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二十八杯目『ショーダウン』
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――どうしてって言われてもねぇ。
まっすぐに見つめてくるアリスの視線が痛い。
アリスはアリスだから。その答えしか桂は持ち合わせていない。間違いを正されるように見つめられるのは、寧ろ桂にとっては心外だった。
今の彼女に、いつもの答えは通じないだろう。
今回の主人公の自我はよほど強いと見える。いつもは取り込まれてしまえばその違和感にすら気付かないでアリスと成り果てるのに。
「アリスって呼ばれるのは嫌?」
試すような質問に対してアリスは、
「あだ名のようなもの、ならいいですよ?」
あくまで〝アリス〟であることは諾としないということだ。
――凄いねぇ。こんな主人公は見たことが無いよ。
世界を壊しかねないイレギュラーを前に、桂は心が躍るのを感じていた。それでも世界が壊れないのは、彼女がお茶会の一員となることは問題としていない、ということだろう。
アリスというあだ名のようなものを持った存在。
――面白いねぇ。
その感想の一方で、何らかの終結の予感を桂は感じていた。
アリスは世界に疑問を持っている。自らをアリスと自認しないアリスがもつ疑問は、答えの疑問が尽きない様子のアリスは、次に環の方を向くと、
「それと、前に朝くんが言ってた、ハートとかスペードってなんなんですか?」
「それは……」
「まるで私なら知ってて当然みたいな言い方だったから、気になって」
「それは……」
同じ言葉を繰り返し、環は答えに窮して口ごもる。答えを持っていない筈のない環が答えられないのは、いささか変だった。
まさか問われるとは思ってもみなかった。そういったところだろうか。
「それは――」
環と同じ言葉で続けたのは忠臣だった。
「このお茶会というお話の為に用意された駒のようなものですよ」
「駒?」
「誰かがこの有栖川茶房でお茶会をするように世界を作ったんです。そのお茶会が楽しくなるように、或いは刺激があるようにと、俺たち十七人が居るんですよ。そして、真白、弥生、桂、そしてトランプからはジョリーが、その繰り返されるお話の中に残り続ける。他のトランプ達は一話限りで代替わりする。
アリスちゃん。あなたはその中に迷い込んできたんですよ」
忠臣の説明を、アリスは静かに聞いていた。
突飛な話にも動じず、少しだけ目を伏せて、目線を下にしている。
ゆっくりと深呼吸するようにアリスは息をした。そしてゆっくりと口を開き、
「それって……私もお話の一部って事?」
「あなたは主人公ですから、主役ですよ」
忠臣の説明に、アリスはすっと息を吸った。
「……私は、そんなつもりでここに来てるんじゃないよ。それに、みんなのこと、駒とかトランプとか、そんな風に思ったこと、無いよ」
――おや? 不思議な感じになってきたねぇ。
有紗でありながらアリス。現実と虚構。二つの世界が重なるように、世界を知らない彼女と知っている彼女とが相まっている。
「ジャックさんや環さんは、望んでここに居るの?」
「ここというのが世界を指すなら、気付いたら役目を与えられていたというのが正しいな」
答えたのは環。コーヒーに目線を落としたまま、ぼそりと言った。
「望んでこの世界に居る者など、一人も居ないんじゃないか。真白は役割に苦しみ、弥生は覚えていることを拒絶した。桂は……どうだか知らないが。そして、俺たちは所詮トランプだ。なるようになるだけだ」
アリスは、環の言葉を聞きながらカウンターの上で両手で拳を握っていた。
彼女にしては珍しく、険しい顔をして、目を閉じている。
「アリスちゃん……。荒唐無稽な話だし、俄に信じられないと――」
「トランプだから何」
忠臣の言葉を遮って、アリスは目を開き、声を発した。
「世界のために作られたわけじゃなくて、世界のために集まった人たちでしょう? それに、私は私、みんなはみんなそれぞれ個人じゃない。ジャックとかキングとか、所詮あだ名のようなものでしょう? この呼び方をあだ名のようなものって言ったのは、ジャックさんじゃない」
