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つぼっち

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第八章、死の神

D-68 神器ゴグラマグラ

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『それは……神器?』



死神はじりっと後ずさる。



「俺の神器ゴグラマグラ、チェーンソウか。」



聖夜は自分の神器をじっくり眺める。



『危険だ、我が本能が危険と言っている。』



死神は神器に気を取られている聖夜の背後にまわる。



そしてゲルトビャリオンを振り下ろした。





ドルルルルルルルルン!!!!





途端にゴグラマグラが地面に突き刺さり、回転の力で聖夜と共に素早く鎌を避けた。



「わっはぁ!!こりゃすげぇ!!」



聖夜はとても興奮している。



『珍妙な……。』



死神は再びスッと聖夜の前に立ちはだかる。



「お、いいところに来てくれたな。」



聖夜は手から大きなカプセル上の何かを取り出す。



そしてゴグラマグラの起動部を開け、カプセルを中に入れて閉める。



するとゴグラマグラは歪な音を上げて刃が回転し始めたのだ。



「さぁ行くぜぇ!!」



聖夜がエンジンの紐を引くとさらに回転が速くなる。



ゴグラマグラの刃を地面に突き刺し、地面を破壊しながら突き進む。



『!!』



死神は咄嗟に空高く飛び跳ねる。



聖夜はそれが見えていないのかチェーンソウの回転の力を利用してぐるぐると自らで回転し、木々を薙ぎ払っていく。



『こ、これは……。』



森から気がどんどんなくなっていくのを見てドン引きする死神。



「んぁ?上にいんのか。」



聖夜は回転するのを一旦止める。



「ベルゼブブ。」



『はいよ。』



ベルゼブブは魔剣から抜け、神器に入る。



『おぉ、なんだこの快適空間!!』



ベルゼブブは神器の中を気に入ったようだ。



「さぁぶっ飛ばすぜぇ!!!!」



聖夜はゴグラマグラを死神のいる宙へ思いっきり投げ飛ばした。



『ぇぇぇぇぇぇ!?』



死神は当然のようにゴグラマグラを避ける。



なかにいるベルゼブブごと神器は空の彼方へ飛んでいった。



「……。」



『…………無策だったのだな。』



「スーーーッ、いやそんなことはないけどな~。」



聖夜の額から大量の汗が噴き出る。



『もういい、止めだ!!!!』



死神は鎌を横に振り投げる。



鎌は聖夜の方にブーメランのように飛んでくる。



「わたたっ!!」



聖夜は間一髪避けきるが鎌はさらに聖夜を追いかける。



「な、なんでぇ!?」



聖夜は武器も何もない状態。



防ぐことができないのでただひたすら逃げ回る。



しかしそれを見越しているのか鎌は聖夜を追跡する。



まるで意思を持っているようだ。



『しぶといぞ!!』



「しぶとさだけが俺の取り柄なんでね!!」



『死ねぇぇぇぇぇぇ!!!』



「……ぷっ。」



聖夜は思わず吹き出してしまう。



『何が、何がおかしい!!』 



「いや、お前ってバカだな。」



『取り消せぇぇぇぇぇぇぇ!!!!我は、我は神だぞ!!!!!!!』





グサッ





『は?』



死神の腹をギュインギュインと回転する神器ゴグラマグラが刺さっていた。



「感情に振り回されすぎだ。」



回転の力で死神の腹を神器が貫通する。



『聖夜てめぇ俺様が軌道修正しなかったらあのまま宇宙まで行ってたぞ!!』



「それはなかったと思うよ、俺はベルゼブブのこと信じてるからな。」



聖夜は腹に穴が空いてその場に倒れた死神のそばに近寄る。



「お前の過去には同情するよ、でも俺は前に進まなくちゃダメなんだ。」



『…………。』



聖夜は自分の体からハニエルを出す。



「ハニエル、そいつのそばにいてやってくれ。」



ハニエルは無言で死神の手を握る。



『……神成聖夜、強欲で傲慢な男よ。』



死神は自分が首から下げていたペンダントを聖夜に渡す。



『ウリエルやザンギエルは封印されたのだろう、だが我は……私はもう死ぬだろう。』



聖夜はペンダントを受け取る。



『私に目的はなかったのだな……、ただ人間達を殺して回るだけの化け物だったのだな。聖夜よ、そのペンダントには時間再生の力が宿っている、貴様が必要なものだ。』



「……俺はもう行くよ。ハニエル、お前はどうする?」



『もう少しここにいたいな。』



「好きにしたらいいよ。」



薄れゆく意識の中死神は最後にこう呟いた。



『…………神成聖夜、人の心を失った化け物よ。』
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