最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ

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01話 - 転生なんてしたくない

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『ん…。ここは、どこだ…?』

≪おはよう、目覚めたかしら?≫

『はい…。えーっと。あなたは、どちら様ですか?』

≪そうねぇ。君がわかる概念で話せば「神」が一番近い存在なんじゃないかしら?≫

 ……危ないやつ決定だな。
 自称「神」なんてろくな奴がいないぞ。

 ただ、実際目の前にはこの世のものとは思えないくらい美しい女性が立っている。
 着ている服も見たことのない素材でできていそうだ。

 なんだあの透明感があって輝くブロンドヘアー。
 海外の人みたいなそれとはまた違うぞ。

 ってか本当にここはどこだ?
 見渡す限り真っ白な世界。
 僕は確か家で寝込んでいたはずだ……。

 それに、なんだか体もとても軽い気がする。
 
 ……って、EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!?

 そもそも体がないぞ!?なんだこれ!?目も無いのにどうやって見えてるんだ。なんかふわふわしてると思ったわー。ってことはここは天国かな?天国って本当にあったんだなー。転生とかできちゃったりするのかな?それとも天国で暮らしていくのか…?いや、これから天界裁判とかいうやつにかけられて審判を下される前かもしれない…。地獄に落ちたらどうしよう…そういえば某アニメでは閻魔大王様がその審判をしてたけど閻魔大王ってホントにいるんかね…いやこええええええ会いたくねえええそういえ

≪ちょっと!独り言がながいわ!!それを私に聞けばいいんじゃないの!?君ひょっとしていわゆるボッチっていうやつなの?!≫

 心を読んだ!?
 いやひょっとして知らないうちに声でてたかな。
 最近まともに会話することなかったもんなぁ。

 あ、なんか急に恥ずかしくなってきたぞ。
 どどどどどどうやってお話ってするんだっけ?
 ていうかこの体(?)口とかなくね?ってかなんもないよな。
 じゃあやっぱり心を……

≪読んだわよ!話そうと思えば話せるわよ!喋りなさいよ!目の前で無限に独り言を聞かされる私の身にもなりなさいッ!≫

『あ、あ……。あーあーあー。あ、ほんとだ』

≪……≫

『……えっと。ここは、いい天気……です、か?』

≪……いいわ。話が進まなそうだからちょっと黙ってなさい≫

 喋れっつったの自分じゃんか……



≪ここはあなたの認識では天界といっても差し支えない場所。天気は……まぁいい天気なんじゃない?雨とか降らないけれど。面倒くさいからここからはここを天界って言うわね≫

 天界……

≪私は輪廻転生を司っている神のようなものだと思ってもらっていいわ。名前なんて概念は特にないから好きに呼んでもらって構わないわよ?ちょっとあなたに問題があって今回わざわざあなたを転生前にここに呼び寄せたの≫

 好きに……か。
 確か一度読んだことのある小説で転生神っていたな。
 転生にまつわる神様は「ソフィア」って名前だっけ……

≪あら、かわいいじゃない。それでいいわよ≫

『えっと、ソフィア様?ぼくに問題があるって一体……。あと、転生ってことは僕って死んだんですね……。で、僕はひょっとして特別に転生をさせてもらえるってことですか?』

≪そうね。記憶を残したまま呼び寄せたからなんとなくわかるんじゃない?あなたは心筋梗塞でその生を終えたわ。転生についてはまぁ簡単に言えばそうだけど特別ってことではないわよ。全ての生物は平等に転生しているもの≫

『そうだったんですね!?あ、じゃあ前世の記憶がないからそれを知らないっていう……』

≪そうよ。急に物分かりがよくなったわね?ただ、その「全ての生物は平等に」ってところが問題なのよ≫

『ラノベとかで転生ものはよく読んでいたので……。問題?』

≪あなたにわかりやすく言えば、生物はみんな「カルマ値」のようなものを持っているのよ。まぁ前世の善悪によって転生先の宿命がある程度決まると思えばいいわ。そうやって長い期間を見ればある程度平等な幸福度で輪廻がめぐるようになっているわけ。理解できる?≫

『わかります。僕の前世は、どうだったんですかね……?』

≪君の場合、何のバグかしらないけれども、前世も前々世もそのまた前もずーーーーっと……。碌な人生を歩んでいないわ。そこに問題があるの。≫

 そんなにひどいのか……。
 なんか悲しくなってきた。
 でも他人から碌な人生じゃなかったって言われるとなんかムカつくな……

 言いたい放題いいやがって…

≪君、私が心の声が聞こえるの忘れていない?まぁいいわ。世の中にはもっと不幸な人生を送る生命もいるわ。ただ君の場合報われ過ぎなかった、というのが問題なわけ。このままじゃ君は不のエネルギーに魂が耐えられなくなって消滅するわね≫

『あ、そうなんですね……。まぁ、いいんじゃないですか?』

≪……なんか拍子抜けするわね。「えーっ!?」とか「何とかしてくださいよ~女神様~」とかいう場面じゃない?≫

 こいつちょっと性格悪いのか?
 本当に女神様なのか?
 まぁいいか。

『僕、もう疲れたんですよ。報われない人生送るのもしんどいし面倒くさい。前世以前のことはしらないけれど前々世以前の僕も同じ僕ならきっとそう言うんじゃないですか?……それとも、僕をまた前世と同じ人生に戻してやり直させてくれたりしますか?それなら、次は妻と娘を幸せにするために戻りたいとは思いますけど』

≪期待に沿えなくて申し訳ないけれどそれはできないわ≫

『やっぱり……。別の世界や星にしか転生できないのがお決まりですもんね。そんな気がしました』

 こういうのって大体、同じ星に転生したいっていうと断られるんだ。
 出来ることなら同じ人生をやり直したいって決まってるじゃないか。
 変な話だ。

≪地球にはそんなお決まりがあるの?ないわよ。地球には転生させてあげられる。そうじゃなくて、もう君が生きていた時代からは100年以上経過しているのよ。魂を転生させる準備が整うのには相応の時間がかかるの。だから、そこにあなたの奥さんも娘さんももういないわよ……。それでも地球に転生する?≫

 もう時間が経ってるって話なのか……
 もう、僕の妻と娘は居ないなんて、そんな……

『そうですか。もう100年以上……。では、1つだけいいですか?』

≪あなたの奥さんと娘さんは幸せに人生を謳歌してすでに別の魂に転生済み。それが聞きたかったんでしょ?あなたは自分より家族が大切なんですもの。でしょ?≫

『そうですか……。それは良かった……グス。……ありがとうございます。では、もうこれで思い残すことはありません。僕を消してください』

≪残しなさいよ!君の気持ちはわかった。辛い人生だったわね。ただ、次の人生は今までにないものになると思うの。私が来たんですもの。あと1度くらい転生してみなさいな。転生してよかったって思えるかもしれないわ≫

『じゃあ……僕を妻と娘のいる世界に……』

≪……。ごめんね。転生って、もう別の魂になるってことなの。だから君と過ごした家族はもうこの世のどこにもいないのよ。それに別々の世界に転生しているはずだわ。君の家族は君と過ごせて幸せだったわ。嘘じゃないわよ。ちゃんとそう質問されると思って調べたんだから。だから、君も新しい人生を過ごしてみなさいな≫

『……』

 僕の愛する家族の居ない人生なんて……
 僕には必要ない……

≪それに、君は特別なケースなの。本来、輪廻転生はほぼ自動化されていて、カルマ値によって適正な世界へ転生されるの。記憶もあたらしくね。ただ今回は特別にある程度君の希望を聞いて融通して転生させてあげるために君を呼び寄せたってわけ。俗にいうチートもあげられるわよ。限度はあるけれどね≫

『……転生なんて、したくない』

≪本当にごめんなさい。転生っていうのは世の中の仕組みなの。ここで君が私からの特別な転生を拒んでも通常通り輪廻に戻るの。消滅しないように私が魂を勝手にいじることになるけれどね。だから、次はいい人生が送れるように、君の好きなように生きられるようにって、私が来たのよ。ここで私の力をもらって転生しておきなさいな≫

 ……なるほど。理解できた。
 これはソフィア様のご好意なんだ。
 きっと黙って輪廻転生の輪に戻すこともできたんだ。

 ソフィア様の提案に乗らないと僕がただ好意を受け取らなかっただけになるって話か。
 要するにただ損をするだけになるってことだな……

≪まぁ、そういうことね。好意の押し付けは嫌いだからあまり言葉にはしたくないけれど≫

 ……いい人なんだなこの人。
 いや、神だったか。

『長々と説明をありがとうございます。わかりました。……ちなみに必ず報われるんですか?』

≪人生に必ずなんてものはないわ。だから私が来たの。私の力を使って「必ず」になるべく近づくよう今から君と相談するんじゃないの。だから、一緒に君の次の人生の相談がしたいわ。いいかしら?≫

『わかりました……。何度もすみません。家族はいい転生が出来ましたか?』

≪ええ、君の家族は皆とても素晴らしい魂を持っていたわ。今頃次の人生を楽しんでいるわよ≫

『そうですか……。わかりました!では、お願いします!』

 よし。暗い気持ちはここまでにしよう。
 切り替えよう!

 家族が幸せに過ごせてよかったじゃないか。

 次は僕だって……
 できる限り絶対に幸せな人生を歩んでやる……
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