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ダンジョンとは?
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ホブゴブリンが俺の10mほど先辺りで、何やら屈みクラウチングスタートのような姿勢になっている。
それを見て俺は思わず「やはり」という声が漏れそうになった。
今回でヤツと相対するのが三度目になるのだが、過去二回ともヤツは自分が最初に出てくるスタイルだった。
なので、三度目の今回も「そうじゃないのかな?」という予想をしてみたのだが、それがまんまと的中したようだ。
ヤツラの状況を見てみると、明らかに普通のゴブリンよりホブゴブリンの方が立場が上だろうという感じがある。
それであれば、俺の中では先にゴブリンの方からけしかけて俺が多少なりとも崩れたところで、ヤツが止めをさすというのが良いのではないかと思うのだが、どうやらそういう感じではないらしい。
詳しい理由は分からないが、別に詳しい理由などを今の俺は考えている暇はないので、とりあえずは自分のヤることに集中しようと思う。
そう思いながら俺は、ふと後ろを振り向き全力疾走をかます。
先ほどまではすぐ後ろまで結界が張り巡らされていたのだが、今は無い。
20mほど後方に移動している。
パッと後ろを振り向いてみると、俺が突然後ろ向いて逃げ出したのが予想外だったのだろう。
ホブゴブリンは慌てながら、俺を捕まえようと全力で追ってきた。
更に少し遅れて普通のゴブリン達が、自分達もと駆け出す。
走るスピードは俺が僅かに手を抜いているだけに、向こうの方が明らかに早い。
この調子だと、たぶんだが10mほどで追い付かれる。
そして、それが自分でも確信できるようで、ヤツの顔から僅かだが笑みがこぼれているように感じた。
恐らく追い付いたら髪の毛を掴み俺の動きを無理矢理押さえ付けてやろうとでも考えているのだろう。
走りながらヤツの左手は徐々に俺の後ろ頭に伸びてきた。
後1m…50cm…10cm…5cm…
そして
ついに俺の髪をつかんだ!
後はこのままひきづり動きを押さえてやろうなどと思っているのだろう。
もちろん力は明らかにヤツの方が上である。
俺は髪を捕まれて全くもって抵抗などは出来やしない。
更にはヤツの力だけではなく今まで走っていた勢いも加わっていく。
1m…3m…5m…
先ほどとは比べ物にならないほどの力とプレッシャーを感じる。
なす統べなく俺はそのまま押し込まれて、いいようにあしらわれていく。
俺が無様な姿をさらしているのが実に愉快なのだろう。
ヤツは勝ち誇ったように高笑いをし、いたぶるように俺を弄んでいるのだが…
その瞬間…
ヤツは俺と一緒に穴の中に落ちた…
縦×横が3m×3mで深さが5mほどの穴。
底には刃物がビッシリと敷き詰められている穴に落ち、ヤツは見事にホムンクルスと一緒に全身を刃物に切りつけられている。
何故、そんな物を俺が捕まった瞬間に用意する事ができたのか。
それは今回、ヤツを引っ掻けたのがダンジョンの機能の一つトラップ(小)というものだからだ。
今まで俺は自分のレベルを上げるために頑張っていた。
それは俺のレベルが上がれば、リンも強くなると思ったからだ。
結果をいうと確かに俺の目論みは成功した。
だが成功したとは言ってもそれは大成功というほどではなく、「そこそこ」といった程度の成功である。
そんな時に障害としてホブゴブリンのヤツが現れた。
ヤツと俺の実力差は、すさまじいものがあった…
いや、現段階でも埋められているわけではないのですさまじいものが「ある」というのが正しいのだろう。
今はホムンクルスだから直接的に身の危険は無いが、今後のことを考えると不安は募るばかりだった。
そこでガイアス様に何か良い方法はないかと相談に言ったとき「ダンジョンは何をするためのものか考えるんじゃ」と一言だけ言われ、考えた結果がこれだ。
ここに来る前はダンジョンというとゲームなどにある迷宮などを想像していた。
事実として、リンという名前もそういう意味で付けている。
俺が知っているダンジョンは迷ったりする場所もあるし、罠とかもあった。
だが、今までそっちの方に目を向ける余裕は無いと思っていたのだが、今までの自分の考えでは足りないという結論に至ったので、今回思いきってダンジョン機能を使ってみたのだ。
と言うわけで今回は、それが落とし穴だけにまんまと上手くハマった感じである。
ただ、それでもヤツはしぶとかった。
全身に無数の刃を受け、全身から出血をしていると思うのだがどうやら生きているように思える。
というのも小屋の2階から穴の様子を見てみると、何やら穴の中心でヤツの手のような物が僅かに見えたのだ。
「まだか…もう勘弁してくれ」と思ったのだが、それも一瞬のできごと。
ホブゴブリンにつられて一緒にダッシュをしたゴブリン達。
自分達が走っている最中に、突如ホブゴブリンが消えたのが不思議に思ったのだろう。
理由を確かめるかのように穴の方に方向転換した後、穴を発見するのだが押し合い圧し合いの最中、止まりきれない様子で次々に穴の中に落ちていった。
