253 / 270
249話 - 知識
しおりを挟む
『知恵……?』
「知恵、もしくは知識かのぉ。我はお主らの役に立ちたいのじゃ……」
『ここに来る前にも言ったけど、家族としておばあちゃんと過ごしたいから誘ったんだよ?役に立つとか立たないとか……』
「あぁ、いや。それは重々承知しておるのじゃ。ただ、我の本質的な部分なんじゃよ……。我の事を大切に思ってくれているのがわかるから尚の事役に立ちたいと思うんじゃ。以前みたいにお主らの役に立てんから居る意味がない、とまでは思わん。ただ、やはり力になりたいと思うんじゃよ」
僕にもそう言った気持ちはある。
エステルの集落を助けたことだって、100%ハイエルフの為かと言われるとそうじゃないもん。
僕は正義のヒーローじゃないんだ。
エステルに笑って欲しかったからやった。
それだけだもん。
『まぁ言いたいことは理解できるよ?ただ、充分力になってもらってるけどなぁ。逆になんでそんなに力になれてないと思うの?』
「まず、我は戦闘では役に立たん」
『その”まず”、が全然理解できん。超頼りにしてるけど……』
「……うん。いつも傷を治してもらってる」
おばあちゃんって自分のトレーニング以外の時は基本僕と反対の行動をするんだよね。
絶対に回復要因が皆のところに回るように動いてるんだよ。
「そうできるように意識はしておるのじゃ。ただ、クロムとクラムがおればなんとかなる事が多いじゃろ?それに、お主らが訓練で負う傷程度、異次元倉庫にいれている治癒の魔石で事足りるのじゃ」
『その魔石も最近はおばあちゃんが作ってくれてるけどね?』
「クロムでもクラムでも作れるじゃろ?」
『いや、まぁそりゃそうなんだけど……』
うーん。
みんな基本怪我が無いように立ち回ってるからなぁ。
死ぬ可能性があったのなんてダンジョン進行を進めているときくらいだ。
進行してないのに大ダメージを受ける確率のある特訓はさすがにしないよ。
……僕は自爆ダメージ訓練やってるけどさ。
というか最近擦り傷すらお互いの組手する時にしか負わないレベルだもん……。
訓練にならなくてクラムの結界切ってやってるよ……。
「もう少し早く一緒に来ればよかったのじゃ……。我が変な意地を張っておったばかりに役に立てる機会を逃してしまったのじゃ。空中階層や溶岩階層で一緒に進行できればよかったんじゃが……」(ショボーン)
『あぁ、まぁ……それは……』
70、80階層とかおばあちゃんが居ればめちゃくちゃ楽だったかも……。
ってか正直、多分余裕だったな。
『でも、おりょーりとか、おうちたてたりするのもてつだってもらってるよ~?クラムいっぱいてつだってもらってる~!』
そうだそうだ!
戦闘が全てじゃないよ!
おばあちゃんが地魔法覚えたのだってクラムの為なんだ。
クラムがいろいろ建築しているときに周りの整備とか細々した事をおばあちゃんがしてくれてるんだもん。
それに近頃家ですごく料理作ったり裁縫したりしてるんだ。
実はおばあちゃんって料理や細工や裁縫みたいな制作系のスキル軒並み覚えてるんだからね!?
「でも、それも本来クラムだけでもできるじゃろ?」
『そうだけど~』
「そうじゃろ~?我が皆の力になっているとは思えんのじゃ……」ウジウジ……
『本当にそんなことないんだけどなぁ。サポートってすごくありがたいんだよ?』
サポーターってみんな出来ることじゃないと思うよ?
僕だってこんな能力持ってなかったらサポーターに徹したい性格だもん。
チームを支えるってすごく大切なことじゃん……
僕はそれがやりがいになるタイプなんだけど……
「それはそう思うのじゃ。じゃがのぉ……それが1番もどかしいのじゃ……」
『あら?サポーターが嫌なんじゃないの?』
「違うのじゃ。何と言えばよいかのぉ……。もちろん目立ちたいとかそういったことではないぞ?我はお主らを支えるのは好きでやっておるのじゃ。ただのぉ……」
サポートがもどかしい?
目立った活躍ができないってことが悩みなんじゃないのか……。
僕の想像と違った……。
「そういえば、おばあ様は近頃王都の本屋や図書館に行っているのですよ?この前図書館で見かけました。とても真剣な顔をしていたので声はかけなかったのですが……」
『読書が趣味になったの?』
「いえ、それが、おばあ様が読んでいる本は料理本や街づくりに役立ちそうな本ばかりなんですよ……」
「見ておったのか……。なにかできることが無いかと思って頻繁に図書館に通っておったのじゃ……。本屋や図書館は静かじゃし人見知りも考えんでよいからのぉ」
「あまり人気はないですよねぇ。獣人国の方々はあまり本を読む文化はないのでしょうか……」
そうだったんだ……。
みんなの自由時間まで全て把握してるわけじゃないからなぁ。
確かにおばあちゃんって自由時間になるとよく出かけるよなぁ。
村の中を色々見回ってるのかと思ってた。
「ただのぉ、色々見てみたのじゃが、対して役立つ本がないのじゃ。見なくともわかる情報や村のものに聞けばわかる程度のもの。あとは娯楽品しかないのぉ。裁縫や料理、建築に関してもクロムやクラムから聞く情報以上のものは見当たらぬ……」
「そうなのですか……。私は娯楽目的だったので、参考書のようなものはあまり見たことがなかったです……」
『ちぇ~。たくさん本よんでるんだったら、おりょーりおしえてもらおうとおもったんだけどな~』
「そうじゃろ?我も世界の料理を知ることができればクラムに教えてやれると思ったのじゃが……。それだけではないぞ?戦闘技術なども一応調べてみようと思ったのじゃ。医療の心得などもあればよいと思った。……じゃが戦闘技術の系統はクラマやキャシーに聞く以上の知識が得られるようなものはないし、医療に関しては論外じゃ。クロムの前世以上の知識はそもそもこの世界には存在せぬしのぉ」
「……ぼくの技術なんかじぃじに比べたらまだまだ。この程度……」
僕の知識にしても前世でネットサーフィンして覚えている程度のもんだぞ……。
前世の人なら、調べたことがあればみんな知ってるレベルの事だよ……。
「そんなことはないぞぇ?じゃが、我が知識としてでも戦闘技術を知っていればクラマに伝えてやることもできたのじゃ……」
「……それはうれしい。ぼく、本読むの苦手」
「そうじゃろ?じゃから我は知識担当になりたかったのじゃ。我は読書も好きじゃからのぉ」
『そんなに色々してくれてたんだ……。気付かなくてごめんね……』
「違うのじゃ!これは我の趣味なのじゃ!婆が孫と遊ぶのが楽しいのは普通じゃろ?我にとってこれがお主らとの遊びなんじゃ」
『まぁそう言われれば……。僕が家族のみんなに魔法を教えて楽しんでるのと同じでしょ?』
「うむ、そうなのじゃ!じゃから全く気にせんでええんじゃ!……じゃがのぉ。本屋にすら何の情報もないとは……。我が自然界で生きておる方が情報が集まるくらいじゃ……」
それならいいけど……。
でも、本屋にそこまで情報が何もないってどうなってんだ……。
「それに王から借りた歴史書等の書物。あれもおかしい。我はこれでも長らく生きておるのじゃ。都合が合わん歴史や書物によって矛盾しておることが多数ありすぎるぞ……。大陸に存在しておらんような国まであるんじゃぞ?飛び回っておっただけの我でもわかる……。あれらはきっと本来の歴史ではない。都合よく捻じ曲げられておる気がするのじゃが……」
それは逆におばあちゃんにしか気付けないことだ……。
1万年とか生きてたらそりゃわかるよな。
昔そんなとこに家なかったけど!?
って言うのが国のスケールであるってことでしょ?
やばすぎるだろ……。
あ!!
『わかった。ソフィア様が言ってたんだ。この世界の人は情報を秘匿する傾向にあるんだって。料理でも建築でも何でも、飯のタネや自分の利、地位やお金に代わりそうな事は多分書物に記してないんだよ。書いてあるのは娯楽系統か、くだらない情報ばっかなんだと思う。歴史は抹消されているとも言ってた。国に都合の良いことしか書いてないって』
「やはりそうじゃったのか……。思った通りじゃ。まだ我がノアと暮らしておった時の書物の方が知識が得られるほどじゃぞ……。ではいったい何のために本が存在するんじゃろうのぉ……」
ノアさんって確かおばあちゃんの古い友人だよね。
1万年くらい経ってるのに劣化してる情報って……。
ソフィア様から聞いたこと間近に感じるとこの世界本当にやばいな……。
『正直エステルが好きな作り話や自伝みたいな物語以外に読む価値のある本はないかもしれないなぁ』
「えぇ。それを聞くと私も参考書の類のものは読みたくなくなりましたね……。参考にならない参考書や歴史を捻じ曲げられた歴史書を読んでも間違った知識が入ってくるだけです。他の皆の魔法のように……」
うん、デメリットにしかならん。
間違った常識を植え付けられるだけだ。
『うそつきなんだね~!クラムも本いらない~!パパにきく~!』
「……うん。勉強嫌い。でも、まだパパに教えてもらうほうがわかりやすい」
「それを我が補助したかったんじゃがのぉ……。クロムしか知らぬ知識が多すぎるんじゃ……」
『まぁそれは仕方ないところはあるけどね。僕は違う世界から来たんだもん。気持ちは受け取るよ。ありがとう』
それにしてもこの世界の書物って最悪だな……。
きっとそんなだからこの世界って製紙技術が進んでないんだ……。
綺麗な紙じゃなかったけど、紙はあることはあるんだよ?
でも紙1枚100円だよ!?やばいよね。
書物あってもなくてもいいんだもん。
その程度の情報しか書かれていない、と……。
主に商売人が売り上げや商品を書き留めるくらいにしか使わないんだ。
だから対して紙の製造がされていないんだ。
一応僕等が主に拠点にしてるところって王都なんだよ?
それでこれだもん。
本が沢山あるように感じてた。
それって王都だから世界中の本が集まってきてるだけなんだよ。
他の街で図書館なんか見たことなかったもん。
本って本来知識を広めるために作るもんでしょ?
高いお金払って娯楽に本を購入する人なんてごくわずかしかいないよ……。
「おばあ様は、それで知恵が欲しい、と……」
「そうなのじゃ。知恵、もしくは知識じゃのぉ。知ることが出来れば、お主らの知らないことを教えてやることもできるじゃろ?気になったことは村のものに聞くようにはしておるのじゃがのぉ。これほど情報を知る事ができぬことをもどかしいと思ったことはないんじゃ。はぁ……」
僕の知識ってネットで調べてただけなんだもん。
知らないことは検索するって癖がついてたから人よりはうんちくの量は多いかもしれない。
でも何でも覚えてるわけじゃないんだ。
例えば、前に言ったことあるけど僕毛染めの染料の作り方とかしらないよ?
ビールだって結局作れなかった。
やってみたけど結局よくわかんなかったんだよね……
適当に買った麦っぽい植物が適してなかったのか作り方が悪かったのか……
まぁいいんだけどね。
今果実酒の方が好きだし。
『僕がわかることなら伝えるけどねぇ。僕もこの世界の人よりわかる事は多くても何でもわかるわけじゃないからなぁ。僕が調べた経験がないことまで知らないよ……』
「それは当たり前じゃ。それに、そうなると結果的にクロムの手を煩わせるだけじゃろ?自分で調べられるのがよかったのじゃが……。無理そうじゃのぉ……」
おばあちゃんが知恵が欲しいって言ったのはそういうことか。
この世界では情報を調べることすらできない……。
それは確かに、サポーターしてるなら尚の事もどかしくなるかも。
サポーターって情報命なところあるもんなぁ。
「知恵、もしくは知識かのぉ。我はお主らの役に立ちたいのじゃ……」
『ここに来る前にも言ったけど、家族としておばあちゃんと過ごしたいから誘ったんだよ?役に立つとか立たないとか……』
「あぁ、いや。それは重々承知しておるのじゃ。ただ、我の本質的な部分なんじゃよ……。我の事を大切に思ってくれているのがわかるから尚の事役に立ちたいと思うんじゃ。以前みたいにお主らの役に立てんから居る意味がない、とまでは思わん。ただ、やはり力になりたいと思うんじゃよ」
僕にもそう言った気持ちはある。
エステルの集落を助けたことだって、100%ハイエルフの為かと言われるとそうじゃないもん。
僕は正義のヒーローじゃないんだ。
エステルに笑って欲しかったからやった。
それだけだもん。
『まぁ言いたいことは理解できるよ?ただ、充分力になってもらってるけどなぁ。逆になんでそんなに力になれてないと思うの?』
「まず、我は戦闘では役に立たん」
『その”まず”、が全然理解できん。超頼りにしてるけど……』
「……うん。いつも傷を治してもらってる」
おばあちゃんって自分のトレーニング以外の時は基本僕と反対の行動をするんだよね。
絶対に回復要因が皆のところに回るように動いてるんだよ。
「そうできるように意識はしておるのじゃ。ただ、クロムとクラムがおればなんとかなる事が多いじゃろ?それに、お主らが訓練で負う傷程度、異次元倉庫にいれている治癒の魔石で事足りるのじゃ」
『その魔石も最近はおばあちゃんが作ってくれてるけどね?』
「クロムでもクラムでも作れるじゃろ?」
『いや、まぁそりゃそうなんだけど……』
うーん。
みんな基本怪我が無いように立ち回ってるからなぁ。
死ぬ可能性があったのなんてダンジョン進行を進めているときくらいだ。
進行してないのに大ダメージを受ける確率のある特訓はさすがにしないよ。
……僕は自爆ダメージ訓練やってるけどさ。
というか最近擦り傷すらお互いの組手する時にしか負わないレベルだもん……。
訓練にならなくてクラムの結界切ってやってるよ……。
「もう少し早く一緒に来ればよかったのじゃ……。我が変な意地を張っておったばかりに役に立てる機会を逃してしまったのじゃ。空中階層や溶岩階層で一緒に進行できればよかったんじゃが……」(ショボーン)
『あぁ、まぁ……それは……』
70、80階層とかおばあちゃんが居ればめちゃくちゃ楽だったかも……。
ってか正直、多分余裕だったな。
『でも、おりょーりとか、おうちたてたりするのもてつだってもらってるよ~?クラムいっぱいてつだってもらってる~!』
そうだそうだ!
戦闘が全てじゃないよ!
おばあちゃんが地魔法覚えたのだってクラムの為なんだ。
クラムがいろいろ建築しているときに周りの整備とか細々した事をおばあちゃんがしてくれてるんだもん。
それに近頃家ですごく料理作ったり裁縫したりしてるんだ。
実はおばあちゃんって料理や細工や裁縫みたいな制作系のスキル軒並み覚えてるんだからね!?
「でも、それも本来クラムだけでもできるじゃろ?」
『そうだけど~』
「そうじゃろ~?我が皆の力になっているとは思えんのじゃ……」ウジウジ……
『本当にそんなことないんだけどなぁ。サポートってすごくありがたいんだよ?』
サポーターってみんな出来ることじゃないと思うよ?
僕だってこんな能力持ってなかったらサポーターに徹したい性格だもん。
チームを支えるってすごく大切なことじゃん……
僕はそれがやりがいになるタイプなんだけど……
「それはそう思うのじゃ。じゃがのぉ……それが1番もどかしいのじゃ……」
『あら?サポーターが嫌なんじゃないの?』
「違うのじゃ。何と言えばよいかのぉ……。もちろん目立ちたいとかそういったことではないぞ?我はお主らを支えるのは好きでやっておるのじゃ。ただのぉ……」
サポートがもどかしい?
