世界のためなら何度でも

つぼっち

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第三章、【白の王冠】メタトロン

D-15 懐かしき相棒に会いに

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惨敗だった。

あの戦いから逃げ帰った後の俺たちは酷かった。

天之川は部屋から一歩も出れていない。

アレイスターは体が未だに寝たきりだ。

かくいう俺も吹っ飛ばされた右手が恐怖で未だに動かない。

こんな圧倒的敗北を味わったのは二度目だ。

こんな圧倒的恐怖を味わった次の日は、


「弱いものいじめが一番だよな!!!!」

「最低ですね。」

「最低。」

俺たちは初級の冒険者達がよくくる雑魚敵ばかりが住むダンジョンに潜っている。

ここならストレス発散に最適だ。

「とか言いつつお前らもやってんじゃねぇか。気が晴れるだろ?」

「まぁ多少は……。」

「発散しながら聞いてくれ。俺たちは自分の無力さを知った、これは絶望じゃなくて希望だと思うんだ。」

「というと?」

「この初期の段階で自分の弱さを知って強くなれればあとが楽だろ?だから希望なんだ。」

「でも具体的にどうやって強くなるのさ。」

ポカポカと敵を棒切れで殴る天之川が口を開く。

「…………それはわからない。でも試しに行きたいところがあるんだ、天界のとある国に。」





【神聖天国・ディーヴァ】】


「絶対気づかれるなよ。」

「こんな変装で大丈夫なんですか?」

俺たちは天界の国の一つ、ディーヴァという天国に来ている。

もちろん人間が入ればこの前のように即さよならなので聖属性の造形魔術で偽物の羽を作り変装している。

俺は聖属性が弱点なので背中が火傷しているけどな。

「ぁぁぁぁいてぇ。まじで体透けてきてるって。」

「我慢してくださいよ、聖夜くんが言ったんじゃないですか。」

「でもいてぇもんはいてぇよ。まじでずっと背中ビンタされてる感覚。」

アレイスターと天之川は羽でふよふよと浮いているが俺は地面に足をつけて歩いている。

天使達は基本地面に足をつけないので周りから変な目で見られている気がする。

「さぁ着いたぞ。」

「ここどこ?」

天之川が天を見上げる。

そこにはがっしりとしたビルが建っている。

「び、ビル?」

「そう、ここは『あいつ』が働いている会社なんだ。」

「あいつとは?」

「そいつはかつて俺と一緒に旅をしていた仲間、悪魔のベルゼブブだ。」



そう、俺はかつて暴食を司る地獄の七大悪魔の一柱にして俺の魔剣に入り旅を共にしていた悪魔ベルゼブブに会いにきたのだ。
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