「それは……」
「私はみんなとこうしてお茶飲んだりケーキ食べたりするの楽しいよ。でもそれを、義務みたいに思ってるなら、私は一人でいい」
悔しそうに、語尾が少し震えていた。
――〝アリス〟だけのお茶会だなんて。
そんなの面白くもなんともない。そんなことを思いながら場違いに笑んでいる桂のことには誰も目もくれていなかった。
「俺たちだって楽しいよ。だから、アリスにはあんまり知らないで欲しかった。だから言わなかったんだ」
弥生が淹れたてのコーヒーを差し出しながら言う。
コーヒーは見ずにアリスは顔を上げ、目の前の宇佐木を凝視した。
「宇佐木くんに望みはないの? みんなは、一体どうしたいの?」
問うてから、アリスは、真白から始まり忠臣まで目線を左から右へと遣る。
――〝アリス〟が僕らの望みを問うなんて……。
それこそ滑稽だ。
お茶会をする、その一つの目的だけに集められた者達に、本来それ以外の望みなど無い筈だ。少なくとも、彼らはそう思い込んでいる筈だ。
しかし、それもとっくの昔に破綻していたのだろう、と桂は思う。
真白の存在がその最たるものだ。彼は役割を放棄した。
そして今、どうしたいかを問われ、この場に居る桂以外の全員が、その答えを即答出来ずにいる。
――仕方ないよねぇ。今まで主体的に何かするなんて事無かっただろうからねぇ。
桂は揺れながら彼らを眺めやった。どう答えるのか、桂もその言葉を待っていた。
しん、という静寂が耳に付いた頃、宇佐木が唇を舐めた。
「俺はまだ、暫くこのままでいたいな……。忘れて、離ればなれになるの……今は嫌だ」
宇佐木は継続を願った。
「俺も、まだ暫くはこのままがいいですね」
忠臣も継続を願った。
「俺の望みは無いと思っていたんだが……いざ問われると、この状況を崩すのは今は惜しいな……」
環もまた継続を願った。
「僕には聞かないで。僕はこのシステムを無くしたいんだ。無くならないなら、永遠に続けばいい」
真白は何かしらの永遠を願った。
最後にアリスが、桂の方を見る。
「桂さんは?」
「僕? 僕はお茶会が出来ればそれでいいんだよ」
望んだのはやはり永遠。苦痛のない永遠。
「じゃあ決まりだね」
アリスが、にっこりと微笑んだ。
「私もみんなとお茶会したい」
*
口がするすると動く感覚を思い出し、有紗は妙な気分だった。
何かに憑かれていたとも思えるほど、自分が喋っているとは思えない心地だった。しかし、言った内容はきちんと覚えている。
突飛な話だったにもかかわらず、頭は何故か冴えて状況を飲み込んでいた。
もしかしたら、あのときの自分は〝アリス〟だったのかも知れない。そんなことを思いながら、まだ熱いコーヒーを一口飲む。
「はい、ミルクレープお待たせ」
「わぁい! ねえ、宇佐木くん。これ、上から剥がして食べてもいい?」
「好きに食えよ」
「えへへ。お行儀悪いからあんまり外ではしないんだけど……」
層になっているクレープを端からフォークで巻き取っていく。巻き取り終わると口に入れ、また次を巻き取る。ミルクレープはこれが楽しい。
「ねえねえねえ!」
いつの間にかキッチンに行っていた桂が、平ための大きい箱を抱えて戻ってきた。
「今度、本格的なアフタヌーンティーしよう? 三段のケーキトレイ、この間買っちゃったんだ~」
「桂、テメェ、いつの間にそんなの買い込んだんだよ」
「三つもあるよ~。みんな呼んでやろうね~」
「三つも買ったのかよ! いつもの皿でやればいいじゃん!」
「やだなぁ、宇佐木くん。雰囲気って大事なんだよ。雰囲気!」
ケーキトレイとはホテルの喫茶店やデザートビュッフェでしか出会えないものだとばかり思っていた。
まだ未開封のそれに、ケーキ屋のケーキをはじめ、宇佐木のケーキ、焼き菓子が載ると思うと、想像するだけで楽しい。
この小さな店いっぱいに人が集まっているのは、さぞかし賑々しいことだろう。
――楽しみだなぁ。
いつも以上に騒がしい有栖川茶房の一角で、有紗はミルクレープを剥がしながらほほえましく彼らの様子を眺めていた。
