環は切り出した。
「俺は〝アリス〟をよく知らない。今の〝アリス〟もかつての〝アリス〟も。ただ、この間、外で会って妙な感じがした」
「妙、って?」
ジョリーが問う。
「表側で、こんなにも〝アリス〟と関わるものなのだろうか、とな」
はっと息を呑むのが聞こえた。環の右側。忠臣だ。
「忠臣は外で会いクオーリに連れて行き、俺たちがいたときは彼女自らがクオーリにやってきて、道端でも会った」
「そういえば父も会ったと言っていた。それと、遵も……」
忠臣が眉をひそめて環の方を見る。
「クローバーとも外で会ってたとはね……」
目は合わせずに、紅茶をもう一口。
「俺は所詮トランプだからはっきりとは解らない。けど、この関わり方を、俺は妙だと思った。閉じた世界で、箱庭の中で、物語は展開していくんじゃないのか」
誰かが作った物語の世界。筋書きも規則も何も解らないまま、為すがままに進行する荒唐無稽な世界。そこに囚われてどれくらい経っただろう。意識が芽生え、役割を知り、呼ばれるようにして集まった。その本当の意味を、環は知らない。理解できない。
ただ、役割があるのならば果たすべき事柄もある筈だ。
そして、役割を担っている状態で得た感覚は、間違ってはいない筈だ。
「だから訊きたい。かつての〝アリス〟はどうだったのか。今の〝アリス〟はどうなのか」
正解が解らないからこそ、整理しておく必要はあると思った。
「ずっと内側に居る三人なら、多少は解るんじゃないのか」
三人――桂、宇佐木、ジョリー。彼らは互いに顔を見合わせ、一巡してから環に向き直った。
「もう一人忘れてるよ、環くん」
勿体ぶるように桂が言う。
その一人を、環は知っている。
「真白だろ? あいつとは俺は連絡が取れない」
「じゃあ、呼んであげよっか。忙しいっていってすぐには来られないだろうけど」
「呼べるならそうしてくれ。あいつにも訊いてみたい」
「じゃあ、電話してみるね」
そう言って桂は、店にある電話の子機をとると、何も見ずに番号を打ち込んだ。長い呼び出しの後、ようやく電話に出たらしい宇佐見と会話を始める。
相手はなかなか諾と言わないようだ。食い下がる桂に対して、相手もなかなかしぶとい。
五分近く粘って、桂は電話を切った。
「今日来てくれるって」
「それは良かった。それまでおまえ達の話を聞こうか」
「話も何も、いつだってアリスちゃんはここで僕らとお茶会してるだけだよ」
「外で接するような〝アリス〟は居たのか」
「さあ、僕、外出ないから~」
誤魔化すようにくねくねと動く桂とは話がまともに続きそうにない。
相手を変え、
「ジョリーはどうなんだ?」
「記憶にはないけどね。大体ここでお茶飲んでるのが定石だし」
「すっきりしない物言いだな」
不満を見せた環に対し、あのね、とジョリーは言葉を続けた。
「僕らは代替わりしないっていっても、全部を覚えてるわけじゃないんだよ? 僕はまだ覚えてる方かも知れないけど、弥生なんて綺麗さっぱり忘れちゃうんだから」
「……なんか俺が莫迦みたいな言い方するなよ……」
「莫迦だなんて言ってないよ。忘れちゃってるって事実を言っただけ」
「でもまぁ、ジョリーの言うとおりなんだけど」
この様子では弥生は訊いても無駄なようだ。
「そもそもさ」
ジョリーが環の方を見る。
「そんなこと聞いて、どうするの? 何かが解ったところでお話は閉じないし、何か知ったところで正解は解らないんだよ?」
「駒は黙ってろ、ということか」
「そうじゃないよ。環が何を危惧してるのか僕には解らないけど、正しい終わり方さえ、僕らは知らないんだよ? 君が言う妙な感じの正体さえ、このお話のスパイスでしかないのかもしれないし」
振りまかれた胡椒に驚いてくしゃみをしているだけ。ジョリーの言い方はそんな風にさえ聞こえる。
目線を落とした環の横で、ふう、とジョリーは強く息をついた。
「君の疑問に答えるならね、今回の〝アリス〟は大分イレギュラーだと思うよ。こちら側にかなり好意的だし、大分踏み込んでこようとしてきてるみたいだし。それこそ、外で〝アリス〟と会うなんて、枠から飛び出しちゃってるようなものだからね」
これで満足か、とでも言いたそうに、ジョリーは口の端を上げてこちらを見ている。
飲み物を啜りながら、こちらが諦めるのを待っているかのようだ。
――無駄な質問。そう言われれば、そうかもな。
違和感の正体が、吉兆か凶兆かを知りたかっただけなのかもしれない。
二十人と一人が巻き込まれているこのおかしな世界は、環にとってさほど大事なものではなかった。ただ、巻き込まれているからにはその世界がどうなってしまうのか、気になるし、気にする権利もあると考えている。
「環は、質問して、どうしたかったんだ」
訊いてきたのは忠臣だ。
「俺は……」
言いかけて、言い淀んだ。
――どうしたい……?
考えても、何も思い浮かばなかった。
「……俺に、願望なんて、ないようだな……」
「でも、何かが妙だと思って俺たちを集めたんだ。なにかあるだろう」
「自分が得た感覚を、確かめたかっただけかもな。誰かも、同じ事を感じていないか。この兆しは何かを示すんじゃないだろうか。それを、確かめたかったのかもしれない」
「……正解さえ、解れば……」
忠臣の言うとおり、正解さえ解れば何の問題も無い。
結局、一つの駒として為すがままにしているしかないのだろう。
沈鬱とした雰囲気の中、突然、
「ふふふふ」
場違いな笑い声がした。
「みんな何真面目腐って怖い顔してるのさぁ。これはお茶会だよ? お茶を飲んで楽しくやっていればいいのさ」
ゆらゆらと揺れながら、桂が言った。
「難しい事はここには要らないよぉ。アリスちゃんが来てくれて、お茶会が成立すれば、僕は何だっていいからねぇ」
この場において、桂の存在は不気味ですらあった。
お茶会に固執するかわりに、お茶会以外にはまるで興味が無い。
「桂は何か知ってることはないのか」
「何について~?」
「たとえば……この輪廻の意味、とか」
「意味ねぇ」
笑みのまま、桂は首を傾げてみせる。少し揺れた後、細めた目をおもむろに開き、
「苦痛からの解放」
知らない表情の桂が居た。
ただ、それは一瞬のことで、
「なんてね~」
見間違いかと思うほど僅かのことだった。
宇佐木までもが驚きで硬直している。
桂の言葉が意味するところは解らない。ただ、それを問えば、またあの表情の桂に会うことになりそうだと思うと、躊躇われた。
会いたくない。
正気なのか狂気なのかまるで判別の付かない目の色は、触れてはいけないもののような気がした。
皆が固唾を呑んだとき、忠臣の背後で扉が開いた。
白かと見まごうほどの薄茶色の髪の青年。
不満に口を尖らせた宇佐見真白がいた。
そして、店内に居る四人分の視線がほぼ同時にやってくる。
桂、弥生、ジョリー、そして忠臣。
「待たせたな」
「呼び出すなんて珍しいね。クオーリだって話は出来るだろうに」
「桂と弥生にも話を聞きたかったからな。ここがいいと思った」
「そういうことか」
ソファ席でくつろいでいたジョリーが、飲み物を持ってカウンター席にまでやってきた。座ったのは一番端。
環は忠臣とジョリーの間にある空席に座ると、
「ダージリンを。今はセカンドフラッシュがあるだろ。農園は任せる」
桂に注文した。
コーヒーを飲んでいた忠臣が環の方を向き、
「今日は紅茶を飲みに来たわけじゃないんだろう? 一体何の用だ」
「〝アリス〟の輪廻の中に居続ける奴と、〝アリス〟と最も関わっているハートに話を聞きたくてな」
場の空気が、一瞬で凍ったのが解った。
誰もが一旦押し黙って、沈黙が暫く流れた。
聞こえるのは桂が紅茶を入れる作業の音だけ。紅茶を蒸らしている間は、完全に静寂となり、トポトポという音がして、やがて環の前にティーカップが出された。
淹れたてのそれを一口飲んで唇を湿らせてから、環は切り出した。
「俺は〝アリス〟をよく知らない。今の〝アリス〟もかつての〝アリス〟も。ただ、この間、外で会って妙な感じがした」
「妙、って?」
ジョリーが問う。
「表側で、こんなにも〝アリス〟と関わるものなのだろうか、とな」
はっと息を呑むのが聞こえた。環の右側。忠臣だ。
「忠臣は外で会いクオーリに連れて行き、俺たちがいたときは彼女自らがクオーリにやってきて、道端でも会った」
「そういえば父も会ったと言っていた。それと、遵も……」
忠臣が眉をひそめて環の方を見る。
「クローバーとも外で会ってたとはね……」
目は合わせずに、紅茶をもう一口。
「俺は所詮トランプだからはっきりとは解らない。けど、この関わり方を、俺は妙だと思った。閉じた世界で、箱庭の中で、物語は展開していくんじゃないのか」
誰かが作った物語の世界。筋書きも規則も何も解らないまま、為すがままに進行する荒唐無稽な世界。そこに囚われてどれくらい経っただろう。意識が芽生え、役割を知り、呼ばれるようにして集まった。その本当の意味を、環は知らない。理解できない。
ただ、役割があるのならば果たすべき事柄もある筈だ。
そして、役割を担っている状態で得た感覚は、間違ってはいない筈だ。
「だから訊きたい。かつての〝アリス〟はどうだったのか。今の〝アリス〟はどうなのか」
正解が解らないからこそ、整理しておく必要はあると思った。
「ずっと内側に居る三人なら、多少は解るんじゃないのか」
三人――桂、宇佐木、ジョリー。彼らは互いに顔を見合わせ、一巡してから環に向き直った。
「もう一人忘れてるよ、環くん」
勿体ぶるように桂が言う。
その一人を、環は知っている。
「真白だろ? あいつとは俺は連絡が取れない」
「じゃあ、呼んであげよっか。忙しいっていってすぐには来られないだろうけど」
「呼べるならそうしてくれ。あいつにも訊いてみたい」
「じゃあ、電話してみるね」
そう言って桂は、店にある電話の子機をとると、何も見ずに番号を打ち込んだ。長い呼び出しの後、ようやく電話に出たらしい宇佐見と会話を始める。
相手はなかなか諾と言わないようだ。食い下がる桂に対して、相手もなかなかしぶとい。
五分近く粘って、桂は電話を切った。
「今日来てくれるって」
「それは良かった。それまでおまえ達の話を聞こうか」
「話も何も、いつだってアリスちゃんはここで僕らとお茶会してるだけだよ」
「外で接するような〝アリス〟は居たのか」
「さあ、僕、外出ないから~」
誤魔化すようにくねくねと動く桂とは話がまともに続きそうにない。
相手を変え、
「ジョリーはどうなんだ?」
「記憶にはないけどね。大体ここでお茶飲んでるのが定石だし」
「すっきりしない物言いだな」
不満を見せた環に対し、あのね、とジョリーは言葉を続けた。
「僕らは代替わりしないっていっても、全部を覚えてるわけじゃないんだよ? 僕はまだ覚えてる方かも知れないけど、弥生なんて綺麗さっぱり忘れちゃうんだから」
「……なんか俺が莫迦みたいな言い方するなよ……」
「莫迦だなんて言ってないよ。忘れちゃってるって事実を言っただけ」
「でもまぁ、ジョリーの言うとおりなんだけど」
この様子では弥生は訊いても無駄なようだ。
「そもそもさ」
ジョリーが環の方を見る。
「そんなこと聞いて、どうするの? 何かが解ったところでお話は閉じないし、何か知ったところで正解は解らないんだよ?」
「駒は黙ってろ、ということか」
「そうじゃないよ。環が何を危惧してるのか僕には解らないけど、正しい終わり方さえ、僕らは知らないんだよ? 君が言う妙な感じの正体さえ、このお話のスパイスでしかないのかもしれないし」
振りまかれた胡椒に驚いてくしゃみをしているだけ。ジョリーの言い方はそんな風にさえ聞こえる。
目線を落とした環の横で、ふう、とジョリーは強く息をついた。
「君の疑問に答えるならね、今回の〝アリス〟は大分イレギュラーだと思うよ。こちら側にかなり好意的だし、大分踏み込んでこようとしてきてるみたいだし。それこそ、外で〝アリス〟と会うなんて、枠から飛び出しちゃってるようなものだからね」
これで満足か、とでも言いたそうに、ジョリーは口の端を上げてこちらを見ている。
飲み物を啜りながら、こちらが諦めるのを待っているかのようだ。
――無駄な質問。そう言われれば、そうかもな。
違和感の正体が、吉兆か凶兆かを知りたかっただけなのかもしれない。
二十人と一人が巻き込まれているこのおかしな世界は、環にとってさほど大事なものではなかった。ただ、巻き込まれているからにはその世界がどうなってしまうのか、気になるし、気にする権利もあると考えている。
「環は、質問して、どうしたかったんだ」
訊いてきたのは忠臣だ。
「俺は……」
言いかけて、言い淀んだ。
――どうしたい……?
考えても、何も思い浮かばなかった。
「……俺に、願望なんて、ないようだな……」
「でも、何かが妙だと思って俺たちを集めたんだ。なにかあるだろう」
「自分が得た感覚を、確かめたかっただけかもな。誰かも、同じ事を感じていないか。この兆しは何かを示すんじゃないだろうか。それを、確かめたかったのかもしれない」
「……正解さえ、解れば……」
忠臣の言うとおり、正解さえ解れば何の問題も無い。
結局、一つの駒として為すがままにしているしかないのだろう。
沈鬱とした雰囲気の中、突然、
「ふふふふ」
場違いな笑い声がした。
「みんな何真面目腐って怖い顔してるのさぁ。これはお茶会だよ? お茶を飲んで楽しくやっていればいいのさ」
ゆらゆらと揺れながら、桂が言った。
「難しい事はここには要らないよぉ。アリスちゃんが来てくれて、お茶会が成立すれば、僕は何だっていいからねぇ」
この場において、桂の存在は不気味ですらあった。
お茶会に固執するかわりに、お茶会以外にはまるで興味が無い。
「桂は何か知ってることはないのか」
「何について~?」
「たとえば……この輪廻の意味、とか」
「意味ねぇ」
笑みのまま、桂は首を傾げてみせる。少し揺れた後、細めた目をおもむろに開き、
「苦痛からの解放」
知らない表情の桂が居た。
ただ、それは一瞬のことで、
「なんてね~」
見間違いかと思うほど僅かのことだった。
宇佐木までもが驚きで硬直している。
桂の言葉が意味するところは解らない。ただ、それを問えば、またあの表情の桂に会うことになりそうだと思うと、躊躇われた。
会いたくない。
正気なのか狂気なのかまるで判別の付かない目の色は、触れてはいけないもののような気がした。
皆が固唾を呑んだとき、忠臣の背後で扉が開いた。
白かと見まごうほどの薄茶色の髪の青年。
不満に口を尖らせた宇佐見真白がいた。
0
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる