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193話 - 3大欲求
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とりあえず家と水事情がこれで片付いた。
排水とかはみんなで溝掘ったりしてやってくれるらしい。
言ってくれれば手伝うって伝えた。
専門的なことわからないから助かる!
1時間ほどでクラムの家作り終わっちゃたんだ。
みんなで共同生活するから家そんなにいらないって。
そもそも小さい家がたくさんだったのも、
自分達が簡単に作れるサイズがその程度だからって話だった。
みんな仲いいし共同生活の方が色々楽らしい。
個室まで作ってくれるならさらに共同生活の方が家事の分担も出来てありがたいってことだった。
あとは個別に暮らしたい人の家だけ作ってあげた感じ。
パートナーがいる人の分だね。
『そういえば、ハイエルフってどうやって結婚するの?』
「ハイエルフには他人種のように結婚という仕組みはないですよ?個人同士で誓い合っているだけです。両親に報告するくらいですかね?」
そもそも結婚ってシステムすらないって話だ。
一緒に過ごそうね。って指輪送って生活しているだけらしい。
特に認めてもらったりする必要もないとの話だった。
少人数だし仲がいいのなんてみんな知っていると。
そりゃそうか。
どこに届け出るんだよって話か……
そういえば獣人のその辺りのシステムも知らないな?
僕って本当に恋愛事情興味なかったんだなぁ……
教会も結婚式はとり行ってるって話だけど独立した組織ならそこが戸籍管理しているわけでもなさそうだよね。
まぁそれは置いておいて、家のサイズは最初に作ったものくらい。
全部合わせて15棟。
これで充分すぎるとのことだ。
適当にその日過ごしたい家で過ごすらしい。
自由な感じでいいねぇ~。
『あとは草刈ったりみんなが過ごしやすいように道や柵だけ作ってくれない?それは実際暮らす人が考える方がいいでしょ?場所分かれば僕かクラムが舗装するよ』
「そうだね!もらった区画をどうするかは僕らが考えるよ。ありがとう!とても助かったよ!」
ってことで鎌とか枝切ばさみのような物を渡した。
これはうちの草むしりを孤児院の子供に任せるときに沢山作ってたんだ。
大きな子が使えるようにね。
そのあとは公園で祝杯あげたお片付けをして各々また家でのんびり過ごしてもらおうと、この1日は終わった。
お酒とか食料を一旦みんなに持って帰ってもらった。
しばらく食事については僕らがサポートすればいいだろう。
すぐにサポートいらなくなる気もするけど……。
クラムにブラックペパロン植えておいて欲しいって言ったんだよね。
それ回収して売買すればもう充分なのでは……
ブラックペパロンって獣人国だから高価なんだと思う。
エルフの国ならちょっと魔の森に入れば採れるだろうし。
獣人国が世界で一番魔の森から遠いんだよ。
だからここでしか採れないような素材が不足してるんだと思う。
敢えて海渡ったの良かったかもしれないな。
これで衣食住は大体準備できたでしょ?
衣類はハイエルフは自作してるみたいだしね。
交易の方でお金稼いで買ってもらってもいいし。
あとは商売をうまく回すだけだ。
3大欲求満たせればとりあえず生きていくことは出来る!
睡眠欲、食欲は大丈夫!
性欲は……まぁ各々で……。
というかハイエルフのその辺の事情はわからん。
やっとスローライフがスタートすると思ったらわくわくするね!!
みんなの家が準備出来てから僕等も家に帰ってきて今後の相談をした。
とりあえずダンジョンは……どうしよ……
『ダンジョンどうする?ソフィア様も急いで欲しいわけでもなさそうだけどね』
僕の称号が使いっぱしりになってることはみんなもう知っている。
頼まれごとをしたとも伝えてある。
ただ自分のペースで無理せずいけばいいってことだからね。
「私はもう集落の皆も救ってもらいましたし、本当にもう充分すぎるといいますか……あとは皆でのんびり暮らせれば満足といいますか……ダンジョンは特にいつでも……」
「……ぼくも……たまにでいい。……訓練だけ」
エステルの集落問題は片付いた。
次はクラマの故郷を探すことを進めていきたい。
完全なスローライフには心残りがあってはいけないんだ。
今スチュワードさんにクラマの里の情報を集めて欲しいって伝えてある。
だから今調査中だ。
僕等が早く移動できるとは言え情報関連は人海戦術の方が絶対いい。
だからこっちは進捗待ちかな。
『クラムも~!でもあとちょっとだからどうしよっかなぁ~』
「我はそもそもあまり行きたくはないのじゃ……。ただ残り10階層と考えるとのぉ……もう終わらせてしまいたい気にもなるのぉ……」
『あー。そうだな……すぐに行く必要はないけど90ってなんかなぁ……』
皆で相談した結果、
とりあえずハイエルフが皆で暮らしていけるようになったら一応覗きに行こうかって話になった。
ワンッ!(こちらは私に任せてください!)
あ、ハチもうちの中にいるよ?家広いからさ?
ハチ2m以上あるけどゲートで入れてあげたの。
普段は外の方が快適なんだって。
だから僕らが要る時だけ家で過ごすそうだ。
そこからはみんなの疲れを取るのに好きに過ごした。
1週間ほど何もせず休息タイムだ。
1週間はハイエルフの面倒は全部みる。
だからとりあえず何もしなくていいから寛いで、自由を満喫してほしいって伝えた。
やっと集落から脱したのにすぐに仕事して欲しくないよね。
自由に慣れて欲しい。仕事はそれからでいいでしょ。
1週間なんて短すぎるくらいだ。
クラムはその間料理を教えてもらいにチーズ料理を作ってもらったお姉さんのところへ遊びに行くそう。
変わりに裁縫を教えてあげるそうだ。
クラムが自由にできるところが出来て本当にうれしいんだ。
僕とクラムって街での自由がきかないからさ……
気軽に話せる人も少ないし。
楽しそうに遊びに出かけててよかった。
おばあちゃんも割と出かけてるんだよね。
ハイエルフとはとても話しやすいみたい。
人と話すことが出来て楽しそうだ。
おばあちゃんの苦手意識が少し和らげばいいな。
ハイエルフを助けたことは僕らにとってもとてもいい方向へ進んだね。
クラマは狩りをしている。
美味しい肉探しだ。
あとその肉を解体して個人的にチーズやミルクと交換していた。
よっぽど気に入ったらしい。
それはクラマ用に名前を書いて取っておきなさい。
むしろ大量に肉を渡されるからハイエルフのお兄さんが困っていたくらいだ。
避難させてきた魔物はクラムが建てた小屋と柵の中。
住宅地から少し離れたところに入ってもらっている。
魔物に関しては僕らはどう面倒みればいいかわからないのでハイエルフの担当の人に完全にお任せだ。
「……ココにも……チーズ食べさせたい」
『もちろん持って帰りなよ?そのチーズとミルクはクラマのなんだから。あと孤児院の希望する子はエデンに連れてきたいと思ってるんだよ。あとちょっと待ってもらえる?』
「……うん……ありがとパパ」
孤児院の子も早く連れて来たいんだよね。
ただ、これに関しては希望者って感じになる。
もう大きい子は冒険者として活動している子もいる。
街でのコミュニティーを広げている子もいるだろう。
だからきっと希望者は小さい子になると思うんだよね。
基盤が整ってからハイエルフと一緒に過ごしてもらおうと思っててさ?
