異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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進化はするべきか…しないべきか…

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「進化というのは、モンスターの派生先と考えていただければ宜しいかと思います」
「派生先か…パワーアップとかとは違うの?」
「今回の進化対象、わたくしを例として考えた場合、恐らくですがわたくしが日々行っていた事柄に、今よりも更に適した形で出来るモンスターに進化できるはずでございます」

彼女には日々の家事に始まり、スキルでのアイテム作成(主にリンのオヤツに消えた…)を優先して行ってもらっていた。
家事により適した形のモンスターというのは、ちょっと意味が分からないが、能力上昇食品バランスアップにより適したモンスターとなると、もしかすると作成できるアイテムの数が増えたり、今までよりも効果の高いアイテムなどを作れるようになる可能性が高い。

「なるほ…」

「…ど。それなら進化を優先させた方がいいんだろうな」という言葉が出そうになって詰まってしまった。

「イダ様。どうなさいましたか?」
「いやね。仮に進化した場合、今とは別なモンスターになるわけだよね?その別なモンスターになってから人化を行ったとして、今と一緒の姿になれたりする?」
「んー…、どのようになるのかが分かりませんが、100%一緒というのは恐らく難しいのではないでしょうか」
「だよね…」

今はつい先日保護したレントという存在がいる。
彼女の進化が彼女と俺、リン、ガイアス様の4人だけの問題であれば躊躇などは無かったのだが、レントが姿形の変わったカロリーを見せて「はい、カロリーです。宜しくね」などと軽い形で済ますことが出来るのだろうか。
進化後の姿というのが現段階で確認できない。
であれば少し慎重に考えた方がいいと思う。

「ちなみにだけど、ホブゴブリンってゴブリンの進化後だと思う?」
「その可能性は高いと思います」
「やっぱり…」

ホブゴブリンとゴブリンを比べた場合、大きさはホブゴブリンの方が明らかに大きく、肌の色などもホブゴブリンの方がくすんだ感じで明らかに見た目に違いがある。
その状態で人化を使用した場合、同一の姿になれるのかなんてことはあまり考えられない。

「その進化って今回しかできなかったりする?」
「進化をするタイミングが今回、☆2に上昇のタイミングですから、今後、☆3や☆4などに上昇するタイミングがあれば、その時にも進化をすることは可能だと思います。ただ、『その時に進化できたモンスターが今回と一緒だったのか?』と聞かれると答えようがありませんが」

今後ダンジョンが発展していくと考えると、第二、第三のチャンスというのがあるようだ。
とは言ってもその時に今のように魔力が余っていて、彼女のことまで考えられるという保証もない。

「んー…進化を次回に回して☆2にすることもありか」
「恐らくイダ様は、人化がと仰っていましたので、問題となるのは進化した後に、わたくしがあの女と会ったときに無駄な問題が発生するのを懸念されているのですよね?」
「まー、ね。今の状況からして彼女も無理に騒いでということは無いとは思うけど、ただ…いまの段階ではどうなるかも分からないからね。ちなみに一度行った進化にキャンセルとかはできたりする?」
「出来ないと思います」

そう。いくら不思議に溢れる異世界とは言っても今俺がいる世界というのは夢やゲームなどではなく、現実の世界なのだ。
そんな現実の世界で簡単にキャンセルなんてことが出来るのであれば、俺が異世界に来るきっかけになった出来事、自分の死をキャンセルしたい。

「だよね。となると多分、レントを街まで送るのはもう少し先になるから今回、カロリーの進化については見送って、☆の上昇だけで構わないかな?」
「はい。全く構いません」

彼女は満面の笑みで俺に答えてくれる。
もしかすると結構ショックなことなのではと思ったのだが、そんな感じは微塵も感じられない。
彼女の本心については全くの不明だが、そんなことまで探っていてもきりがないので、今回は彼女の表情と言葉を素直に受け入れ先に進むことにした。

「ありがとう。それじゃー、早速だけど☆の上昇を始めるね」

俺はそう言いつつ再びメニューを操作しだす。

『カロリーを進化させますか?』

から

『いいえ』を選択して続行。

次の瞬間、彼女の全身が光輝いて一瞬彼女が消えたかと思うと、いつもの効果音が流れてきた。

毎回似たような演出があるけど、今回は今まで一番演出が派手な気がするのは、俺の気のせいなのだろうか。
そんなことを考えていると、光の中から何やら笑い声が聞こえる。


「フッフッフッ…ご主人様、ありがとうございます。」

聞いたことがある声だけに、すぐ分かった。
声の主はカロリーである。

「☆の上昇は成功みたいだね。おめでとう」
「成功も成功!それもただの成功ではなく、大成功と呼べるほどの成功でございます」

なんだか彼女、非常に喜んでいる。
俺にとって彼女が嬉しそうにしてくれて何よりだ。
光が徐々に小さくなり、ハッキリと見えるようになった彼女の姿だが、俺には以前の姿とは全く代わりがないことに一安心した。

「大成功ね。☆アップしたばかりだけど、もう何か分かったの?」
「はい、イダ様。こちらをご覧ください」

そう言って俺に見せた彼女の左手には小型の弓のような物がついていた。

えーっと…あれは確か…

攻城用兵器バリスタか!」
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