陽がそろそろ傾きつつある。
けれどお茶会は終わることを忘れ――。
まっすぐに見つめてくるアリスの視線が痛い。
アリスはアリスだから。その答えしか桂は持ち合わせていない。間違いを正されるように見つめられるのは、寧ろ桂にとっては心外だった。
今の彼女に、いつもの答えは通じないだろう。
今回の主人公の自我はよほど強いと見える。いつもは取り込まれてしまえばその違和感にすら気付かないでアリスと成り果てるのに。
「アリスって呼ばれるのは嫌?」
試すような質問に対してアリスは、
「あだ名のようなもの、ならいいですよ?」
あくまで〝アリス〟であることは諾としないということだ。
――凄いねぇ。こんな主人公は見たことが無いよ。
世界を壊しかねないイレギュラーを前に、桂は心が躍るのを感じていた。それでも世界が壊れないのは、彼女がお茶会の一員となることは問題としていない、ということだろう。
アリスというあだ名のようなものを持った存在。
――面白いねぇ。
その感想の一方で、何らかの終結の予感を桂は感じていた。
アリスは世界に疑問を持っている。自らをアリスと自認しないアリスがもつ疑問は、答えの疑問が尽きない様子のアリスは、次に環の方を向くと、
「それと、前に朝くんが言ってた、ハートとかスペードってなんなんですか?」
「それは……」
「まるで私なら知ってて当然みたいな言い方だったから、気になって」
「それは……」
同じ言葉を繰り返し、環は答えに窮して口ごもる。答えを持っていない筈のない環が答えられないのは、いささか変だった。
まさか問われるとは思ってもみなかった。そういったところだろうか。
「それは――」
環と同じ言葉で続けたのは忠臣だった。
「このお茶会というお話の為に用意された駒のようなものですよ」
「駒?」
「誰かがこの有栖川茶房でお茶会をするように世界を作ったんです。そのお茶会が楽しくなるように、或いは刺激があるようにと、俺たち十七人が居るんですよ。そして、真白、弥生、桂、そしてトランプからはジョリーが、その繰り返されるお話の中に残り続ける。他のトランプ達は一話限りで代替わりする。
アリスちゃん。あなたはその中に迷い込んできたんですよ」
忠臣の説明を、アリスは静かに聞いていた。
突飛な話にも動じず、少しだけ目を伏せて、目線を下にしている。
ゆっくりと深呼吸するようにアリスは息をした。そしてゆっくりと口を開き、
「それって……私もお話の一部って事?」
「あなたは主人公ですから、主役ですよ」
忠臣の説明に、アリスはすっと息を吸った。
「……私は、そんなつもりでここに来てるんじゃないよ。それに、みんなのこと、駒とかトランプとか、そんな風に思ったこと、無いよ」
――おや? 不思議な感じになってきたねぇ。
有紗でありながらアリス。現実と虚構。二つの世界が重なるように、世界を知らない彼女と知っている彼女とが相まっている。
「ジャックさんや環さんは、望んでここに居るの?」
「ここというのが世界を指すなら、気付いたら役目を与えられていたというのが正しいな」
答えたのは環。コーヒーに目線を落としたまま、ぼそりと言った。
「望んでこの世界に居る者など、一人も居ないんじゃないか。真白は役割に苦しみ、弥生は覚えていることを拒絶した。桂は……どうだか知らないが。そして、俺たちは所詮トランプだ。なるようになるだけだ」
アリスは、環の言葉を聞きながらカウンターの上で両手で拳を握っていた。
彼女にしては珍しく、険しい顔をして、目を閉じている。
「アリスちゃん……。荒唐無稽な話だし、俄に信じられないと――」
「トランプだから何」
忠臣の言葉を遮って、アリスは目を開き、声を発した。
「世界のために作られたわけじゃなくて、世界のために集まった人たちでしょう? それに、私は私、みんなはみんなそれぞれ個人じゃない。ジャックとかキングとか、所詮あだ名のようなものでしょう? この呼び方をあだ名のようなものって言ったのは、ジャックさんじゃない」
「それは……」