だから孤児院は後回しにしていたんだ。
結局まだ僕が話せることも伝えていないし。
ハイエルフは種族にこだわりはないからね。
自分達が危険にならないならどの種族と一緒に暮らしてもいいそうだ。
ハイエルフの基盤が整ったら次は孤児院。
その時に一緒にラクトさんに来てもらおうかと考えている。
あ、あと王様も来たいらしい……
昨日パパっと報告に行ってきたんだ。
「おおお!よかったなぁハイエルフとエステルちゃん……ずっと心配してたんだよ……グス。後のごたごたは俺に任せとけ!ってか全部シラきってやる!うちの国関係ないからな!あっはっは!!」
『シラをきるもなにも僕が独断でやったことだしマジで獣人国にはなんも関係ないぞ。ってかそもそも野良の怖い魔物が暴れただけの話だからな』
「いやースカッとする話聞けたぜ。あ、そうだ……俺もそのエデンっつー場所連れてってくれよ。時間空けるからよ?」
『いいんじゃない?獣人国の王はそもそも味方って伝えてあるよ。なんかあったら相談に乗ってあげてくれない?』
「もちろんだ!あと、クロムの作る国みとかねーとよ?あ、もう1つ……嫁もつれてっていいか……?」
『国じゃねーっての!え、嫁さんって王妃様!?』
「第2夫人とかいねぇから王妃しかいねーよ。世界樹の件にはあいつも頭抱えてたからできれば見せてやりたくてよ……」
王様は奥さんにすら僕達のことを内緒にしていてくれたらしい。
単純に氷魔法が使える魔術師が見つかったことにしていたんだそうだ。
王様が問題ないって言うなら全然話してくれていいと伝えた。
ということで王妃様も来るらしい。
王様より庶民派な人なんだって。
元々平民で冒険者してた時に出会った人らしい。
ってか王様の冒険者パーティーの残り1人が奥さんだって話だ。
王様より強いんだって……
獣人国って立場より強さの方が優先されるから平民が王妃になっても問題ないんだそうだ。
実力を示せればいいってだけの話みたい。
分かりやすくていいよね。
とりあえず皆はそんな感じ。
そして僕は、休日に入った最初の夜。
エステルにちゃんと返事をした。
『もう伝えたけどエステルのことはとても大切だ。それに恋愛面に関してもエステルには何の問題もない。僕にはもったいないくらい素敵な人だ。ただ、僕自身に恋愛を当てはめることが今のところ難しい。だから少し待って欲しいんだ』
「もちろんです!そもそも私は皆と家族として過ごせるだけでとても幸せです。つい……街で交際している方を見かけたりしていて……。少し心が焦ってしまっていました。世界一大切だと言ってもらいましたし、これ以上の言葉はありません。ずっとお待ちしてますね♪ふふ♪」
ずっと集落で物語を見て居た子が急に王都で生活してるんだもん。
色んな刺激をうけるよね。
『エステルからの気持ちはとても嬉しかった。その気持ちをないがしろにしたりしないよ。僕らの生活が落ち着いて自分を取り巻く環境の問題とか色々整理したいだけだからね?でもちょっと今後そういう方面でも意識してみる!』
「その言葉だけでとても満たされます。ありがとうございます♪では明日デートしましょ?皆のお買い物もありますし!」
『う、うん。了解!なんかいざ面と向かってそういわれると緊張する気がするね……』
・
・
・
翌朝から2人で王都に出かけた。
『このサンドイッチあまりおいしくないかもしれません……。はいクロムさん、あ~ん』
『あまりおいしくない物をあーんするのはどうなの……』(パクッ)
『どうです?』
『うん、うちの野菜の方が美味しい……いやこれはもう仕方ないでしょ。多分どこ行ってもそうだよね』
『それはそうですね、ふふ♪本に書いているあるようなデートが出来てとてもうれしいです♪』
どうみてもスライムにエサやってる美少女なだけなんだけどね……
ダメダメ!そういう事考えちゃダメだ!
エステルは凄い優しいし理想って言っても過言ではないと思う。
僕はエステルのことを好きになれるはず……
意識していけばきっと!!
『そういえば里の皆にお風呂用の泡の実を買って行かないと!』
『そうだった!お風呂とか入ったことないって言ってたし!僕等クリーンできるから忘れてたよ……』
……
『このお菓子はクラムちゃん好きそうです!お土産に買って帰りましょ?』
『そうだね、これはかなり甘いし好きそう。僕はちょっとここまでくると苦手かも……』
『クロムさんは甘いものは得意ではないですもんね、ふふ♪』
……
『新しいお酒出てるよ!これ買おうよ!』
『はいはい♪いずれ皆にも作ってもらえるといいですね~ふふ♪』
いいよなぁ。
ずっとみんなのこと考えてる。
一緒に生活したらすごい幸せになれそうだ。
生活はもう一緒にしてるんだけどね。
……あれ。僕この子のこと異性としても絶対好きだよね。
なんで?
・
・
・
・
・
それから1週間。
だいたいエステルと一緒に居た。
夜は一緒にお酒飲んだり、一緒に王都に何度も買い物に出かけたり……
エステルと過ごす時間はずっと意識してたの。
すごい素敵な子だと思う。
優しいし気配り上手だしちょっと不器用だけどそれも可愛いし。
こんなに心から素敵だと思う子なかなかいないよ。
なのに……
初日に感じた違和感が全く拭えなかった。
僕……ドキドキしないんだよ……
心臓がないからとかじゃない。
ドキドキって言うのは例えだ。
恋愛に伴う胸の高鳴りが起きないんだ……
変な感じがする……
肺はないけど呼吸している感じはする。
酸素を吸収してる感覚はあるのに。
意識しようと必死になって気付いたんだけどさ。
不思議なほど恋愛感情みたいなものが湧きあがらないの……
その部分だけ欠落してしまっている感じ。
今まで意識してないからそうなってないんだって思ってた。
だってエステル以上の人なんていないもん!
うちの娘だもん!
って目線で見るのももう違うのか……
でもそれは絶対確実!
クラムは完全に娘だしクラマは息子だしおばあちゃんはおばあちゃんだからね?
だから僕がこの世界で唯一恋愛目線で好きになれる可能性があるのはエステルだけだ。
というより改めて考えると絶対におかしい。
僕の前世のトラウマのせいだけじゃない気がするんだよ。
交際するのが怖いってだけでドキドキしたりはすると思うんだよ。
そんなの自然になるものじゃんか?
恋愛に不安はあるけれど、とても素敵な子だなって思って自然に交際に発展するとかそれを拒否してしまう程ではないんだよ……
それなのに恋愛してることを実感する部分が全くない。
なんでだ……?
恐怖は感じる。
食欲もある。
ただこの体に睡眠欲はない。
寝ているのは僕の意識的なものだ。
頭を休息させたいと思ってのこと。
異性に対する感情みたいなものが沸かないってことは……
性欲がない……?
そうだよ!ってかあるわけない!
スライムだもん!
交際とか交配とかしないよ!
寝たい!とすら思わない体だよ!?
僕が恥ずかしい!って思うのは僕の意識的な部分なんだよ。
実際恥ずかしいと思うときに心臓が鼓動を打つ感覚……
そう言うのは今までなかったかもしれない……
全然意識してなかった。
全部僕が記憶補完してるだけなんだ……
僕が恥ずかしい事だと認識しているから反応してただけだ……
そう考えてみるとこの世界に来てから一度もそんな高鳴りを感じたことがない。
綺麗な人をみて美人だとは頭で思ってもドキドキしたことなんてないぞ……
怖くないはずなのに怖いって高所恐怖症の件もそうじゃん!
あれも記憶補完で怖いと思い込んでいるだけだったもん。
恐怖は頭が反応すれば成り立つ……
わかった。それの逆だ……
僕が記憶補完でどうにかなる部分の感情はカバーできる。
家族を守りたいって気持ちも僕の意識的な部分が強い。
知られていないだけで同族を守ろうとする本能はスライムにもあるのかもしれない。
生理現象的な部分も大丈夫。
何かを食べて美味しいと思う仕組み。
楽しいことを楽しいと思う仕組み。
それはこの体にも備わっている。
野良スライムだって魔力に飛びついてくる。
誰かを好きになる気持ちって頭で考えるだけのことじゃないもん。
記憶じゃ補完できないよ。
僕はエステルに初めて出会ったんだから……
頭と体どっちもついてきて初めて好きって言える気がする。
だから僕の頭はこんなにモヤモヤしているんだ……
……そっか。
僕に恋愛ができるはずなかったんだ。
誰かに恋をする仕組みがスライムの体には恐らくない。
今の僕には……
人間のときにあった欲求がもうないんだから……
だって僕は、人間じゃないんだから……
排水とかはみんなで溝掘ったりしてやってくれるらしい。
言ってくれれば手伝うって伝えた。
専門的なことわからないから助かる!
1時間ほどでクラムの家作り終わっちゃたんだ。
みんなで共同生活するから家そんなにいらないって。
そもそも小さい家がたくさんだったのも、
自分達が簡単に作れるサイズがその程度だからって話だった。
みんな仲いいし共同生活の方が色々楽らしい。
個室まで作ってくれるならさらに共同生活の方が家事の分担も出来てありがたいってことだった。
あとは個別に暮らしたい人の家だけ作ってあげた感じ。
パートナーがいる人の分だね。
『そういえば、ハイエルフってどうやって結婚するの?』
「ハイエルフには他人種のように結婚という仕組みはないですよ?個人同士で誓い合っているだけです。両親に報告するくらいですかね?」
そもそも結婚ってシステムすらないって話だ。
一緒に過ごそうね。って指輪送って生活しているだけらしい。
特に認めてもらったりする必要もないとの話だった。
少人数だし仲がいいのなんてみんな知っていると。
そりゃそうか。
どこに届け出るんだよって話か……
そういえば獣人のその辺りのシステムも知らないな?
僕って本当に恋愛事情興味なかったんだなぁ……
教会も結婚式はとり行ってるって話だけど独立した組織ならそこが戸籍管理しているわけでもなさそうだよね。
まぁそれは置いておいて、家のサイズは最初に作ったものくらい。
全部合わせて15棟。
これで充分すぎるとのことだ。
適当にその日過ごしたい家で過ごすらしい。
自由な感じでいいねぇ~。
『あとは草刈ったりみんなが過ごしやすいように道や柵だけ作ってくれない?それは実際暮らす人が考える方がいいでしょ?場所分かれば僕かクラムが舗装するよ』
「そうだね!もらった区画をどうするかは僕らが考えるよ。ありがとう!とても助かったよ!」
ってことで鎌とか枝切ばさみのような物を渡した。
これはうちの草むしりを孤児院の子供に任せるときに沢山作ってたんだ。
大きな子が使えるようにね。
そのあとは公園で祝杯あげたお片付けをして各々また家でのんびり過ごしてもらおうと、この1日は終わった。
お酒とか食料を一旦みんなに持って帰ってもらった。
しばらく食事については僕らがサポートすればいいだろう。
すぐにサポートいらなくなる気もするけど……。
クラムにブラックペパロン植えておいて欲しいって言ったんだよね。
それ回収して売買すればもう充分なのでは……
ブラックペパロンって獣人国だから高価なんだと思う。
エルフの国ならちょっと魔の森に入れば採れるだろうし。
獣人国が世界で一番魔の森から遠いんだよ。
だからここでしか採れないような素材が不足してるんだと思う。
敢えて海渡ったの良かったかもしれないな。
これで衣食住は大体準備できたでしょ?
衣類はハイエルフは自作してるみたいだしね。
交易の方でお金稼いで買ってもらってもいいし。
あとは商売をうまく回すだけだ。
3大欲求満たせればとりあえず生きていくことは出来る!
睡眠欲、食欲は大丈夫!
性欲は……まぁ各々で……。
というかハイエルフのその辺の事情はわからん。
やっとスローライフがスタートすると思ったらわくわくするね!!
みんなの家が準備出来てから僕等も家に帰ってきて今後の相談をした。
とりあえずダンジョンは……どうしよ……
『ダンジョンどうする?ソフィア様も急いで欲しいわけでもなさそうだけどね』
僕の称号が使いっぱしりになってることはみんなもう知っている。
頼まれごとをしたとも伝えてある。
ただ自分のペースで無理せずいけばいいってことだからね。
「私はもう集落の皆も救ってもらいましたし、本当にもう充分すぎるといいますか……あとは皆でのんびり暮らせれば満足といいますか……ダンジョンは特にいつでも……」
「……ぼくも……たまにでいい。……訓練だけ」
エステルの集落問題は片付いた。
次はクラマの故郷を探すことを進めていきたい。
完全なスローライフには心残りがあってはいけないんだ。
今スチュワードさんにクラマの里の情報を集めて欲しいって伝えてある。
だから今調査中だ。
僕等が早く移動できるとは言え情報関連は人海戦術の方が絶対いい。
だからこっちは進捗待ちかな。
『クラムも~!でもあとちょっとだからどうしよっかなぁ~』
「我はそもそもあまり行きたくはないのじゃ……。ただ残り10階層と考えるとのぉ……もう終わらせてしまいたい気にもなるのぉ……」
『あー。そうだな……すぐに行く必要はないけど90ってなんかなぁ……』
皆で相談した結果、
とりあえずハイエルフが皆で暮らしていけるようになったら一応覗きに行こうかって話になった。
ワンッ!(こちらは私に任せてください!)
あ、ハチもうちの中にいるよ?家広いからさ?
ハチ2m以上あるけどゲートで入れてあげたの。
普段は外の方が快適なんだって。
だから僕らが要る時だけ家で過ごすそうだ。
そこからはみんなの疲れを取るのに好きに過ごした。
1週間ほど何もせず休息タイムだ。
1週間はハイエルフの面倒は全部みる。
だからとりあえず何もしなくていいから寛いで、自由を満喫してほしいって伝えた。
やっと集落から脱したのにすぐに仕事して欲しくないよね。
自由に慣れて欲しい。仕事はそれからでいいでしょ。
1週間なんて短すぎるくらいだ。
クラムはその間料理を教えてもらいにチーズ料理を作ってもらったお姉さんのところへ遊びに行くそう。
変わりに裁縫を教えてあげるそうだ。
クラムが自由にできるところが出来て本当にうれしいんだ。
僕とクラムって街での自由がきかないからさ……
気軽に話せる人も少ないし。
楽しそうに遊びに出かけててよかった。
おばあちゃんも割と出かけてるんだよね。
ハイエルフとはとても話しやすいみたい。
人と話すことが出来て楽しそうだ。
おばあちゃんの苦手意識が少し和らげばいいな。
ハイエルフを助けたことは僕らにとってもとてもいい方向へ進んだね。
クラマは狩りをしている。
美味しい肉探しだ。
あとその肉を解体して個人的にチーズやミルクと交換していた。
よっぽど気に入ったらしい。
それはクラマ用に名前を書いて取っておきなさい。
むしろ大量に肉を渡されるからハイエルフのお兄さんが困っていたくらいだ。
避難させてきた魔物はクラムが建てた小屋と柵の中。
住宅地から少し離れたところに入ってもらっている。
魔物に関しては僕らはどう面倒みればいいかわからないのでハイエルフの担当の人に完全にお任せだ。
「……ココにも……チーズ食べさせたい」
『もちろん持って帰りなよ?そのチーズとミルクはクラマのなんだから。あと孤児院の希望する子はエデンに連れてきたいと思ってるんだよ。あとちょっと待ってもらえる?』
「……うん……ありがとパパ」
孤児院の子も早く連れて来たいんだよね。
ただ、これに関しては希望者って感じになる。
もう大きい子は冒険者として活動している子もいる。
街でのコミュニティーを広げている子もいるだろう。
だからきっと希望者は小さい子になると思うんだよね。
基盤が整ってからハイエルフと一緒に過ごしてもらおうと思っててさ?
だから孤児院は後回しにしていたんだ。
結局まだ僕が話せることも伝えていないし。
ハイエルフは種族にこだわりはないからね。
自分達が危険にならないならどの種族と一緒に暮らしてもいいそうだ。
ハイエルフの基盤が整ったら次は孤児院。
その時に一緒にラクトさんに来てもらおうかと考えている。
あ、あと王様も来たいらしい……
昨日パパっと報告に行ってきたんだ。
「おおお!よかったなぁハイエルフとエステルちゃん……ずっと心配してたんだよ……グス。後のごたごたは俺に任せとけ!ってか全部シラきってやる!うちの国関係ないからな!あっはっは!!」
『シラをきるもなにも僕が独断でやったことだしマジで獣人国にはなんも関係ないぞ。ってかそもそも野良の怖い魔物が暴れただけの話だからな』
「いやースカッとする話聞けたぜ。あ、そうだ……俺もそのエデンっつー場所連れてってくれよ。時間空けるからよ?」
『いいんじゃない?獣人国の王はそもそも味方って伝えてあるよ。なんかあったら相談に乗ってあげてくれない?』
「もちろんだ!あと、クロムの作る国みとかねーとよ?あ、もう1つ……嫁もつれてっていいか……?」
『国じゃねーっての!え、嫁さんって王妃様!?』
「第2夫人とかいねぇから王妃しかいねーよ。世界樹の件にはあいつも頭抱えてたからできれば見せてやりたくてよ……」
王様は奥さんにすら僕達のことを内緒にしていてくれたらしい。
単純に氷魔法が使える魔術師が見つかったことにしていたんだそうだ。
王様が問題ないって言うなら全然話してくれていいと伝えた。
ということで王妃様も来るらしい。
王様より庶民派な人なんだって。
元々平民で冒険者してた時に出会った人らしい。
ってか王様の冒険者パーティーの残り1人が奥さんだって話だ。
王様より強いんだって……
獣人国って立場より強さの方が優先されるから平民が王妃になっても問題ないんだそうだ。
実力を示せればいいってだけの話みたい。
分かりやすくていいよね。
とりあえず皆はそんな感じ。
そして僕は、休日に入った最初の夜。
エステルにちゃんと返事をした。
『もう伝えたけどエステルのことはとても大切だ。それに恋愛面に関してもエステルには何の問題もない。僕にはもったいないくらい素敵な人だ。ただ、僕自身に恋愛を当てはめることが今のところ難しい。だから少し待って欲しいんだ』
「もちろんです!そもそも私は皆と家族として過ごせるだけでとても幸せです。つい……街で交際している方を見かけたりしていて……。少し心が焦ってしまっていました。世界一大切だと言ってもらいましたし、これ以上の言葉はありません。ずっとお待ちしてますね♪ふふ♪」
ずっと集落で物語を見て居た子が急に王都で生活してるんだもん。
色んな刺激をうけるよね。
『エステルからの気持ちはとても嬉しかった。その気持ちをないがしろにしたりしないよ。僕らの生活が落ち着いて自分を取り巻く環境の問題とか色々整理したいだけだからね?でもちょっと今後そういう方面でも意識してみる!』
「その言葉だけでとても満たされます。ありがとうございます♪では明日デートしましょ?皆のお買い物もありますし!」
『う、うん。了解!なんかいざ面と向かってそういわれると緊張する気がするね……』
・
・
・
翌朝から2人で王都に出かけた。
『このサンドイッチあまりおいしくないかもしれません……。はいクロムさん、あ~ん』
『あまりおいしくない物をあーんするのはどうなの……』(パクッ)
『どうです?』
『うん、うちの野菜の方が美味しい……いやこれはもう仕方ないでしょ。多分どこ行ってもそうだよね』
『それはそうですね、ふふ♪本に書いているあるようなデートが出来てとてもうれしいです♪』
どうみてもスライムにエサやってる美少女なだけなんだけどね……
ダメダメ!そういう事考えちゃダメだ!
エステルは凄い優しいし理想って言っても過言ではないと思う。
僕はエステルのことを好きになれるはず……
意識していけばきっと!!
『そういえば里の皆にお風呂用の泡の実を買って行かないと!』
『そうだった!お風呂とか入ったことないって言ってたし!僕等クリーンできるから忘れてたよ……』
……
『このお菓子はクラムちゃん好きそうです!お土産に買って帰りましょ?』
『そうだね、これはかなり甘いし好きそう。僕はちょっとここまでくると苦手かも……』
『クロムさんは甘いものは得意ではないですもんね、ふふ♪』
……
『新しいお酒出てるよ!これ買おうよ!』
『はいはい♪いずれ皆にも作ってもらえるといいですね~ふふ♪』
いいよなぁ。
ずっとみんなのこと考えてる。
一緒に生活したらすごい幸せになれそうだ。
生活はもう一緒にしてるんだけどね。
……あれ。僕この子のこと異性としても絶対好きだよね。
なんで?
・
・
・
・
・
それから1週間。
だいたいエステルと一緒に居た。
夜は一緒にお酒飲んだり、一緒に王都に何度も買い物に出かけたり……
エステルと過ごす時間はずっと意識してたの。
すごい素敵な子だと思う。
優しいし気配り上手だしちょっと不器用だけどそれも可愛いし。
こんなに心から素敵だと思う子なかなかいないよ。
なのに……
初日に感じた違和感が全く拭えなかった。
僕……ドキドキしないんだよ……
心臓がないからとかじゃない。
ドキドキって言うのは例えだ。
恋愛に伴う胸の高鳴りが起きないんだ……
変な感じがする……
肺はないけど呼吸している感じはする。
酸素を吸収してる感覚はあるのに。
意識しようと必死になって気付いたんだけどさ。
不思議なほど恋愛感情みたいなものが湧きあがらないの……
その部分だけ欠落してしまっている感じ。
今まで意識してないからそうなってないんだって思ってた。
だってエステル以上の人なんていないもん!
うちの娘だもん!
って目線で見るのももう違うのか……
でもそれは絶対確実!
クラムは完全に娘だしクラマは息子だしおばあちゃんはおばあちゃんだからね?
だから僕がこの世界で唯一恋愛目線で好きになれる可能性があるのはエステルだけだ。
というより改めて考えると絶対におかしい。
僕の前世のトラウマのせいだけじゃない気がするんだよ。
交際するのが怖いってだけでドキドキしたりはすると思うんだよ。
そんなの自然になるものじゃんか?
恋愛に不安はあるけれど、とても素敵な子だなって思って自然に交際に発展するとかそれを拒否してしまう程ではないんだよ……
それなのに恋愛してることを実感する部分が全くない。
なんでだ……?
恐怖は感じる。
食欲もある。
ただこの体に睡眠欲はない。
寝ているのは僕の意識的なものだ。
頭を休息させたいと思ってのこと。
異性に対する感情みたいなものが沸かないってことは……
性欲がない……?
そうだよ!ってかあるわけない!
スライムだもん!
交際とか交配とかしないよ!
寝たい!とすら思わない体だよ!?
僕が恥ずかしい!って思うのは僕の意識的な部分なんだよ。
実際恥ずかしいと思うときに心臓が鼓動を打つ感覚……
そう言うのは今までなかったかもしれない……
全然意識してなかった。
全部僕が記憶補完してるだけなんだ……
僕が恥ずかしい事だと認識しているから反応してただけだ……
そう考えてみるとこの世界に来てから一度もそんな高鳴りを感じたことがない。
綺麗な人をみて美人だとは頭で思ってもドキドキしたことなんてないぞ……
怖くないはずなのに怖いって高所恐怖症の件もそうじゃん!
あれも記憶補完で怖いと思い込んでいるだけだったもん。
恐怖は頭が反応すれば成り立つ……
わかった。それの逆だ……
僕が記憶補完でどうにかなる部分の感情はカバーできる。
家族を守りたいって気持ちも僕の意識的な部分が強い。
知られていないだけで同族を守ろうとする本能はスライムにもあるのかもしれない。
生理現象的な部分も大丈夫。
何かを食べて美味しいと思う仕組み。
楽しいことを楽しいと思う仕組み。
それはこの体にも備わっている。
野良スライムだって魔力に飛びついてくる。
誰かを好きになる気持ちって頭で考えるだけのことじゃないもん。
記憶じゃ補完できないよ。
僕はエステルに初めて出会ったんだから……
頭と体どっちもついてきて初めて好きって言える気がする。
だから僕の頭はこんなにモヤモヤしているんだ……
……そっか。
僕に恋愛ができるはずなかったんだ。
誰かに恋をする仕組みがスライムの体には恐らくない。
今の僕には……
人間のときにあった欲求がもうないんだから……
だって僕は、人間じゃないんだから……
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