目立った活躍ができないってことが悩みなんじゃないのか……。
僕の想像と違った……。
「そういえば、おばあ様は近頃王都の本屋や図書館に行っているのですよ?この前図書館で見かけました。とても真剣な顔をしていたので声はかけなかったのですが……」
『読書が趣味になったの?』
「いえ、それが、おばあ様が読んでいる本は料理本や街づくりに役立ちそうな本ばかりなんですよ……」
「見ておったのか……。なにかできることが無いかと思って頻繁に図書館に通っておったのじゃ……。本屋や図書館は静かじゃし人見知りも考えんでよいからのぉ」
「あまり人気はないですよねぇ。獣人国の方々はあまり本を読む文化はないのでしょうか……」
そうだったんだ……。
みんなの自由時間まで全て把握してるわけじゃないからなぁ。
確かにおばあちゃんって自由時間になるとよく出かけるよなぁ。
村の中を色々見回ってるのかと思ってた。
「ただのぉ、色々見てみたのじゃが、対して役立つ本がないのじゃ。見なくともわかる情報や村のものに聞けばわかる程度のもの。あとは娯楽品しかないのぉ。裁縫や料理、建築に関してもクロムやクラムから聞く情報以上のものは見当たらぬ……」
「そうなのですか……。私は娯楽目的だったので、参考書のようなものはあまり見たことがなかったです……」
『ちぇ~。たくさん本よんでるんだったら、おりょーりおしえてもらおうとおもったんだけどな~』
「そうじゃろ?我も世界の料理を知ることができればクラムに教えてやれると思ったのじゃが……。それだけではないぞ?戦闘技術なども一応調べてみようと思ったのじゃ。医療の心得などもあればよいと思った。……じゃが戦闘技術の系統はクラマやキャシーに聞く以上の知識が得られるようなものはないし、医療に関しては論外じゃ。クロムの前世以上の知識はそもそもこの世界には存在せぬしのぉ」
「……ぼくの技術なんかじぃじに比べたらまだまだ。この程度……」
僕の知識にしても前世でネットサーフィンして覚えている程度のもんだぞ……。
前世の人なら、調べたことがあればみんな知ってるレベルの事だよ……。
「そんなことはないぞぇ?じゃが、我が知識としてでも戦闘技術を知っていればクラマに伝えてやることもできたのじゃ……」
「……それはうれしい。ぼく、本読むの苦手」
「そうじゃろ?じゃから我は知識担当になりたかったのじゃ。我は読書も好きじゃからのぉ」
『そんなに色々してくれてたんだ……。気付かなくてごめんね……』
「違うのじゃ!これは我の趣味なのじゃ!婆が孫と遊ぶのが楽しいのは普通じゃろ?我にとってこれがお主らとの遊びなんじゃ」
『まぁそう言われれば……。僕が家族のみんなに魔法を教えて楽しんでるのと同じでしょ?』
「うむ、そうなのじゃ!じゃから全く気にせんでええんじゃ!……じゃがのぉ。本屋にすら何の情報もないとは……。我が自然界で生きておる方が情報が集まるくらいじゃ……」
それならいいけど……。
でも、本屋にそこまで情報が何もないってどうなってんだ……。
「それに王から借りた歴史書等の書物。あれもおかしい。我はこれでも長らく生きておるのじゃ。都合が合わん歴史や書物によって矛盾しておることが多数ありすぎるぞ……。大陸に存在しておらんような国まであるんじゃぞ?飛び回っておっただけの我でもわかる……。あれらはきっと本来の歴史ではない。都合よく捻じ曲げられておる気がするのじゃが……」
それは逆におばあちゃんにしか気付けないことだ……。
1万年とか生きてたらそりゃわかるよな。
昔そんなとこに家なかったけど!?
って言うのが国のスケールであるってことでしょ?
やばすぎるだろ……。
あ!!
