有栖川茶房

タカツキユウト

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三十二杯目『女王の晩餐』

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 十一月の月末の土曜日。
 七時くらい、というざっくりとした約束だったので七時にクオーリを訪ねたところ、既に真は店の中に居た。一緒に妃もいる。
 二人に手招きされて向かったのは、ワインの棚がよく見える一番奥のテーブル席だ。
「妃さんも一緒だけど、いいよね?」
「勿論!」
 快諾した後に席に着くと、思ったよりも緊張した。
 妃は小柄だが威圧感が凄いというか個性が前面に出ているというか、とにかく存在感が強烈な女性だ。今日も赤い色のスーツを着て、赤く塗った唇の端を嬉しそうに上げている。
「やあ、こういう女子会も、たまにはいいものだな!」
「女子会……」
「えー、ボク、女の子じゃないよぉ」
「じゃあ、今日だけ女子ということにしよう」
「やだよー」
「そうか? 残念だなぁ。こんなに可愛いんだからいいじゃないか」
「やめてぇ、むにむにしないでぇぇ」
「やあ、よく伸びるほっぺただな」
「伸ばさないでぇぇぇ」
 頬をつままれている真は確かに可愛い。しかもこう見えて有紗よりも年上だというから信じ難い。
 やっと解放された真は、メニューを開いて寄越してきた。
「今日はジャックいないから食べたいものを頼みつつ計画的にいかないとね。すぐにお腹いっぱいになっちゃうから」
「そ、そうだね」
 以前クオーリで夕飯を食べたときは忠臣に任せきりで食べたいものを摘まむことに終始していれば良かった。今回は常人が三人。三人とはいえ、小柄な二人と普通の腹しか持っていない有紗だ。シェアするにしてもそんなに品数は頼めない。
 メニューの上で目を泳がせている間に、瑛がやってきた。
「お揃いのところでドリンクから注文伺おうかな。妃は赤ワインだろ?」
「私には注文もさせてくれないのか」
「だっていっつも同じのだから」
「そうだ。ワインの赤を持ってこい。あと、カプレーゼとチーズの盛り合わせ」
「ボクはアランチャータ!」
「私は……ブラッドオレンジジュースで」
「はいよ~」
 さらさらとメモを取ると、瑛は颯爽と去って行った。
 また三人の状態に戻る。何を話していいかわからないでいると、妃がこちらを向いた。
「そういえばアリスはまだ未成年だったな。来年解禁か」
「はっ、はい」
「そう緊張するな」
 するな、と言われても、未だかつてこれ程までに豪快な人に会ったことがない。緊張というよりも、気圧されている、という方がどちらかといえば正しい。何度か会っていると言っても、こうして隣になるのは初めてだ。
 その気圧された状態をどうにかほぐそうと努力しつつ、有紗は居住まいを正した。結局肩に入った力は抜けないままで、時間と食事が緩めてくれるのを待つしかなさそうだった。
「酒はいいぞ。一口で疲れを、一杯で人生を癒やしてくれる」
「一本飲んだらどうなっちゃうんだろうね。昇天するの?」
「エースは存外嫌味を言うなぁ。私はそんなに飲まないぞ」
「嘘だっ。いつも平気で一本開けちゃうじゃん」
「まあ、偶にな。希によくそういうこともある」
 何も言わずじっと見つめる真の様子から察するに、妃の言葉の訳は、よくあること、なのだろう。
「アリスも飲める体質だといいな」
「こればっかりは飲んでみないとわからないですからね」
「意外と酒豪だったりしてな」
「酒豪はヤだなぁ」
 何事もほどほどがいい。
「アリスちゃんは妃みたいにはなりたくない、と」
 言いながら、瑛が飲み物を運んできた。
「そういう意味じゃないですよぅ。適量がいいな、って、そういう話ですって」
「まあ、飲めなきゃ飲めないでつまんないからな」
「そういうことです」
 とん、とブラッドオレンジジュースが入ったグラスが目の前に置かれた。真にはアランチャータ、妃には赤ワインがボトルごと置かれている。
 瑛は空のグラスに赤ワインを注ぎ、
「ほい。妃が大好きな赤」
 ボトルはそのままテーブルの上に残された。恐らくこれ一本飲んでしまうのだろう。
 続けてジョリーがカプレーゼとチーズの盛り合わせと取り皿を持ってきた。
「メインはどうする? お肉料理とかだと時間かかったりするから早めにね」
 早めに、と言われるとつい焦ってしまう。先ほどもずっと見ていたメニューにまた目を泳がせる。
 そうしている間に、
「ラザニアを一つ、あと、鴨のローストを」
 同じくメニューを見ていた妃が注文をしたのを聞いて、真が少し渋い顔をする。
「ちょっとぉ、妃さぁん。アリスとの食事会なんだから、アリスにも選んで貰ってよ。さっきからずっと妃さんの独壇場じゃない」
「おや、それは悪いことをした。アリス。何が食べたい」
「え、えっと、この、エビとキノコのアヒージョを。あと、アサリの酒蒸しを食べてみたいです」
「いいぞ、頼め頼め」
 酒飲みの摘まみのような内容になってしまったが、食べたかったのでよしとする。
 再び三人に戻ったところで、ふと、妃が真っ先にラザニアを頼んだのを思い出した。テーブルの上にあるカプレーゼも、モッツァレラとトマトとで白と赤の綺麗なコントラストをしている。
「妃さんって、本当に赤い食べ物好きなんですね」
「美味しければ何でも好きだぞ」
 ――こだわってるわけじゃ、ないんだ?
 執着にも似た感覚でこだわっているのだとばかり思い込んでいた。
 どうやら違うらしい。せいぜい、目が無い、という程度なのだろう。早くも一杯目が空きそうな妃のグラスを見ながらぼんやりと思う。
「そういえばね、この間、エース会議やったんだ」
「エース会議?」
 また突拍子もない話が始まった。
「そう。エース四人が集まって持ち寄った議題で会議するの」
「エースは楽しそうだな。何かと理由つけて集まっているだろう」
「ふふん。いいでしょ」
 興味があるのかないのかわからない態度の妃の隣で、真は自慢げだ。
「で、りようが持ってきた議題が、『最近、龍臣たつおみがウザイ』」
「ははっ! 遂に菱にまで疎まれ始めたのか、龍臣は」
 身内の話のようなので何が面白いのかはわからない。
 取り敢えず有紗が思うのは、
「菱……くん、だ。ね。〝ちゃん〟は葵ちゃんだもんね」
「正解!」
「んー? あれは〝ちゃん〟じゃないのか?」
 妃による唐突な意見により、真の眉間にきゅっと皺が寄った。
「あれは〝くん〟だよ。だって、付いてるもん」
「だが、見た目は完全に〝ちゃん〟だろう」
「見た目にだまされちゃ駄目だよ。中身はオスだもん」
 方々で議論になる菱という人物は一体どんな人なのか。今日も謎が深まっただけで正解はお預け。正解に出会える日は来るだろうか。スモークチーズをつまみながら、ただならぬ人物について色々と妄想してみた。
 勝手に作り上げた人物像が、見た目が完全な美少女の男の娘、となったところで、もう一つ気になることが。
「あの、龍臣、さんって、もしかして忠臣さんのお兄さんですか?」
「ああ、そうだ。よくわかったな」
「名前に共通点があったからそうかな、って」
 忠臣が話題にもしたがらなかった兄が、ここに来て片鱗を表し始めた。
 彼の兄弟は未だに謎が多い。弟の正臣も名前だけで姿を見たことが無い。
「どんな方なんですか?」
「端的に言えば……面倒、かな。話は割と噛み合わないし、俺様なところが鬱陶しい」
「忠臣さんとはまるでベクトルの違うキャラなんですね」
「三兄弟で全員方向性が違うから面白いな、あそこは」
「そうなんだぁ……」
 是非一度三人並べて会ってみたい。そうなった時の忠臣の嫌そうな顔が目に浮かぶ。
「でね、その龍臣が、最近特にウザいんだって。会話しててもめちゃくちゃだし、支離滅裂で手に負えないって」
 話を逸らされた真が、少し身を乗り出して話題を続ける。相手をするのは先ほどからワインを飲んでばかりいる妃だ。
「それはもう、病院案件じゃないのか」
「流石にそこまでしてないみたいだけど、連れてった方がいいかもね」
 なにやら大変なことになっているようだ。口を挟む余地が無く、有紗はトマトとモッツァレラチーズを皿に取って食していた。
 ――美味しい。
 咀嚼しながら、彼ら絵札の関係性について面白いと考えていた。
 柄での括りだけではなく、同じ役割同士でも繋がっている。横にも縦にも関係性が広がっているのだ。
 となると、何とも括られない自分は、ちょっとだけ、寂しい。
「他の絵札の方達は集まったりしないんですか?」
「クローバーは多忙だし、ダイヤは菱以外は殆ど国内に居ないからな」
「へぇ……。皆さん、何されてるんです?」
「クローバーは葵以外は医療従事者で、ダイヤについては聞かない方が身の為だ」
「あっ……はい……」
 知らない方がいい職業を、有紗はそれ程思い当たらなかった。詮索する余地も無く反射的に返事と同時に飲み込んでいると、妃が何杯目かのワインを飲み干した。
「そもそも、集まる理由も無い。エースが集会しているのが不思議なくらいだ」
「でも、割と仲はいいよね。ほら、宝(たから)とか」
「まあ、悪くはないが」
 真の言に対してどこか歯切れの悪い妃は、チーズを摘まんで食べ始めた。
「宝、さん……」
 興味本位には勝てず有紗がその名を口にすると、食べかけのチーズを持ったままの妃が鋭い目線を向けてきた。
「いいか、アリス。ダイヤのクイーン、宝とは絶対関わるな」
「な、何でですか?」
「無いとは思うが、関わったら最後、餌食にされるぞ」
「ひえっ……」
 餌食の意味にも色々あるが、それを尋ねることが出来る気配ではなかった。
 そんな人とどうして妃は仲がいいのか。それもやはり訊けない。
 有紗はグラスを手に取り、疑問と一緒にジュースを飲み込んだ。
 沈黙がやってきた。前菜の皿の上は大分寂しくなり、そろそろ誰が最後に食べるかで暗黙の押し付け合いが始まる量だ。
 図々しく食べるか。年下として大人しく手を引っ込めているか。考えあぐねている間に、瑛がアヒージョと酒蒸しを持ってやってきた。
 何かを感じ取ったのか、瑛は皿を置きながら有紗の顔を覗き込んできた。
「どうした、アリスちゃん。神妙な顔しちゃって。妃に虐められたか?」
「世の中にはいろんな人がいるんだなっていうお話を聞いた所なんです」
「宝の話だ」
 付け加えたのは勿論妃だ。
 成る程という風に瑛は首肯すると、
「あいつは確かにアリスちゃんにとっては危険人物かもな。なんせ――」
 物騒な単語が出てきた割に、瑛はケラケラと笑っている。
「宝は、女の子大好きだから」
「まさかの。そういう意味だったんですか?」
 意外な展開に目を見開いて妃を見れば、
「危険には違いないだろう。大事なアリスがくしゃくしゃにされてしまう」
 命の危険はなさそうなのは幸いだ。妃は心配して言ってくれていただけとわかり、自然と肩から力が抜けた。
 最後の一個になっていたカマンベールチーズを摘まみ、安堵した胃の中に落としていく。
「なあ、アリスちゃん。クリスマスの三日間、空いてない?」
 唐突に瑛が来月の話を始めた。
「残念ながら予定はガラ空きですけど、どうしてですか?」
「人手が足りなくってさ。バイト、しない?」
「そういうことなら、冬休みは本屋さんのバイトしようと思ってたんですけど……」
「な、頼むよ。時給弾むから!」
 そう言われ、お金に揺れている自分がいる。
 ――だって、お金は大事。
 まだ本屋の関係者には冬休みの話はしていないので、今の段階ならばどうにでもなる。
「ちょっと考えさせてください」
「ああ。出来ればなるべく早めに連絡して貰えると助かる」
「はーい」
 突然降ってきたよい稼ぎ口の話に、半ば食事そっちのけで悩み始めてしまった。
 三日間だけというのは短いようにも思えるが、もともと冬休みは短い。残りの時間を自由に過ごすのも悪くない。
 どうしたものか。
 取り分けたアヒージョのエビをフォークで口に運びながら思案していると、
「お待たせー。ラザニアと鴨のローストだよ。ラザニアは熱々だから気をつけてね」
 ジョリーが湯気の立つ皿を運んできた。
 思案は暫し中止。
 本日最大のメインを取り分ける作業に移った。

   *

 出てきたデザートはカッサータというらしい。
 フルーツが入った白いテリーヌのような見た目だ。白い部分はチーズを使ったアイスということで、ひんやりとしている。
 一緒に出てきた飲み物はカプチーノ。
 カッサータをフォークで小さく切り取り口に入れると、成る程、チーズ味の濃いアイスだ。諄くなった口の中がさっぱりして、美味しい。
 デザートも完食し、程なくして出てきた伝票を三人で覗き込むと、常識的な数字がそこにあった。というより、非常識なのは忠臣の胃袋の方か。
「お支払い……」
「私が払うからアリスはいい」
 すっと財布を出すと、見えない手が押さえつけてきた。
「でも、そういうわけには。だって私、このお店でお会計したこと実はないんです」
「それなら記録を伸ばすといい」
「でも……」
「さあ、財布なんて引っ込めろ」
 引っ込めざるを得なかった。今回も完敗。今回高かったのは結局ボトル一本空けてしまった妃のワインくらいのものだったのに、一円も出させて貰えなかった。
 余りごねるのも面子を潰すようで出来ない。
 ありがたく思うことにしよう。そう決めて、有紗は財布を仕舞った。何度そう思って財布を仕舞ったか数知れない。
「ふう」
 思いの外、満腹だ。お腹をさすりながら、ふと、この場に居ないハートの一人を思った。
「そういえば今日、忠臣さんはどうしてるんでしょう。お一人ですよね?」
「さあな。あいつは料理はしないから、何処かへ食べに行ってるんじゃないか」
 と、妃。
「ラーメンでも食ってるんじゃねぇの? 弥生とか誘ってさ」
 と、会計を終えてカードを返しにやってきた瑛。
 町のラーメン屋のカウンター席で二人が並んでラーメンを啜っているところを想像すると、存外しっくりきた。
「何だか楽しそう」
「えー、アリス、ボクとの食事、楽しくなかった?」
 何故か斜め方向から噛みつかれた。慌てて手の平を見せて振り、否定する。
「そんなことないよ。楽しかったよ!」
「じゃあ、女子も楽しいコトしようか。スイーツバイキングとか!」
「スイーツバイキング!」
「ねー、それってボクも連れてってくれるよね?」
「女子会だから駄目だ。エースが女の子になったら混ぜてやる」
「そんな無茶苦茶だぁ! さっきは女の子扱いした癖に!」
 本当に悔しそうに地団駄を踏んでいる真を囲って、どっと笑いが起きる。
 こうして食事会の夜は他愛もなく過ぎていった。
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