世界のためなら何度でも

つぼっち

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第十章、正義を求めて

#64 正義を求めて

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俺のなにが悪かったのだろうか。

俺の家系、国守家は代々警察官であった。

俺も幼い頃から親父やママに憧れ、正義について学んでいった。

悪いことをする奴は取り締まり、制裁を加えなければならないと、そう思っていた。

小学3年生の頃、学校で事件が起きた。

親友である神成 聖夜が空腹のあまり給食を全て独り占めにしたという事件だ。

その日の給食はカレーということもあり、皆期待を膨らませていたり朝飯を抜いたりする人もいたそうだ。

そしてそのうち何名かが空腹とショックで倒れ、保健室行きに。

聖夜はクラスのみんなからいじめられるようになった。

だが親友ということもあり、俺は聖夜を庇った。

そのことが父に渡り、ひどく怒られた。

『当然の報い。』

と、そう言われた。

その後俺は聖夜を庇ってやれなくなった。

そして聖夜は引っ越してしまった。

親友である俺や一にも言わずに。

これでいいんだ。

自分の心を押さえ込んでその言葉を自分に言い聞かせた。

罪悪感で潰されそうになった。

俺があの時親父の言うことに背いてあいつを庇っていれば。

そして高校一年生になった頃、俺はこの世界に転移した。

転移した中には小学3年生のクラスメートばかりだった。

そして女神に言われた。

『神成 聖夜は人を何人も殺した大罪人である。それを止めるべくあなたたちに殺して欲しいと。』

また聖夜に会えると浮かれていた矢先にこれだ。

だが、俺はあの時の罪悪感より幼い頃からの正義心が勝ってしまっていた。

あいつを悪の道から正してやらねば。

そして俺は鍛錬を積み、大アルカナの[No.11]として正義を執行し続けた。

悪を裁き続けた。

でもその中で何回か、自分の感情に任せて裁かなかったこともあった。

聖夜と戦った時もそうだ。

実際は負けたけど心の中で殺したくないと思っていたのかもしれない。

甘え。

それが俺の最大の過ちだったのかもしれない。

だから俺は聖夜に負けた。

だから今もこんな状態で泣いてるんだ。

だから…………

「最も愛している人を失ったんだ。」

大アルカナに入ったときにガブリエルとであった。

彼女は聖天使で人間の俺とは不釣り合いだった。

なのに彼女は俺と共に来てくれ、愛してくれた。

そんな世界で最も必要な存在を失ってしまった。

俺のたった一筋の光を。

自分の甘えのせいで。

でも完全にいなくなったわけじゃない。

堕天されて今は会えないけどいつか会える。

正義を執行し続けて女神に認めてもらえればまた天界に戻れるはず。

だからまってて。

気づけば傷は癒え、己の信念でできた鎧を纏っていた。

鎧は銀と黒で構成されている。

そして持っていた聖剣も銀と黒色になっていた。

俺は正義を執行する。

甘えや油断は一切しない。

どんな悪であろうとも絶対に滅する。

俺は正義の象徴だ。

俺は、

「〈絶対的な正義〉を実行する。」
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