異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

文字の大きさ
53 / 78

お金の行方

しおりを挟む
借金奴隷と犯罪奴隷で高額な方はどちらか?
これは流石に俺でも分かる。
というのもごく身近にルカという借金奴隷から犯罪奴隷へと移動した例があるのだから。

さっきの話だと借金奴隷から犯罪奴隷へと移った際に彼女はロザリオの弁償や罰金もあらたに発生したと言っていた。
と言うことは同じ借金であっても、その分だけ上乗せされるのが犯罪奴隷だろう!

なので!

「はい!こた…」

「えは犯罪奴隷です」の一言が俺には出なかった。

人が買いたいのは借金奴隷。
売れて欲しいのは犯罪奴隷。
そして高額なのは犯罪奴隷だとすると…

あれ?おかしくないか?

犯罪奴隷っていつ売れるんだ?

「お主、やっと気づいたか。奴隷というのは、他の商品とは違う。仕入れてきたらどんなに粗末であろうと食事は与えなければいけない。服も着せねばいけない。その他、病気の際の薬代など身の回りにおいて色々と発生することがある。椅子や机のように置いておけば良いなどということはない。更に言うと国や町、村など人々の集まりがあると、一定以上で犯罪というのは確実におこる。その度に犯罪奴隷というのは確実に増えていく。今は売れ残っているので待ってください?国はそんな奴隷商人の言い分など考えてはくれない。ふと気がつくと、この国の犯罪奴隷の数というのは全奴隷の7割を越え、その内約9割が売れ残っていたらしいのじゃ」
「えっ…国が裁きにより犯罪奴隷にしたら、その後は奴隷商人に丸投げってことですか?」

売れる見込みがない商品を無理矢理買わされるってことですか。

「そうじゃ、なので奴隷商人たちも流石に反発を始めてな、とうとうこの国から出ていく奴隷商人が出だしたのじゃ。流石に奴隷商人が0になったりする自体というのは国も避けたいとみえてな、色々と策を実行することになる。確か最初は罰金の減額とか被害者への賠償の一部肩代わりなどで犯罪奴隷の価格を減額しようとしたようじゃ…だがそれらのほとんどは、あまり成果が上がらなくてな、ここ数年前からは奴隷商人へ補助金を出し始めたそうだ」
「それって、さっき言ってた犯罪奴隷の生活費みたいなヤツですか?」
「むろん。そういうことじゃ」

なるほど…
売れないなりにどうにか国も処分していきたいから、特典を一緒に掴ませようということか…

「それってどのくらいですか?」
「うーん。儂も詳しくは知らんが、確か預かった日から一定期間、維持費用などの経費を申告出来たはずじゃ」

ん…?

「一定期間ですか?」
「そうじゃ」

多分、国の方としてはその間に雇い主を探して売買を成立させて欲しいということなのだろう。

だが…

「一定期間過ぎたらどうなるんですか?」
「うーん…打ちきりじゃろ?よく知らんが…」

ガイアス様が腕を組み上を見上げながら困ったような表情で答えた。

「ちなみに奴隷って例えばいなくなったりしたら、どうなるんですか?」
「奴隷商人や商業ギルドへ届けをしてという感じじゃな」
「何か証明できるものとかは要らないのですか?」
「特にはいらんはずじゃ」
「ちなみに売れたときはどうするんですか?」
「届け出と犯罪奴隷の場合は賠償金などを納めたりするハズじゃ」
「それだけですか?」
「それだけじゃ」
「えっ…ザルじゃないですか?」
「ザルじゃな」

あー…これで話が繋がった。

ここからは俺の推測にすぎないが、今回の件をルカを例に俺なりに考えてみる。

ルカが借金奴隷から犯罪奴隷になり、奴隷商人に引き渡された。
その後、どこかの探索者に適当な言葉をかけてルカを押し付ける。
そして自分はその間、国から金を貰う。
全ての手続きが届け出だけで通るのであれば、申請するのは別に他の奴隷の生活費でもいいハズだ。
もっと言うと、自分達の生活費でもいいのかもしれない。

もし俺が、その奴隷商人の立場で悪どくやりたいのであれば、ルカを探索者に預けるときにうまく始末できた場合、成功報酬でいくらかお礼という話をすると思う。
仮に探索者がルカを気に入れば、普通に売買をして後から届け出をすれば問題ないハズだ。

そして彼女は再び奴隷商人の元へ送り返されたとしたら、自分は再び元凄腕冒険者として売られるなどと心配していたが、確かにそうだ、奴隷商人ならそうするね。

更に俺がルカを押し付けられた探索者の立場で、ルカを始末する気マンマンであれば、確かに粗末な木の盾一枚でモンスターと戦わせるだろう。

あくまで全てが俺の推測にすぎないが、ガイアス様の話が正しいのであれば、誰だってそうするのではないかと思う。

「そういうことですか」
「そういうことじゃな」

ただ…
それだと納得できないことが一点ある。

今回の件。
話の根本が犯罪奴隷についてだ。

それぞれの事情があるので一概には言えないかもしれないが、ただ犯罪を犯した人という点で言うと犯罪奴隷は大なり小なり償う必要はあると思う。

なので、その機会をなんとか模索しようとしている国の活動も俺は賛成だと思うのだが…

それを邪魔する奴隷商人の活動というのが、なんとなく俺の中では納得がいかない。
確かに以前は色々と国のシステムに問題があって、犯罪奴隷の維持に不満があったのは分かる。

ただ、それはそれだと思う。

以前の不満そのままに自分達で塞き止めて、打開策を考えずに自分達だけで利益をせしめるというのは納得がいかない。

奴隷商人コイツらをどうにか…
いやそこまではちょっと…
せめて俺なりに犯罪奴隷の新たな使い道とかって何かないものだろうか…
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...