最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ

文字の大きさ
149 / 270

145話 - ダンジョンの不思議

しおりを挟む
 こわかった……何とかついた……

 65階層セーフティーエリア。
 大幅に魔力を使う魔法なので回復待ちして1日がかりで何とか到着した。

 このエリアは階段から階段の距離は狭め。
 空間は広がってるんだろうけど見渡しもいいから。
 クラムが上に飛んで行ってあっちーってしてくれてるんだ。

「すごかったですね……あの魔法……」

『おときこえなかったね~』

『音聴いてたら耳から脳漿ぶちまけるよ多分……』

「あれ……なに……」

『簡単に言えば大爆発だね。でもあの魔法つかえないんだ』

『え~なんで~?』

『ここでしか使えないから。みたでしょ?』

 魔法を唱えた瞬間……
 まず10枚以上あった蒼氷の障壁は全て大破した。
 そしてクラムのシールドにヒビが入った。

 階層の間まで衝撃は辿りつかずだったが余波は少し漏れただろう。
 ゲート張っておいてよかった……

『しーるどわれた~!あともすふぃあとばくはつだけ~!』

『ちょっと毛色が違うね。大気異常は簡単に言えば生物に大ダメージの魔法。固い鉱石とかだとダメージ0じゃないけど効果薄いの。こっちはどこまでも衝撃広がっちゃう上に無差別。正直使いどころ無いんだ。そんなのいらないでしょ?あと単純に自爆するね』

『うん~じゃあいらない~』

「さっきの場所だからできた魔法なんですね」

『そういうこと。神様パワーありき。みんな巻き込むもん。ここはいくらでも倒しても問題ないVRと壊れない地形みたいなそれだからね』

「……ぶいあーる?」

『あぁ、僕の世界の話だよごめんごめん。でも、ここちょっと広くてよかったね』

 多分誰も到達できることはないけれど……
 一応冒険者数十人が一緒に休める前提の場所なのか他の地面に比べるとかなり広い。
 50m四方以上はある地面だ。

 でも……僕階段の方が気楽だったな……
 空見えてるの怖い……

 ワイバーン飛びまくってるの見えるし全然気が休まらん……
 視覚情報って大事だよ……

「これからどうします?」

『僕ここでキャンプの準備しながら……怖いけど少しでも高所恐怖症克服できるようにしとく……。あとあっち方面ぼくちょうだい?ここから届くだけ魔法使いながらちょこっとエリアから体だして敵倒しとくよ。僕だけすごい置いてけぼりになっちゃうしね』

「そうですね。私達もここの近くで苦手なこと克服しましょうか。疲れたらここに戻ってきて休む、という感じで」

『……うん……訓練しやすい』

『クラムどうしよっかなぁ~?』

『何の労力もなく空飛べるのってクラムだけだから魔石集めて食べてればいいよ。エステルとクラマも魔石集め手伝ってくれるけどこの階層はきついでしょ。僕の分裂も僕だから使い物にならないし。ってかこのエリアで分裂とか使ったら怖さ増えるだけ増えてまた気絶する……』

「……でき……るかも………でも………集中したい」

「私はちょっと無理ですね……むしろ飛ばしてしまいそうです」

『たおしながらがじがじ~!パパおさとうちょ~だ~い!』

 味わうつもりじゃん……。
 クラムはまだゆとりあるよね。

 苦手エリアでもないし……
 浮けるのいいなぁ……

『この前つくったジャムかけて食べたらいいんじゃない?』

『そうする~!じゃむ~!』

「ではまだ数時間ほどは特訓できそうなので少し行ってきますね」

「……僕も」

『いってきま~す!』

『いってらっしゃーい』

 じゃあ僕は……
 取りあえず……周り見えないようにしよっと

地砦フォートレスッ!』(ズダンズダンズダンズダンッ!)

 このセーフティーエリア多分敵から見えないようになってるのかな?
 ワイバーン飛んでるけどこっち向かないんだよね。

 あと外からのダメージはカットされてるんだろうなきっと。
 でも魔法が使えないって訳でもない……

『ショットッ!』(パシュン……)

 うん、使えるけど一定の場所で消えたな。
 あそこに多分魔力をどうにかするなにかがあるんだろうなぁ。
 でも中に家作るのなら大丈夫だよね……。


 はぁ……こわい……


 ・
 ・
 ・


「野宿って何なんでしょうね」

「……家?……魔石」

『だって……もう空見えてるのがダメなんだよ。外もう見たくない……ここ高い場所だって思い出すじゃんか……。魔石余ってるからとりあえずライトくらいにはね』

「……椅子……ある」

『まぁ四角くするだけだから』

『クラムきれいにする~!』

『僕形作るくらいしかできないからさ。センスないし。やりたければ遊んでいいよ~』

『わ~い』

『あ、お風呂にお湯溜めたよ。ご飯もあるよ。先どっちにする?それとも私?とかないからね』

「……?」

「……なんですかそれ?クロムさんが選べるんです?」

『んーん、選べないよ?』

「なーんだ。じゃあご飯にします」

 このネタはこの世界にはなかったか。

「それにしてもお風呂まで……家買う必要あったんですかね……」

「いや、魔の森サバイバルしてる時すっかり野生化しちゃってて忘れてたけどこれくらいできるよ。僕自然の中で寝るのに慣れ切ってたからさ。常識ってすぐ変わっちゃうもんだね。ただ、飾り付けれるわけでもないし風情もなんもないからさ。これ本拠にするのは嫌だよ……」

「確かにそれはそうですね。でもこれ便利ですね!私も精霊さんに頼んでみましょうかねぇ」

『便利だけど……わざわざこれ街に立てて住むの恥ずかしいよ。あと人いるとこで使いにくいから出番全然ないの。あと、ダンジョン外だと止めた方がいいと思う』

「なんでです?」

『ちょっと壁立ててから思い出してやべってなったんだけど多分外だと土残りっぱなしになる。一回構成した物質消えないよ。無人島とかならいいけどね?野宿とかに使うと片付けるの大変だよ』

「あ、確かに……」

『でしょ?でもふとさ?クラムの毒消せるって思いだして。昔の洞窟でたこの毒とか墨は消えなかったんだよ。だから掃除したんだもん。魔力に戻っちゃうなら作ったポーションとか全部消えちゃうじゃん?でもここだと意識すれば消せるんだよね。そもそもダメージカットとか出来てるし時間を戻す効果とか魔素に戻せるなにかとかあるんじゃないかなぁ。環境を守るために。その辺りは僕にはわかんないんだよね……。考えても無駄な部分だ。高度文明すげぇとしか言えない』

『ほんとだね~?ぐちゃぐちゃだった~』

『そうそう、クラムも覚えてるでしょ?』

『うん~!なんでけせるんだろ~?』

「確かに……ダンジョンって結構不思議ですね。外と作りが全然違うのかもしれませんね……。そういえばギルドの時もそうですし、アテナ様から頂いた魔道具の中で戦った時の魔法のこりませんよね?クラムちゃんの氷とか消えてますよ?」

『ほんとじゃん!?はぁ。僕自身がたまに氷使うくらいですごい後残る魔法使わないから全然意識してなかったよ……。コキュートスとか溶けて洪水になりそうなやつアテナ様の道具の中でしか使ったことないし、常日頃からバレットの破片とか気にしてみてないよ……。僕完全記憶能力あるわけじゃないもん。アニメの主人公はいいよなぁ。そんな何でも覚えてないよ……。いっぱいいっぱいの時にそんな細かいこととか意識してないし……ブツブツ』

『おっきなまほうつかっちゃだめだもんねぇ~』

「ほんとになぁ……。それにしてもダンジョン不思議だなぁ……。この中では意識したら消えるって覚えとこ?あ、まぁお風呂冷めちゃうし入ってきなよ」

「うん……わかった」

『クラムおふろはいる~』

「じゃ……ぼくも」

「私ご飯食べます~!お肉貰いますね~♪」

 こうして僕の主婦生活が始まった。
 ちゃんとやるから!
 せめて気を失わないようにはするもん!!

 ……それにしてもダンジョン不思議だなぁ。
 この空間がもう外と違う作りしてるんだろうな……
 大変だったっていってたもんなぁ。

 ・
 ・
 ・

 翌日……

 外出るの嫌だぁ……
 でも……早く……高所恐怖症直さないと……
 皆出かけちゃったし僕も頑張らなければ……

(ガチャッ)

 ひっ。やっぱこわいっ!

 とりあえずセーフティーゾーンからおてて出して……

 ”シールドッ”

 よし。これで崖すれすれに壁ができた……

 そーっとそーっと……うぅ(カタカタカタカタ)



 GRAAAAAAAAAAAAAAR!

『今こっち来るなッ!!”サンダーボルト”ッ!!』(ズドンッ)

(プシュー)※魔力に還る音



 飛べる魔法覚えないと……
 僕ほんとにふと足滑らせたら落下するんだけど……(カタカタカタカタ)



 GRAAAAAAAAAAAAAAAAR!
 GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAR!!
 GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAR!!!

『邪魔すんなっつってんだろ!!”サイクロン”ッ!!』(ゴオォォォォォ)

(プシュープシュープシュー)

 ぎゃああああああ!!
 ぼくのあほおおおおお!!
 とばされる!!消えろっ!! (シュンッ)
 風魔法……絶対使わん………
 はぁ、はぁ……

 はあ~あ。
 僕が怖がってるから僕だけ飛べる魔法覚えないんだよなぁ……
 クラマはシールドで跳ねてたら天駆覚えたもん……
 ずっと練習してたんだろうけどね。

 僕はフロートあんまり使ってないからかなぁ……
 はぁ……

 贅沢言わないから浮遊ちょうだいよ……
 飛行じゃなくていいから……

 ってか浮遊も贅沢だよな。
 クラムが飛べてるだけで。
 あれ精霊特性みたいな感じでしょきっと……

 空飛べるまで遠いよぉ……うぅ。
 
 でもフロートじゃ足滑らせたら一瞬落ちちゃうよ?
 フロートで囲えばいいけど囲う前に落ちたらダメじゃんか……
 その一瞬で気絶したらそのまま……ひいいいい

 あぁ……ダメだ。
 怖すぎてネガティブな考えしか浮かんでこない……

GRAAAAAAAAAAAAAAAARAAAARGRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARGRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARGRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARGRAAAAAAAAAAAAAAGRAAAAAAAAAAAAAAAARAAAARGRAAAAAAAAAAAAAAAAARGRAARGRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARGRAAAA

んぎぎぎぎぎぎぎ……
イライライライライラ……

『いまそれどころじゃないっつってんだろ!!消えてなくなれっ!!!”メテオッ”!!!』

(プシュープシュープシュープシュープシュープシュープシュー)

 シーン………



(ガチャンッ)

 はぁ、はぁ、
 帰ってきちゃった……
 結構頑張ったよ僕……
 でももっと頑張らないとだ……

 それにしても怖かった……
 ずっと震えてた……

 怖さ無くすためにちゃんと空飛べるようにならないとなぁ
 フロートは飛んでるんじゃないもん……
 
 でも怖かったら飛べる魔法覚えないし……
 くぅ……どうすればいいんだああああ!!

 そしてワイバーンすっごい邪魔だ!
 集中できん!うるさい!!



 ……それにしてもダンジョンってメテオ使いやすいな。
 今まで地形ダメージ考えて使いどころなかったんだけどなぁ。

 意識すれば魔素に戻るし。
 地面に着地する前に消せばいいんだもんね。

 一昨日の爆発も衝撃こなかったんだよね。
 地面が揺れたりしなかった……

 メテオも風圧が来るくらいだったな?
 地面に落とさなければタダの大きい弾丸だもん。

 規模にもよるだろうけど、
 風ならサイクロンの方がひどいくらいだしな……

 衝撃とか地形ダメージとか無くなると一気にゲーム感あるな。
 でも僕らは死んじゃうから気を付けないとダメなんだけどね。

 ダンジョンで戦うだけ。
 それなら強引な魔法の使い方もできるかもしれない。

 普段使えないだろうけどちょっと考えてみようかなぁ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学4巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜

Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか? (長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)  地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。  小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。  辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。  「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。  

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...