最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ

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192話 - 自重しない拠点作り

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「クロムくん?聞いてるかい?」

 恋愛かぁ。
 本当に全く頭になかったというか……
 頭の中、衣食住+体のことで占められてたからなぁ。

 でも好意を伝えてくれたことはすごく嬉しいからね。
 単純に自分に恋愛ってものが当てはまらないってだけなんだよ。
 この件は相談して少し時間を貰うことにしよう。

「お~い、クロムく~ん」

『あ、ごめん、なんだっけ?』

「とりあえずクラムちゃんが作ってくれた家を借りて、そこを拠点にしながら各々で家を建てて行こうって話だよ。建てていい場所の許可さえもらえればあとは自分達でできるから」

 今はもう明け方。
 夜に起きて夜通し祝杯をあげていたからね。
 昼夜完全に逆転しちゃったな。

 ここにはハイエルフの家族10人程。
 エルンさんとクラムとクラマとおばあちゃんがいる。

 今は家について相談していたようだ。
 食はクリアできるし、次は住居が優先順位高いよな。

『ハイエルフの家って自分達で建ててるの?』

「皆で協力して建てているよ?木を組んで作るだけだからね」

『みんなのいえつくるよ~?』

「そんな重労働お願いできないさ。君達のことを長期間拘束しちゃうじゃない?集落から連れ出してもらえただけで言葉に出来ない程感謝してるのに……」

 それが重労働じゃないんだよなぁ……

「それが重労働じゃないんじゃよ……」

 3分だし。

『3ぷんだよ~?』

 あ、被った。

『こっちでいう1”ぶ”ちょっと位ってことだよ。僕等ちょっと違う単位使うからまた覚えてくれると助かる』

「そ、そうなのかい?単位のことは了解!ただ、そんなに早くできるならどうしようかな……」

 ハイエルフが皆ざわついている……
 また神の力でって声が沢山聞こえてくる……

『神の力じゃないって!クラムの魔法!魔法を工夫するとそこまでできるようになるってことだよ。とりあえず建つところ見てみたらいいんじゃない?集落から転移で飛んできたあそこの家もクラムの魔法だよ』

「あの家を!?いや、数人で暮らすとしても僕等あんなに大きい家は大丈夫だよ……」

 ともかくクラムに住居を建てる場所まで連れて行ってもらった。
 今から家を作るって言ったらみんなお酒持って着いてきた。
 エステルとお母さんも合流した。

 中央公園から東の方角だ。
 既にクラムの中で拠点のビジョンが出来ているらしいんだ。
 計画の準備期間に魔避けをしながら王都にたまに向かって色々考えていたそう。

 西の方は畑や果樹園を伸ばしていく。
 東の方に住居地。
 南は海だから港ね?
 北の方は魔物は来ないけど森と隣接しているのでまだ考え中だそうだ。

 クラムが作った魔除け区画内は全部綺麗な芝生のようになっている。
 これなら何でも作りやすそうだ。

『ここ~!どれがいい~?』
(トントントントントントントン)

 おお、すげぇ……
 今クラムが建てられる家のミニチュアが沢山出来ていく。

 この場所は本当に住宅地用に作った区画なんだな。
 魔の森で伐採した木が凄い量詰みあがっている。
 ここに運んできてたんだなぁ。

「選んでいいのかい?木材もすごい量だ。木をこる必要もなさそうだね、あはは……。本当に至れりつくせりだね……」

「じゃあ、試しに僕達から選ばせてもらっていいかな?僕等4人で暮らしてるんだけど……」

 男女4人のハイエルフが出てきた。
 あ!2人が指輪つけてる!ご夫婦の方なのか。
 そういえばちらほら指輪している人もいるなぁ。
 ピンキーリング流行ってるのかと思ってたよ……

 全員兄弟かと思ってたんだけど違ったっぽい。
 何世代も一緒なんだろうな。

『いいよ~?どれ~?』

「じゃあ、この赤い屋根のお家にしようかしら?大きさは……あなた達の家の4分の1もいらないわよ?持て余すから……」

 そうだよな。僕らの家本当にデカすぎるよな。
 あれ、豪農とかが使ってた家でしょ?

 4分の1でも普通の日本の家サイズくらいにはなりそうだもん。
 あそこで1人暮らししろって言われたら寂しくてしかたないよ。

『家具はどうする?クラムは石や土で作れちゃうものなら何でも出来ちゃうよ?』

「家具は大丈夫だよ。木材があれば自分達でつくるから」

 内装は自分達で作ってもらう方がいいかもね。
 愛着も沸くだろうし。

『くりえいと~……パパ~いえってなんていえばいいの~?』
『ハウスかな?』

 家を建てるだとビルディングの方がいいんだろうけど細かいことはいいや。

『おふろつけとくね~!”はうすくりえいと~”!』

(ダダダダダダダダダッダダダダダダ)

『おわった~!1ぷんだったね~』

「「「「…………」」」」

 中の方が大変って言ってたもん。
 サイズも縮んでるしね。

「こんな簡単に……」「綺麗なお家だわぁ」
「ここに住んでいいのかしら……」「早すぎるだろ……」

 その後皆で内装の見学をした。
 この家は1階のリビングが15畳ほどある。

 リビング左の部屋2つがキッチンと浴室とトイレ用の小部屋。
 浴室は地球の一般家庭にある座って足が伸ばせるくらいのサイズ。

 こっちの世界はリビングダイニングって概念はあまりないらしい。
 多分下水の問題だと思う。

 2階に6畳ほどの部屋が4部屋付いている家だった。
 僕等の家は全部屋30畳くらいあるからなぁ。
 この家は一般的な一軒家って感じで過ごしやすそうだ。

 家具は浴室以外は今のところ何もなかった。
 要望通り、用途に使う為の部屋ってだけだね。

『4にんだから4へやつくったよ~?これでいい~?』

「あ、あぁ。個室まで作ってくれたんだね……ありがとうクラムちゃん……」

 ちょっと引いてるじゃん。
 僕も最初見た時引いたからね。
 便利魔法にも程がある。

 ちなみにハイエルフが過ごしてる家は木造1室の本当にベッドと荷物置き場だけって感じの家なんだ。
 トイレは共用みたい。

「こんな立派な家を作ってもらえるのかい?どうしようかなぁ。さすがに申し訳なくなってくるよ……」

「気持ちはわかる気がします……」

『そうだなぁ。僕としては家はもうクラムに任せるといいんじゃないかなって思う。この家無料だし、僕等魔力持て余してるくらいだからさ』

『うん~れんしゅうになる~!』

『ほらね?家建てるのって結構時間かかるから。その時間交易に使う商品や自分達の生活を賄う農作物の収穫に時間使ってよ。僕等も助かるし。すぐ自分達だけでご飯食べていけるようになると思うよ?』

 ハイエルフの作ったご飯とかお酒とか欲しい!
 みんな昔は果実酒とか作ってたらしいんだ!

 エルフに厳重に監視されているから出来なかっただけだって。
 農作物を利用した者は大体作り方はわかるんだそうだ。
 この魔の森でずっと暮らしてるんだしなぁ。

 ハイエルフは自然生活のプロフェッショナルだよね。
 基盤だけ整えればあとは多分どんどん成長していくと思うんだよね。

「お主らが得意な方向で役立つとよいのじゃよ?」
「………うん……チーズとミルクほしい」

「そうかい?じゃあそうさせてもらおっかな。その分他の方で頑張ることにするよ!」

『いや、そんな頑張らなくてもいいけどね。皆が食べる分を少し多めに、くらいで。落ち着いたら商人の人に来てもらうから自分達で交易して欲しい商品を伝えるといいよ』

「ありがとう!助かるよ!」

 家の件はこれで落ち着いたかな?
 今からクラムが皆の要望を聞いて作ってくれるみたい。
 家の希望を聞きにふわふわ飛んで行った。

 すると、最初に家を作った4人のうちの1人の女性が話しかけてきた。

「ちょっといいかしら?川とか井戸がないと生活用水に困るのだけれど……」

 あ!水か!

『ほんとじゃん!僕等完全に魔法で賄っちゃってるから1番基本的な事が頭から抜けてた……。明日近場で川でも探してくるか……。この辺掘ったら水沸くかな?一回深めに掘ってみるか』

 えっと……。
 50m程土を持ち上げてアイテムボックスに入れればいいかな。
 あ、アイテムボックス拡張しないと。

 僕のアイテムボックスってサブスクなんだよなぁ。
 日額使用料払ってる感じだし。
 あ!そうだ。

 鑑定さん?というかシステムかな?
 異空間倉庫足りなくなったら自動的に10m区画ずつ広げてくれない?
 今とりあえず100m区画追加で。

≪依頼を受託しました。自動拡張に変更します≫

 よし、これで今後困らないな。
 いらない分は整理して解約すればいいんだ。
 僕こういうの解約忘れるタイプなんだけどね……

 さってと。
 井戸に必要な区画分は圧縮しちゃえばいいか。

『”ストーン”からの、”ロック”』
(ギュッ、ギュッ)

『で、アイテムボックスにポイっと。あ!水がじわじわ出てきた!できたよ!鑑定したけどちゃんと真水っぽい。海のそばだから心配だったんだけどね』

「なんでもありだね……本当に神にしか見えないよ……あはは……」
「えぇ……すごいわねぇ……」

『あとはポンプとか作ればいいかな?仕組みはわかるから作れると思う。それまではバケツでお願いできる?』

「う、うん。大丈夫だよ……」

「噴水の水も飲めばいいのじゃ。噴水は魔石を入れて作っておるんじゃがの?あの水は我が作った癒しの水じゃ。飲めるし体にいいと思うのじゃがのぉ。買い物以外することがなかったから水魔石を沢山作っておったんじゃ。今は小川を作って垂れ流しておるだけなんじゃがのぉ……」

 あれ魔法だろうなって思ってたけどばあちゃんの作った水なんだ。
 水龍の加護水じゃん……
 そして癒しの水の無駄遣いをしている……。

「そんなありがたい水を垂れ流しているのかい?それがそもそも売れるんじゃ……」

『確かに……。でもあんまり僕らの能力を使ったものを交易には出したくないからあれはみんなの生活用水に使えばいいよ』

「そ、そうなんだって……あそこからここまで川引いてもいいかもね?もう笑うしかないや、あはは……」

「わ、わかったわ!ありがと!その水は生活用水には使いたくないわね!飲み水にするわ!みんなにも伝えてくるから」(ピューッ)

 行っちゃった。
 とりあえず家と水はこれでなんとかなりそうかな?
 あともう既に畑もあるしね?

 ちょっとずつみんなの見る目が神を見る目になってきている気がするけど……
 大丈夫なはずだ!ここでは自重しないのだ!
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