その様子は以前テレビで見た衝撃の映像に似ていた。
車が急に止まれないのは知っていたが、どうやらゴブリンも急に止まれないらしい。
それを見て俺は思わず「やはり」という声が漏れそうになった。
今回でヤツと相対するのが三度目になるのだが、過去二回ともヤツは自分が最初に出てくるスタイルだった。
なので、三度目の今回も「そうじゃないのかな?」という予想をしてみたのだが、それがまんまと的中したようだ。
ヤツラの状況を見てみると、明らかに普通のゴブリンよりホブゴブリンの方が立場が上だろうという感じがある。
それであれば、俺の中では先にゴブリンの方からけしかけて俺が多少なりとも崩れたところで、ヤツが止めをさすというのが良いのではないかと思うのだが、どうやらそういう感じではないらしい。
詳しい理由は分からないが、別に詳しい理由などを今の俺は考えている暇はないので、とりあえずは自分のヤることに集中しようと思う。
そう思いながら俺は、ふと後ろを振り向き全力疾走をかます。
先ほどまではすぐ後ろまで結界が張り巡らされていたのだが、今は無い。
20mほど後方に移動している。
パッと後ろを振り向いてみると、俺が突然後ろ向いて逃げ出したのが予想外だったのだろう。
ホブゴブリンは慌てながら、俺を捕まえようと全力で追ってきた。
更に少し遅れて普通のゴブリン達が、自分達もと駆け出す。
走るスピードは俺が僅かに手を抜いているだけに、向こうの方が明らかに早い。
この調子だと、たぶんだが10mほどで追い付かれる。
そして、それが自分でも確信できるようで、ヤツの顔から僅かだが笑みがこぼれているように感じた。
恐らく追い付いたら髪の毛を掴み俺の動きを無理矢理押さえ付けてやろうとでも考えているのだろう。
走りながらヤツの左手は徐々に俺の後ろ頭に伸びてきた。
後1m…50cm…10cm…5cm…
そして
ついに俺の髪をつかんだ!
後はこのままひきづり動きを押さえてやろうなどと思っているのだろう。
もちろん力は明らかにヤツの方が上である。
俺は髪を捕まれて全くもって抵抗などは出来やしない。
更にはヤツの力だけではなく今まで走っていた勢いも加わっていく。
1m…3m…5m…
先ほどとは比べ物にならないほどの力とプレッシャーを感じる。
なす統べなく俺はそのまま押し込まれて、いいようにあしらわれていく。
俺が無様な姿をさらしているのが実に愉快なのだろう。
ヤツは勝ち誇ったように高笑いをし、いたぶるように俺を弄んでいるのだが…
その瞬間…
ヤツは俺と一緒に穴の中に落ちた…
縦×横が3m×3mで深さが5mほどの穴。
底には刃物がビッシリと敷き詰められている穴に落ち、ヤツは見事にホムンクルスと一緒に全身を刃物に切りつけられている。
何故、そんな物を俺が捕まった瞬間に用意する事ができたのか。
それは今回、ヤツを引っ掻けたのがダンジョンの機能の一つトラップ(小)というものだからだ。
今まで俺は自分のレベルを上げるために頑張っていた。
それは俺のレベルが上がれば、リンも強くなると思ったからだ。
結果をいうと確かに俺の目論みは成功した。
だが成功したとは言ってもそれは大成功というほどではなく、「そこそこ」といった程度の成功である。
そんな時に障害としてホブゴブリンのヤツが現れた。
ヤツと俺の実力差は、すさまじいものがあった…
いや、現段階でも埋められているわけではないのですさまじいものが「ある」というのが正しいのだろう。
今はホムンクルスだから直接的に身の危険は無いが、今後のことを考えると不安は募るばかりだった。
そこでガイアス様に何か良い方法はないかと相談に言ったとき「ダンジョンは何をするためのものか考えるんじゃ」と一言だけ言われ、考えた結果がこれだ。
ここに来る前はダンジョンというとゲームなどにある迷宮などを想像していた。
事実として、リンという名前もそういう意味で付けている。
俺が知っているダンジョンは迷ったりする場所もあるし、罠とかもあった。
だが、今までそっちの方に目を向ける余裕は無いと思っていたのだが、今までの自分の考えでは足りないという結論に至ったので、今回思いきってダンジョン機能を使ってみたのだ。
と言うわけで今回は、それが落とし穴だけにまんまと上手くハマった感じである。
ただ、それでもヤツはしぶとかった。
全身に無数の刃を受け、全身から出血をしていると思うのだがどうやら生きているように思える。
というのも小屋の2階から穴の様子を見てみると、何やら穴の中心でヤツの手のような物が僅かに見えたのだ。
「まだか…もう勘弁してくれ」と思ったのだが、それも一瞬のできごと。
ホブゴブリンにつられて一緒にダッシュをしたゴブリン達。
自分達が走っている最中に、突如ホブゴブリンが消えたのが不思議に思ったのだろう。
理由を確かめるかのように穴の方に方向転換した後、穴を発見するのだが押し合い圧し合いの最中、止まりきれない様子で次々に穴の中に落ちていった。
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