食の雑学

床間信生

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62-佃煮がおばあちゃんの味というのは最近の話であって、元々はカッコイイ浜の男の料理なんだぜ!という話

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和風お弁当の定番の一つと言える佃煮。

濃い目で甘しょっぱい味に口に入れると優しい気持ちになる人も多いのではないでしょうか?

1日3個弁当をコンビニで選ぶという私も(選びすぎ…)お弁当に佃煮が入っていないと、ほとんどの場合は手に取ってもそっと戻したりしすることもあるとか、無いとか…

(どっちなんだ!)

「じゃー、単品で買えよ!」

などという声も聞こえてきそうなので、話をそらすとして…

佃煮は元々、江戸時代に佃島という島に住んでいた漁師が、保存食としていた魚の煮付けのような食べ物が始まりです。

一般的に漁師というのは自身の経験などよりはもちろん、自然環境など様々なことに左右され収入は不安定といわれます。

なので万が一の事を考えて日持ちの良い食べ物を準備していたのでしょう。

多分ですが、若干強めに感じる甘さは保存食として砂糖を利用していたこと。

今は簡単に手に入る砂糖ですが、江戸時代なんかはかなりの貴重品だったそうです。

そんなものを単なる趣向品の類いとして使うほど、恐らく江戸時代の漁師はそこまで裕福ではなかったはず。

(今では菓子として名高いカステラも最初は甘い食べ物ではなく、保存の為に砂糖を入れたのがそもそもの始まりと言われています)

佃煮に小魚が多いのは売り物にならない雑魚を佃煮にしていたということではないでしょうか。

どちらも生きるための知恵だと私は想像します。

そんな感じで漁師のご当地料理として伝えられていた佃煮ですが、ある時をさかいに住吉神社にて参拝客に振る舞われていたそうです。

それも無料で…

無料ですから当然、人は群がります。

タダより高いものは無い!

なんて言葉もありますが…

それはそれ!

ですよね!

想像でしかないですが、もしかしたらあまりの修羅場でボクシングの世界ランカーのような身体能力が必要だったのかもしれない…

私なんかは見て聞いて決めるので取りあえず群がってみます。w

もしも後で料金を請求されたとしても所詮食べ物ですから、全て腹にいれた後でシラを切ってしまえばいい。

なんてヒドイことを考えるのは私だけなのでしょうが…

そんな感じで群がる人に対して配っていたところ、その内に商人が目をつけ広まったと言われています。

ちなみに今回のお話は佃煮ですが、こういった甘い味付けの食べ物は各地にも色々と広がっています。

ということで今日の一言
「佃煮がおばあちゃんの味というのは最近の話であって、元々はカッコイイ浜の男の料理なんだぜ!」という話です。
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