「私はみんなとこうしてお茶飲んだりケーキ食べたりするの楽しいよ。でもそれを、義務みたいに思ってるなら、私は一人でいい」
悔しそうに、語尾が少し震えていた。
――〝アリス〟だけのお茶会だなんて。
そんなの面白くもなんともない。そんなことを思いながら場違いに笑んでいる桂のことには誰も目もくれていなかった。
「俺たちだって楽しいよ。だから、アリスにはあんまり知らないで欲しかった。だから言わなかったんだ」
弥生が淹れたてのコーヒーを差し出しながら言う。
コーヒーは見ずにアリスは顔を上げ、目の前の宇佐木を凝視した。
「宇佐木くんに望みはないの? みんなは、一体どうしたいの?」
問うてから、アリスは、真白から始まり忠臣まで目線を左から右へと遣る。
――〝アリス〟が僕らの望みを問うなんて……。
それこそ滑稽だ。
お茶会をする、その一つの目的だけに集められた者達に、本来それ以外の望みなど無い筈だ。少なくとも、彼らはそう思い込んでいる筈だ。
しかし、それもとっくの昔に破綻していたのだろう、と桂は思う。
真白の存在がその最たるものだ。彼は役割を放棄した。
そして今、どうしたいかを問われ、この場に居る桂以外の全員が、その答えを即答出来ずにいる。
――仕方ないよねぇ。今まで主体的に何かするなんて事無かっただろうからねぇ。
桂は揺れながら彼らを眺めやった。どう答えるのか、桂もその言葉を待っていた。
しん、という静寂が耳に付いた頃、宇佐木が唇を舐めた。
「俺はまだ、暫くこのままでいたいな……。忘れて、離ればなれになるの……今は嫌だ」
宇佐木は継続を願った。
「俺も、まだ暫くはこのままがいいですね」
忠臣も継続を願った。
「俺の望みは無いと思っていたんだが……いざ問われると、この状況を崩すのは今は惜しいな……」
環もまた継続を願った。
「僕には聞かないで。僕はこのシステムを無くしたいんだ。無くならないなら、永遠に続けばいい」
真白は何かしらの永遠を願った。
最後にアリスが、桂の方を見る。
「桂さんは?」
「僕? 僕はお茶会が出来ればそれでいいんだよ」
望んだのはやはり永遠。苦痛のない永遠。
「じゃあ決まりだね」
アリスが、にっこりと微笑んだ。
「私もみんなとお茶会したい」
*
口がするすると動く感覚を思い出し、有紗は妙な気分だった。
何かに憑かれていたとも思えるほど、自分が喋っているとは思えない心地だった。しかし、言った内容はきちんと覚えている。
突飛な話だったにもかかわらず、頭は何故か冴えて状況を飲み込んでいた。
もしかしたら、あのときの自分は〝アリス〟だったのかも知れない。そんなことを思いながら、まだ熱いコーヒーを一口飲む。
「はい、ミルクレープお待たせ」
「わぁい! ねえ、宇佐木くん。これ、上から剥がして食べてもいい?」
「好きに食えよ」
「えへへ。お行儀悪いからあんまり外ではしないんだけど……」
層になっているクレープを端からフォークで巻き取っていく。巻き取り終わると口に入れ、また次を巻き取る。ミルクレープはこれが楽しい。
「ねえねえねえ!」
いつの間にかキッチンに行っていた桂が、平ための大きい箱を抱えて戻ってきた。
「今度、本格的なアフタヌーンティーしよう? 三段のケーキトレイ、この間買っちゃったんだ~」
「桂、テメェ、いつの間にそんなの買い込んだんだよ」
「三つもあるよ~。みんな呼んでやろうね~」
「三つも買ったのかよ! いつもの皿でやればいいじゃん!」
「やだなぁ、宇佐木くん。雰囲気って大事なんだよ。雰囲気!」
ケーキトレイとはホテルの喫茶店やデザートビュッフェでしか出会えないものだとばかり思っていた。
まだ未開封のそれに、ケーキ屋のケーキをはじめ、宇佐木のケーキ、焼き菓子が載ると思うと、想像するだけで楽しい。
この小さな店いっぱいに人が集まっているのは、さぞかし賑々しいことだろう。
――楽しみだなぁ。
いつも以上に騒がしい有栖川茶房の一角で、有紗はミルクレープを剥がしながらほほえましく彼らの様子を眺めていた。
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