『わかった。ソフィア様が言ってたんだ。この世界の人は情報を秘匿する傾向にあるんだって。料理でも建築でも何でも、飯のタネや自分の利、地位やお金に代わりそうな事は多分書物に記してないんだよ。書いてあるのは娯楽系統か、くだらない情報ばっかなんだと思う。歴史は抹消されているとも言ってた。国に都合の良いことしか書いてないって』
「やはりそうじゃったのか……。思った通りじゃ。まだ我がノアと暮らしておった時の書物の方が知識が得られるほどじゃぞ……。ではいったい何のために本が存在するんじゃろうのぉ……」
ノアさんって確かおばあちゃんの古い友人だよね。
1万年くらい経ってるのに劣化してる情報って……。
ソフィア様から聞いたこと間近に感じるとこの世界本当にやばいな……。
『正直エステルが好きな作り話や自伝みたいな物語以外に読む価値のある本はないかもしれないなぁ』
「えぇ。それを聞くと私も参考書の類のものは読みたくなくなりましたね……。参考にならない参考書や歴史を捻じ曲げられた歴史書を読んでも間違った知識が入ってくるだけです。他の皆の魔法のように……」
うん、デメリットにしかならん。
間違った常識を植え付けられるだけだ。
『うそつきなんだね~!クラムも本いらない~!パパにきく~!』
「……うん。勉強嫌い。でも、まだパパに教えてもらうほうがわかりやすい」
「それを我が補助したかったんじゃがのぉ……。クロムしか知らぬ知識が多すぎるんじゃ……」
『まぁそれは仕方ないところはあるけどね。僕は違う世界から来たんだもん。気持ちは受け取るよ。ありがとう』
それにしてもこの世界の書物って最悪だな……。
きっとそんなだからこの世界って製紙技術が進んでないんだ……。
綺麗な紙じゃなかったけど、紙はあることはあるんだよ?
でも紙1枚100円だよ!?やばいよね。
書物あってもなくてもいいんだもん。
その程度の情報しか書かれていない、と……。
主に商売人が売り上げや商品を書き留めるくらいにしか使わないんだ。
だから対して紙の製造がされていないんだ。
一応僕等が主に拠点にしてるところって王都なんだよ?
それでこれだもん。
本が沢山あるように感じてた。
それって王都だから世界中の本が集まってきてるだけなんだよ。
他の街で図書館なんか見たことなかったもん。
本って本来知識を広めるために作るもんでしょ?
高いお金払って娯楽に本を購入する人なんてごくわずかしかいないよ……。
「おばあ様は、それで知恵が欲しい、と……」
「そうなのじゃ。知恵、もしくは知識じゃのぉ。知ることが出来れば、お主らの知らないことを教えてやることもできるじゃろ?気になったことは村のものに聞くようにはしておるのじゃがのぉ。これほど情報を知る事ができぬことをもどかしいと思ったことはないんじゃ。はぁ……」
僕の知識ってネットで調べてただけなんだもん。
知らないことは検索するって癖がついてたから人よりはうんちくの量は多いかもしれない。
でも何でも覚えてるわけじゃないんだ。
例えば、前に言ったことあるけど僕毛染めの染料の作り方とかしらないよ?
ビールだって結局作れなかった。
やってみたけど結局よくわかんなかったんだよね……
適当に買った麦っぽい植物が適してなかったのか作り方が悪かったのか……
まぁいいんだけどね。
今果実酒の方が好きだし。
『僕がわかることなら伝えるけどねぇ。僕もこの世界の人よりわかる事は多くても何でもわかるわけじゃないからなぁ。僕が調べた経験がないことまで知らないよ……』
「それは当たり前じゃ。それに、そうなると結果的にクロムの手を煩わせるだけじゃろ?自分で調べられるのがよかったのじゃが……。無理そうじゃのぉ……」
おばあちゃんが知恵が欲しいって言ったのはそういうことか。
この世界では情報を調べることすらできない……。
それは確かに、サポーターしてるなら尚の事もどかしくなるかも。
サポーターって情報命なところあるもんなぁ。
32
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる