世界のためなら何度でも

第七章、真実

#97 ゼロの過去

宇宙……か。

俺も元の世界にいた時に憧れてたっけ。

ちっちゃい頃は「宇宙は存在する！！」って言ってたっけ。

今ではそんなの笑い話だけどな。

それにしても神王ですら統治できないほど広いって本当なのかな。

俺が元いた世界とこの世界、そして他にもいろいろな世界がある大いなる空間を統治する神王にすら手が届かない場所。

でも所詮空想だ。

そう思ったけど少しずつ信憑性が湧いてきた。

俺だって元いた世界ではこんな魔術がある世界を信じていなかった。

でも俺は今そんな世界にいる。

それならもしかしたら宇宙もあるかもしれない。

もしあるなら行ってみたい。

そんな気持ちでいよう。

「ありがとなゼロ。ところでこんなのよく調べれたな。どこで調べたんだ？」

「実際私も研究会にいましたからね。」

「なるほどな、通りでそんな詳しいわ……………今なんて？」

「実際私も研究会にいましたからね。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！？」

「正確には私を作った博士が研究会の幹部だったということです。」

「マジかよ。」

ここにきての新事実。

そういえばゼロは俺が作ったんじゃなくてゴーレム魔術で召喚した最上位ゴーレムだったな。

「私の博士は大昔に有名な鍛治師でした。」

そう言ってゼロは博士について語り始めた。







もともとゴーレムというのは戦闘用のみしか存在しませんでした。

戦争のための心のない戦闘兵器。

命令に忠実に動き、死ねといえば死ぬ恐ろしく使い勝手のいい兵器だったのです。

私を作った博士の名はグラン＝ゼルトマン。

有名な鍛治師でした。

彼の作る剣はどんな盾でも切り裂けるという伝説まで残した立派な鍛治師。

博士は鍛治しか取り柄のないと思われていましたが実は『人形』に魂を吹き込むことができる魔術を持っていました。

これが後にゴーレム魔術になったと言われています。

そしてその魔術の腕を見込まれて天之川魔術研究会へ誘われました。

天之川は希少な金属などを無償で博士に渡し、人形を作らせ、魂を吹き込ませました。

そしてできたゴーレムは何に使われるかを言われないまま次の人形を作らせていきました。