198 / 270
194話 - 世界樹の力
しおりを挟む
……そっか。
僕に恋愛ができるはずなかったんだ。
誰かに恋をする仕組みがスライムの体には恐らくない。
エステルにはそう気付くや否やすぐに話した。
黙っておく方がとも考えたんだけどせっかく気持ちを伝えてくれたのに僕も気持ちに嘘をつきたくない。
『エステルごめん……。この体……どうやら恋愛感情がでてこないらしい……。というより、スライムの体は恋愛が出来るような仕組みを持ち合わせていないらしいんだ……』
「……! ……いえ……よく考えればそれはそうです。クロムさんがお話できるからつい……。スライムが恋愛しているような話は聞いたことがありません……」
『どうしよう……ごめん……』
「クロムさんが気に病む必要はありません!私が恋愛をできるかもしれないと勘違いして告白をしてしまったようなものですので!」
エステルは一瞬沈んだ顔をしてすぐに笑ってくれた。
本当は絶対悲しいはずだ……
『こんな言い方するのは変だけど僕エステルのこと絶対好きだよ!そう思うから!ただそれをスライムの体で感じられないってだけなんだ』
「ありがとうございます、ふふ♪……デートは今後もしてくれますか?」
『するする!楽しいって気持ちやエステルといて心地いい気持ちはちゃんとあるんだよ!だからいっぱいデートしよう!』
「わかりました!それに、しばらくすればスライムの体でもそういう仕組みが芽生えるかもしれませんよね?」
なるほど……
確かに元々なかった能力が環境によって芽生える話はよく聞くぞ……?
『それはそうかもしれないな……。生態って小さく進化していくものだと思うから……』
「それでは何も変わりはありませんね♪これからもゆっくりデートをしながら気持ちを育てていきましょ?では早速一緒にお風呂に入りましょう!!」
『ゆっくりってなに!?あ……でもショック療法とかはありなのか……いやでも!!』
・
・
・
「こっち向いてください!」(ギュー)
『物理的に振り向かせようとするのやめて!?まだ意識しだしてから1週間しかたってないの!』
「大丈夫です!クロムさんになら見られても構いません!」
『どうせ振り向くならドキドキ出来るようになってから振り向きたいですっ!!』(スッ)
あら、手が離れた?
「ふむ……。確かにそう言われれば私もその方が嬉しいかもしれません……」
エステルとの謎の攻防の後、お風呂から上がって考えていた。
精神耐性のせいもあるかと思ったんだ。
だからお風呂の中では精神耐性を頑張って切ってみた。
この世界にきて0にしたのはワカメの実験以来初めてだ……
でも結果的に耐性を切ればドキドキするなんてことはなかった。
精神耐性を切るとスライムの体を持っている自分への恐怖感がかなり強くなる気がする。
精神耐性が高いときの精神ダメージに耐えられるキャパとの相対的な問題なんだろうけど……
でもそろそろ耐えられなくはなくなってきている。
少し魔物の体に慣れてきているのかもしれない。
でも逆に人間から遠ざかっているとも言えるな……
この精神耐性を切って何も感じなくなった時、
きっと僕の心は完全に人間じゃなくなってしまうんだ……
僕は人間が嫌いだったはずなのに……
もう人間への未練はなくなってきていたと思っていた。
スライムの体が気に入ってきていたんだ。
それなのに今急に人間を失うのが怖い。
ダメだ。このことはあまり深く考えないでおこう。
恐怖がどんどん膨れ上がっているのがわかる。
動けなくなるほどになってはマズいから……
エステルとはデートを続けてスライムの体が変わってくれることを期待しよう。
あとは毎日楽しく生活するんだ!
・
・
・
さて、じゃあ休日は終わり!
終わりっていってもスローライフするから最低限の自給自足が出来る程度でいいんだ。
『今日はクラム農園で皆で収穫しよっか』
『クラムがもってたおやさいとくだものはぜんぶうえたよ~?』
実は今日までクラム農園には入らないことにしていたんだ。
多分みんな収穫始めちゃうから。
クラムの豊穣で育てるとしばらく枯れないんだよね。
多分野菜に恵みの力が満ち足りてるんだろうね。
休みと仕事のメリハリはしっかりとしないと!
だから今日からお仕事開始だ!
今日は初めてだからとりあえずハイエルフみんなで来た。
こっちの家族は僕とクラムとエステルの3人。
クラマとおばあちゃんは噴水から住宅地に川を引いてくれているみたい。
「すごいねぇ……」
「すごいですねぇ……」
何がすごいってこっちにも噴水があったからだ。
デメテル様仕様の……
農園の中央にまた広場があるんだ。
で、ここの噴水の水は既に農場にひかれているみたい。
広場を挟んで野菜と果物のエリアが分かれているんだよね。
『それにしてもクラム本当にすごいなぁ。デメテル様像もだけど、よくこんな仕組み1人で考えたね?』
『えへへ~!おうとでね~?ちっちゃいふんすいのまわりにおはながさいてたんだ~!まねしたの~!』
こういう瞬間って娘の成長をとても感じられて感動するなぁ……
立派になったなぁクラム……グス。
≪こっちの像もとってもかわいいわ~♪ありがとクラムちゃん♪≫
あ!デメテル像が光った!!
ちなみにこの像はデメテル様そのまんまですよ。
ってかハイエルフみんなどよめいてるって!?
ほら!あそこの男の人が神の奇跡だって言ってるよ!?
……いや、神の奇跡そのものだったな、これは。
『デメテル~?なにしたの~?』
≪この農場の植物を少し丈夫に育つようにしただけよ~?これくらいなら普段の整備とかわらないもの~♪早く育つようにはしていないからいつも通り農作物を育ててくれればいいわよ?うふふ♪じゃあね~≫
『デメテルありがと~!』
それめっちゃ助かるじゃん!
収穫量が安定するってことでしょ!?
農園にはこれ以上ない奇跡だよ!ありがてぇ!
今回は初回だからクラムの豊穣を使ってるけど今後は使うつもりないんだ。
それじゃあ自立はできないでしょ?
あと収穫に追われて大変になるし。
緊急時や品種改良以外に豊穣は使わないほうがいいかなって思うんだ。
食にはありがたみを持ちたいよね。
「一応僕達も農作物の種を持ってきたんだけどそれも植えていいのかい?」
『うん、好きにして?最初は僕らが持ってる作物を植えただけだから。その辺の調整もエルンさんや担当の人に任せるよ?』
「了解!効率がいい育て方を考えるね?」
その後はみんなで作物の収穫をした。
みんなとても楽しそうだった。
この作物は採れば採るだけみんなのものだしね。
『あ、僕は冷蔵用の倉庫とかを作る方がいいかもしれないな?クラム?何の仕切りもない1階建ての家建ててくれない?』
『まんなかでいい~?』
『おっけー!』
「僕らが収穫している間になにしてたんだい?家が一軒ふえてるけど……」
『ああ、これ納屋だよ。中入ると涼しいと思うんだ。ここに冷やしておいていた方がいい野菜を入れておいていれば長持ちすると思う。みんなの家にも冷蔵庫つくるね』
そうそう。
僕はここでは自重しないからね?超つくる!!
僕と引きこもりを共にする人は快適に過ごしてもらわないとダメなのです!
「随分綺麗な納屋だね……」
そう見えるよね。だってクラムが作ったら外装適当にすることなんてないんだもん。
普通におしゃれな一軒家にしか見えん。
「ちなみに冷蔵庫ってなんだい?」
『食料冷やして置いておける箱のこと。お肉とかもそこに入れていると長持ちするよ?凍らせておけばもっと長持ちするし』
「そ、そうなんだね?それもまた一瞬で作るのかい?」
『5秒かなぁ……』
「そ、そっか!僕等は収穫の方で頑張ることにするよ!」
だって、魔石とか使わなくていいもん。
冷たいエリア作って付与するだけだよ。
僕にとっては冷蔵庫作るより全然簡単だ。
『あー。ってかそのうち冷暖房完備にしようかなぁ……あ、あと水洗トイレも作らないと。僕スライムだからその辺忘れがちになっちゃうんだよなぁ。他何かやりたいことあったかなぁ……。住居と農園に転移ゲート張るのもいいかなぁ……ブツブツ……』
「……よくわからないけど好きにしてくれたらいいと思う……あはは」
「ふふ♪皆が快適に過ごせるようになってうれしいです♪」
そこにエルノアママが小走りでやってきた。
「あら、みんなもう集まってたんですね?スイートビーが巣を作ってましたよ?」
『蜜!?そんなのあるの!?』
『みつ~?』
「私も知りませんね?」
「僕も知らないなぁ?それは何?」
「蜂の密ですよ?昔は皆で専用の飼育箱、養蜂箱というものを作って蜜を集めていたのです。甘くておいしいですよ?舐めてみますか?私の好物だったものです」
そういうとエルノアママが野菜の葉の上に集めていた蜜を差し出してくれた。
『え、うんま!僕甘いの苦手だけどこれは好きだわ。』
『おいし~!!いちばんすき~!!いっぱいあつめてー!!』
「はい!私も砂糖菓子より好きかもしれません!」
「これは美味しいね!こんなものが集落にあったんだ……」
濃厚でほのかに花の香りがするんだ。
甘みもしっかりあるしお菓子とか紅茶にいれたらすごい美味しいと思う。
すごく深みのある味がする……
「では皆に養蜂箱の作り方を伝えましょうか、ふふふ♪」
『それにしてもなんでこんなものまで無くなったんだ……』
「あの集落では世界樹の資材以外は全部時間の無駄だということでしょう。あと劣化エルフに嗜好品は与えるべきではないと。自分達が格上だと見せる為のいやがらせみたいなものですね」
マジでふざけてんな。
本当に集落滅ぼしてよかったよ……
「これも他国ではかなり高価な品なんですよ?この蜂は魔の森にしか生息していないようです。昔はこの蜜がハイエルフの貴重な資金源でした。ちなみにこれを使ったお酒などもありますし、ここ200年程で生まれたハイエルフが知らない文化は沢山ありますね?また年長者を集めて少しずつ普及させましょうか、ふふふ♪楽しくなってきましたね?」
『おさけ!!絶対それ作って!ってか専門の人作っていい!僕が全部買い取る!!』
『そのままのみつも~!!』
「はいはい♪わかりました」
『ってか真面目な話、もしそういうハイエルフの文化的なこととかここでしか作れない……例えばチーズとかそういうの主体にしてくれたら多分かなり稼げるとおもうよ?仕入れ先は秘密にしてもらうし、何なら僕が殆ど買い取ってもいいしね?その辺の塩梅も全部任せるから好きにやってね?』
「うん!了解だよ!商人さんと会える日が楽しみだね!でも緊張しないようにしないと……外部の人と会うなんて久しぶりだよ……」
あ、そうだ。
全然イメージからきえてたけど一応気が小さい人だったんだ……
とりあえず農業の方も全く問題なさそうだ。
それにしてもエルフは本当にアホなのか?
この人達莫大な資金を生み出すぞ?
僕はお金要らないからそんな商売商売するつもりはないんだけどさ……
それが霞むくらい世界樹の恩恵ってすごいってことなんだろうな……
『そういえば世界樹の恩恵って具体的になにができるの?雫とか葉とか集めてたじゃん?』
「クロムさんは世界樹の恩恵の効果を知らなかったのですか!?」
『興味ないもん。欲しかったら勝手に拾ってくるし。それに誰か犠牲にして作ってるものなんか使いたくないし』
「世界樹の恩恵は高濃度な魔力を宿しているので葉や雫は主に魔力回復の為につかわれます」
あ、エルノアママ詳しいんだ。
ってかMPポーションなの!?
前ちょっと頭によぎったMPポーションあった!
それが世界樹の恩恵だったのか!!
『え!?どれくらい回復すんの!?』
「葉1枚で一般の民の100人分の魔力を賄えると言われています。雫は10人分ですね。だいたい薬品にすると1人分で200mlくらいでしょうか。それを魔術師や回復魔法が使える者に持たせるだけで戦争などでの戦況が大きく傾くのです」
あ、すごい!もう単位覚えてくれたんだ!
……ってか一般人っていった?
100の100倍ってこと?1万!?
『マジでいらない』
『クラムもいらな~い』
お、クラムもぱっと計算したな?
やるなうちの愛娘!!
割合回復じゃないともう意味ないでしょ僕等。
1万なんか自然回復待つ!!
しかも1人分200m!?
100回復するのにそんなに飲まないとダメ!?
1万回復するために20リットル飲むのか!?飲めるか!!
でも割合回復ってよく考えるとよくわからんシステムだよね。
同じ魔力封印されてる水でなんで効能が人によって変わるんだって話だ。
「いらないのかい?すごい効果なんだけどね……」
『葉っぱの80倍以上魔力あるし』
『クラムも50ばいくらいある~!』
「この2人は規格外ですので、ふふ♪でも私も20倍くらいは……」
「エステルは強くなったのですねぇ、ふふふ♪」
「2人のスライムちゃんはともかくエステルも強くなりすぎでしょ、あはは……」
魔力封入すればMPポーション作れるの?
そういえばHPばっかに気を取られてクリーン水ばっかり作ってた。
僕作れんじゃね?
『”ウォーター”』(ブクッ……)
これで100mlくらいかな?
「何をするのです?」
これに魔力をそのまま……
むむむむむむむむむむむむむむ……
ふぅ……ちかれた。
反応ないけどこんなもんかな?
10万くらい注いだけど。
”鑑定”
-----
★魔力神水
とてつもなく高濃度の魔力が込められた水。
100mlでMP約50000程回復可能。
尚、魔力が高濃度過ぎる為、体内での処理は不可能。
生物が飲むと即死する。
-----
あ、半分ほどロスったな。
そして高濃度過ぎる魔力って毒なんだなぁ。
MPポーションって作るの難しいんだな~。
ちなみに僕なら飲めるのかなぁ……
「クロムくんは何をしたんだい?」
『ん?えっと200分の1の量で5倍だから……。世界樹の葉の薬の1000倍の効力ある水作った。飲むと死ぬって。使えねー。捨てよっと』
「「「「「……」」」」」
僕に恋愛ができるはずなかったんだ。
誰かに恋をする仕組みがスライムの体には恐らくない。
エステルにはそう気付くや否やすぐに話した。
黙っておく方がとも考えたんだけどせっかく気持ちを伝えてくれたのに僕も気持ちに嘘をつきたくない。
『エステルごめん……。この体……どうやら恋愛感情がでてこないらしい……。というより、スライムの体は恋愛が出来るような仕組みを持ち合わせていないらしいんだ……』
「……! ……いえ……よく考えればそれはそうです。クロムさんがお話できるからつい……。スライムが恋愛しているような話は聞いたことがありません……」
『どうしよう……ごめん……』
「クロムさんが気に病む必要はありません!私が恋愛をできるかもしれないと勘違いして告白をしてしまったようなものですので!」
エステルは一瞬沈んだ顔をしてすぐに笑ってくれた。
本当は絶対悲しいはずだ……
『こんな言い方するのは変だけど僕エステルのこと絶対好きだよ!そう思うから!ただそれをスライムの体で感じられないってだけなんだ』
「ありがとうございます、ふふ♪……デートは今後もしてくれますか?」
『するする!楽しいって気持ちやエステルといて心地いい気持ちはちゃんとあるんだよ!だからいっぱいデートしよう!』
「わかりました!それに、しばらくすればスライムの体でもそういう仕組みが芽生えるかもしれませんよね?」
なるほど……
確かに元々なかった能力が環境によって芽生える話はよく聞くぞ……?
『それはそうかもしれないな……。生態って小さく進化していくものだと思うから……』
「それでは何も変わりはありませんね♪これからもゆっくりデートをしながら気持ちを育てていきましょ?では早速一緒にお風呂に入りましょう!!」
『ゆっくりってなに!?あ……でもショック療法とかはありなのか……いやでも!!』
・
・
・
「こっち向いてください!」(ギュー)
『物理的に振り向かせようとするのやめて!?まだ意識しだしてから1週間しかたってないの!』
「大丈夫です!クロムさんになら見られても構いません!」
『どうせ振り向くならドキドキ出来るようになってから振り向きたいですっ!!』(スッ)
あら、手が離れた?
「ふむ……。確かにそう言われれば私もその方が嬉しいかもしれません……」
エステルとの謎の攻防の後、お風呂から上がって考えていた。
精神耐性のせいもあるかと思ったんだ。
だからお風呂の中では精神耐性を頑張って切ってみた。
この世界にきて0にしたのはワカメの実験以来初めてだ……
でも結果的に耐性を切ればドキドキするなんてことはなかった。
精神耐性を切るとスライムの体を持っている自分への恐怖感がかなり強くなる気がする。
精神耐性が高いときの精神ダメージに耐えられるキャパとの相対的な問題なんだろうけど……
でもそろそろ耐えられなくはなくなってきている。
少し魔物の体に慣れてきているのかもしれない。
でも逆に人間から遠ざかっているとも言えるな……
この精神耐性を切って何も感じなくなった時、
きっと僕の心は完全に人間じゃなくなってしまうんだ……
僕は人間が嫌いだったはずなのに……
もう人間への未練はなくなってきていたと思っていた。
スライムの体が気に入ってきていたんだ。
それなのに今急に人間を失うのが怖い。
ダメだ。このことはあまり深く考えないでおこう。
恐怖がどんどん膨れ上がっているのがわかる。
動けなくなるほどになってはマズいから……
エステルとはデートを続けてスライムの体が変わってくれることを期待しよう。
あとは毎日楽しく生活するんだ!
・
・
・
さて、じゃあ休日は終わり!
終わりっていってもスローライフするから最低限の自給自足が出来る程度でいいんだ。
『今日はクラム農園で皆で収穫しよっか』
『クラムがもってたおやさいとくだものはぜんぶうえたよ~?』
実は今日までクラム農園には入らないことにしていたんだ。
多分みんな収穫始めちゃうから。
クラムの豊穣で育てるとしばらく枯れないんだよね。
多分野菜に恵みの力が満ち足りてるんだろうね。
休みと仕事のメリハリはしっかりとしないと!
だから今日からお仕事開始だ!
今日は初めてだからとりあえずハイエルフみんなで来た。
こっちの家族は僕とクラムとエステルの3人。
クラマとおばあちゃんは噴水から住宅地に川を引いてくれているみたい。
「すごいねぇ……」
「すごいですねぇ……」
何がすごいってこっちにも噴水があったからだ。
デメテル様仕様の……
農園の中央にまた広場があるんだ。
で、ここの噴水の水は既に農場にひかれているみたい。
広場を挟んで野菜と果物のエリアが分かれているんだよね。
『それにしてもクラム本当にすごいなぁ。デメテル様像もだけど、よくこんな仕組み1人で考えたね?』
『えへへ~!おうとでね~?ちっちゃいふんすいのまわりにおはながさいてたんだ~!まねしたの~!』
こういう瞬間って娘の成長をとても感じられて感動するなぁ……
立派になったなぁクラム……グス。
≪こっちの像もとってもかわいいわ~♪ありがとクラムちゃん♪≫
あ!デメテル像が光った!!
ちなみにこの像はデメテル様そのまんまですよ。
ってかハイエルフみんなどよめいてるって!?
ほら!あそこの男の人が神の奇跡だって言ってるよ!?
……いや、神の奇跡そのものだったな、これは。
『デメテル~?なにしたの~?』
≪この農場の植物を少し丈夫に育つようにしただけよ~?これくらいなら普段の整備とかわらないもの~♪早く育つようにはしていないからいつも通り農作物を育ててくれればいいわよ?うふふ♪じゃあね~≫
『デメテルありがと~!』
それめっちゃ助かるじゃん!
収穫量が安定するってことでしょ!?
農園にはこれ以上ない奇跡だよ!ありがてぇ!
今回は初回だからクラムの豊穣を使ってるけど今後は使うつもりないんだ。
それじゃあ自立はできないでしょ?
あと収穫に追われて大変になるし。
緊急時や品種改良以外に豊穣は使わないほうがいいかなって思うんだ。
食にはありがたみを持ちたいよね。
「一応僕達も農作物の種を持ってきたんだけどそれも植えていいのかい?」
『うん、好きにして?最初は僕らが持ってる作物を植えただけだから。その辺の調整もエルンさんや担当の人に任せるよ?』
「了解!効率がいい育て方を考えるね?」
その後はみんなで作物の収穫をした。
みんなとても楽しそうだった。
この作物は採れば採るだけみんなのものだしね。
『あ、僕は冷蔵用の倉庫とかを作る方がいいかもしれないな?クラム?何の仕切りもない1階建ての家建ててくれない?』
『まんなかでいい~?』
『おっけー!』
「僕らが収穫している間になにしてたんだい?家が一軒ふえてるけど……」
『ああ、これ納屋だよ。中入ると涼しいと思うんだ。ここに冷やしておいていた方がいい野菜を入れておいていれば長持ちすると思う。みんなの家にも冷蔵庫つくるね』
そうそう。
僕はここでは自重しないからね?超つくる!!
僕と引きこもりを共にする人は快適に過ごしてもらわないとダメなのです!
「随分綺麗な納屋だね……」
そう見えるよね。だってクラムが作ったら外装適当にすることなんてないんだもん。
普通におしゃれな一軒家にしか見えん。
「ちなみに冷蔵庫ってなんだい?」
『食料冷やして置いておける箱のこと。お肉とかもそこに入れていると長持ちするよ?凍らせておけばもっと長持ちするし』
「そ、そうなんだね?それもまた一瞬で作るのかい?」
『5秒かなぁ……』
「そ、そっか!僕等は収穫の方で頑張ることにするよ!」
だって、魔石とか使わなくていいもん。
冷たいエリア作って付与するだけだよ。
僕にとっては冷蔵庫作るより全然簡単だ。
『あー。ってかそのうち冷暖房完備にしようかなぁ……あ、あと水洗トイレも作らないと。僕スライムだからその辺忘れがちになっちゃうんだよなぁ。他何かやりたいことあったかなぁ……。住居と農園に転移ゲート張るのもいいかなぁ……ブツブツ……』
「……よくわからないけど好きにしてくれたらいいと思う……あはは」
「ふふ♪皆が快適に過ごせるようになってうれしいです♪」
そこにエルノアママが小走りでやってきた。
「あら、みんなもう集まってたんですね?スイートビーが巣を作ってましたよ?」
『蜜!?そんなのあるの!?』
『みつ~?』
「私も知りませんね?」
「僕も知らないなぁ?それは何?」
「蜂の密ですよ?昔は皆で専用の飼育箱、養蜂箱というものを作って蜜を集めていたのです。甘くておいしいですよ?舐めてみますか?私の好物だったものです」
そういうとエルノアママが野菜の葉の上に集めていた蜜を差し出してくれた。
『え、うんま!僕甘いの苦手だけどこれは好きだわ。』
『おいし~!!いちばんすき~!!いっぱいあつめてー!!』
「はい!私も砂糖菓子より好きかもしれません!」
「これは美味しいね!こんなものが集落にあったんだ……」
濃厚でほのかに花の香りがするんだ。
甘みもしっかりあるしお菓子とか紅茶にいれたらすごい美味しいと思う。
すごく深みのある味がする……
「では皆に養蜂箱の作り方を伝えましょうか、ふふふ♪」
『それにしてもなんでこんなものまで無くなったんだ……』
「あの集落では世界樹の資材以外は全部時間の無駄だということでしょう。あと劣化エルフに嗜好品は与えるべきではないと。自分達が格上だと見せる為のいやがらせみたいなものですね」
マジでふざけてんな。
本当に集落滅ぼしてよかったよ……
「これも他国ではかなり高価な品なんですよ?この蜂は魔の森にしか生息していないようです。昔はこの蜜がハイエルフの貴重な資金源でした。ちなみにこれを使ったお酒などもありますし、ここ200年程で生まれたハイエルフが知らない文化は沢山ありますね?また年長者を集めて少しずつ普及させましょうか、ふふふ♪楽しくなってきましたね?」
『おさけ!!絶対それ作って!ってか専門の人作っていい!僕が全部買い取る!!』
『そのままのみつも~!!』
「はいはい♪わかりました」
『ってか真面目な話、もしそういうハイエルフの文化的なこととかここでしか作れない……例えばチーズとかそういうの主体にしてくれたら多分かなり稼げるとおもうよ?仕入れ先は秘密にしてもらうし、何なら僕が殆ど買い取ってもいいしね?その辺の塩梅も全部任せるから好きにやってね?』
「うん!了解だよ!商人さんと会える日が楽しみだね!でも緊張しないようにしないと……外部の人と会うなんて久しぶりだよ……」
あ、そうだ。
全然イメージからきえてたけど一応気が小さい人だったんだ……
とりあえず農業の方も全く問題なさそうだ。
それにしてもエルフは本当にアホなのか?
この人達莫大な資金を生み出すぞ?
僕はお金要らないからそんな商売商売するつもりはないんだけどさ……
それが霞むくらい世界樹の恩恵ってすごいってことなんだろうな……
『そういえば世界樹の恩恵って具体的になにができるの?雫とか葉とか集めてたじゃん?』
「クロムさんは世界樹の恩恵の効果を知らなかったのですか!?」
『興味ないもん。欲しかったら勝手に拾ってくるし。それに誰か犠牲にして作ってるものなんか使いたくないし』
「世界樹の恩恵は高濃度な魔力を宿しているので葉や雫は主に魔力回復の為につかわれます」
あ、エルノアママ詳しいんだ。
ってかMPポーションなの!?
前ちょっと頭によぎったMPポーションあった!
それが世界樹の恩恵だったのか!!
『え!?どれくらい回復すんの!?』
「葉1枚で一般の民の100人分の魔力を賄えると言われています。雫は10人分ですね。だいたい薬品にすると1人分で200mlくらいでしょうか。それを魔術師や回復魔法が使える者に持たせるだけで戦争などでの戦況が大きく傾くのです」
あ、すごい!もう単位覚えてくれたんだ!
……ってか一般人っていった?
100の100倍ってこと?1万!?
『マジでいらない』
『クラムもいらな~い』
お、クラムもぱっと計算したな?
やるなうちの愛娘!!
割合回復じゃないともう意味ないでしょ僕等。
1万なんか自然回復待つ!!
しかも1人分200m!?
100回復するのにそんなに飲まないとダメ!?
1万回復するために20リットル飲むのか!?飲めるか!!
でも割合回復ってよく考えるとよくわからんシステムだよね。
同じ魔力封印されてる水でなんで効能が人によって変わるんだって話だ。
「いらないのかい?すごい効果なんだけどね……」
『葉っぱの80倍以上魔力あるし』
『クラムも50ばいくらいある~!』
「この2人は規格外ですので、ふふ♪でも私も20倍くらいは……」
「エステルは強くなったのですねぇ、ふふふ♪」
「2人のスライムちゃんはともかくエステルも強くなりすぎでしょ、あはは……」
魔力封入すればMPポーション作れるの?
そういえばHPばっかに気を取られてクリーン水ばっかり作ってた。
僕作れんじゃね?
『”ウォーター”』(ブクッ……)
これで100mlくらいかな?
「何をするのです?」
これに魔力をそのまま……
むむむむむむむむむむむむむむ……
ふぅ……ちかれた。
反応ないけどこんなもんかな?
10万くらい注いだけど。
”鑑定”
-----
★魔力神水
とてつもなく高濃度の魔力が込められた水。
100mlでMP約50000程回復可能。
尚、魔力が高濃度過ぎる為、体内での処理は不可能。
生物が飲むと即死する。
-----
あ、半分ほどロスったな。
そして高濃度過ぎる魔力って毒なんだなぁ。
MPポーションって作るの難しいんだな~。
ちなみに僕なら飲めるのかなぁ……
「クロムくんは何をしたんだい?」
『ん?えっと200分の1の量で5倍だから……。世界樹の葉の薬の1000倍の効力ある水作った。飲むと死ぬって。使えねー。捨てよっと』
「「「「「……」」」」」
20
あなたにおすすめの小説
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学4巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜
Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか?
(長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)
地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。
小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。
辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。
「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる