258 / 286
第八章、死の神
D-67 力を得るという意味
しおりを挟む
「こ、これはやばいぞ。」
聖夜は枯れた葉を手で触ってみる。
似たようなものを親友の『佐藤一』がやっていたがそれとこれはまるで次元が違った。
ハジメのものは水分を奪い木々を破壊する力。
しかしこれは木自体が『死んだ』のだ。
枯れた痕跡はない。
むしろ木は生き生きしている。
だが死んでいるのだ。
植物の命が消える時、ほとんどの場合枯れるはず。
しかしこの木は枯れる前に『死んだ』のだ。
「訳がわからない……。」
『わかる必要はない。これが神の力、『即死魔術』だ。本来は短い時間の接触が条件だが神器ゲルトビャリオンの力により掠めただけでも絶命させることができる。』
「な、なんだそのチート能力……。」
『汝もこの力を欲するか。』
「当たり前だろ、そんな力あれば最強じゃん。」
『……そうか、この力は手に入れようとすれば簡単に手に入る。』
「マジで!?」
『しかしそれ以上に最悪の苦痛が待ち受けている。能力を手に入れる時も、手に入れた後もだ。今も我の体は全身が焼けるように痛い。』
「…………。」
死神は神器の先をガンと地面に打ち付ける。
『我の友たちも同じ苦痛を伴った、我やウリエル、ザンギエル、そして貴様の中に眠るハニエルもな。』
聖夜はそれを聞いてどかっと地面に座り込む。
これ試合の最中なのにだ。
『何をしている?』
「聞かせてくれ。お前の、お前たちの話を。俺はお前たちを倒して先に進む、その倒す相手のことをもっと知りたいんだ。」
『…………貴様は傲慢な男よ。』
死神も聖夜の近くに座り込む。
『その前に、ハニエルよ。聞いているなら出てこい。』
死神がそういうと聖夜の股間からにゅっとハニエルが出てきた。
「えぇ!?どこから出てんの!?」
『久しぶり、アグナエル。』
『久しいな。』
「え、お前らって知り合いだったの?」
『うん、遠い昔のね。』
ハニエルの体が完全に俺から抜けると、ハニエルはアグナエルの膝にちょこんと座った。
『あれはここから遠い昔の話だ。』
我々の生まれた時代は今ほどではないがひどいものだった。
人間が光を見つけ、その影響で黒魔術が軍事利用され、住処を失った魔物たちはその光を人間よりも扱えるよう進化していった。
中でも神や天使は魔術を人間よりも早く習得し、人間を手中に収めた。
しかし人間にはそれをよく思わないものもいた。その結果我らは人間によって天界から引き摺り下ろされ、人間の魔術の更なる発展のためと体中をいじられた。
ウリエルは体を液状にされ人間に食された。
ザンギエルは脳に直接高濃度魔力を流され存在を薄くされた。
我は薬を飲まされ身体中に針や刃を刺され死という概念を超える実験台にされた。
ハニエルは人間の体内に無理やり吸収され自由を奪われた。
「それ全部人間が悪いじゃん。」
『……まぁそうだな。』
死神は呆れたようにため息を吐く。
『言っておくが自身の目的のために我々を傷つけている点においては貴様も同じだぞ。』
「んなこと知ってるよ。」
聖夜はパッと立ち上がる。
「俺は強欲で傲慢で暴食な男だ。それは昔も今も変わりはない、何か人助けをしたところでこの事実が変わるわけでもないし変える気もない。目的のために手段を選ばないのは人間のいいところでもあり悪いところでもあるからな。」
死神もスッと立ち上がる。
「お前何が目的で生きてるんだ?」
『それは……わからない。』
「だろうな、お前弱いもん。」
『な、我を愚弄するか!!』
「単に力が弱い奴より目的のなく彷徨うだけの奴の方がよっぽど弱いよ。」
聖夜は右手を真横に掲げる。
すると魔法陣が出現し、中からチェーンソウが出てくる。
「証明してやるよ、お前が弱いって証拠をな。」
聖夜は枯れた葉を手で触ってみる。
似たようなものを親友の『佐藤一』がやっていたがそれとこれはまるで次元が違った。
ハジメのものは水分を奪い木々を破壊する力。
しかしこれは木自体が『死んだ』のだ。
枯れた痕跡はない。
むしろ木は生き生きしている。
だが死んでいるのだ。
植物の命が消える時、ほとんどの場合枯れるはず。
しかしこの木は枯れる前に『死んだ』のだ。
「訳がわからない……。」
『わかる必要はない。これが神の力、『即死魔術』だ。本来は短い時間の接触が条件だが神器ゲルトビャリオンの力により掠めただけでも絶命させることができる。』
「な、なんだそのチート能力……。」
『汝もこの力を欲するか。』
「当たり前だろ、そんな力あれば最強じゃん。」
『……そうか、この力は手に入れようとすれば簡単に手に入る。』
「マジで!?」
『しかしそれ以上に最悪の苦痛が待ち受けている。能力を手に入れる時も、手に入れた後もだ。今も我の体は全身が焼けるように痛い。』
「…………。」
死神は神器の先をガンと地面に打ち付ける。
『我の友たちも同じ苦痛を伴った、我やウリエル、ザンギエル、そして貴様の中に眠るハニエルもな。』
聖夜はそれを聞いてどかっと地面に座り込む。
これ試合の最中なのにだ。
『何をしている?』
「聞かせてくれ。お前の、お前たちの話を。俺はお前たちを倒して先に進む、その倒す相手のことをもっと知りたいんだ。」
『…………貴様は傲慢な男よ。』
死神も聖夜の近くに座り込む。
『その前に、ハニエルよ。聞いているなら出てこい。』
死神がそういうと聖夜の股間からにゅっとハニエルが出てきた。
「えぇ!?どこから出てんの!?」
『久しぶり、アグナエル。』
『久しいな。』
「え、お前らって知り合いだったの?」
『うん、遠い昔のね。』
ハニエルの体が完全に俺から抜けると、ハニエルはアグナエルの膝にちょこんと座った。
『あれはここから遠い昔の話だ。』
我々の生まれた時代は今ほどではないがひどいものだった。
人間が光を見つけ、その影響で黒魔術が軍事利用され、住処を失った魔物たちはその光を人間よりも扱えるよう進化していった。
中でも神や天使は魔術を人間よりも早く習得し、人間を手中に収めた。
しかし人間にはそれをよく思わないものもいた。その結果我らは人間によって天界から引き摺り下ろされ、人間の魔術の更なる発展のためと体中をいじられた。
ウリエルは体を液状にされ人間に食された。
ザンギエルは脳に直接高濃度魔力を流され存在を薄くされた。
我は薬を飲まされ身体中に針や刃を刺され死という概念を超える実験台にされた。
ハニエルは人間の体内に無理やり吸収され自由を奪われた。
「それ全部人間が悪いじゃん。」
『……まぁそうだな。』
死神は呆れたようにため息を吐く。
『言っておくが自身の目的のために我々を傷つけている点においては貴様も同じだぞ。』
「んなこと知ってるよ。」
聖夜はパッと立ち上がる。
「俺は強欲で傲慢で暴食な男だ。それは昔も今も変わりはない、何か人助けをしたところでこの事実が変わるわけでもないし変える気もない。目的のために手段を選ばないのは人間のいいところでもあり悪いところでもあるからな。」
死神もスッと立ち上がる。
「お前何が目的で生きてるんだ?」
『それは……わからない。』
「だろうな、お前弱いもん。」
『な、我を愚弄するか!!』
「単に力が弱い奴より目的のなく彷徨うだけの奴の方がよっぽど弱いよ。」
聖夜は右手を真横に掲げる。
すると魔法陣が出現し、中からチェーンソウが出てくる。
「証明してやるよ、お前が弱いって証拠をな。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる