傲慢王子から婚約破棄を突き付けられる予知夢を見る所から始まる一昔前のよくある物語

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05・謎の行商人

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「その原因は、1つでっしゃろなぁ…。」
マリン達の屋敷を出入りしている行商人一行、リーダーである中年で恰幅の良い大柄男性。
彼の名はチューブ。
それ以外の事をマリンとマロンは知らない。
いつも2人の若い青年の弟子を連れて現れる。

チューブ達がグラッセ家に出入りするようになったのは、3~4年前からだ。
出入りの期間はマチマチで、大体1カ月に1度程度訪れ、マリンとマロンに色々と売りつけて行く。
そして、マリンとマロンが作ったガラス細工の小さな置物を買い取ってくれる。
マリンとマロンの、魔法以外の唯一の特技だ。
火の魔法と水の魔法などを使い作ったそれは、目利きがあるチューブにも売れるくらいの代物なのだ…!

あんな予知夢を見てからは、もうこれを商売として生きて行くしかないとも思った。
だが、まだ12歳の世間知らずなマリンとマロンが、国を出て生きる為には知識も蓄えも足りないだろう。
それに、ガラス細工の売上金は微々たる物。
それだけで生計は立てられない。

「ずいぶん立派になりましたなぁ。
すっかり、翼も生えそろって…。
そろそろ飛ぶ練習も必要ですな。」
窓の外の雷竜に目をやるチューブ。
マリンとマロンもハッとする。
裏の森でタマゴを拾ってから1年、当時タマゴを譲ってほしいとチューブに言われたが断り、自分達の手で孵した。
その時のマリンとマロンは、犬でも生まれるだろうと、バカな事を考えていたのだ。
生まれた当時は50センチくらいの巨大トカゲのような姿をしていたが、1年経った現在は3メートルは超えてしまった。
「雷竜には、国を揺るがす程の力があります。
国王に知られたら、必ず兵器としての利用を求められるでしょう。
そして、その利用が不可能であれば、手に余るものとして処分をしようと考えます。」
「そんな…。」
「ライちゃんは、大人しくていい子なのにっ…。」
「後半年もすれば、4メートルを超えて来るかもしれまへん。
さすがに隠しきれないサイズになってくるでしょう。
最終的には10メートル越えもあり得ます。
決断なさっては、いかがですか?」
「っ。」
ギクリ・・
バカでなくなった今のマリン達ならば、チューブが言わんとしている事は分かる。
……雷竜を引き渡せと言っているのだ…。
今までも来る度に、チラリと言われ続けていた。
確かに、そんなサイズとなってしまえば、隠して飼い続ける事は出来ないだろう。
グラッセ家は、グロッシュラーの端の方にあるが、誰も訪れない訳ではない。
チューブ達以外にも、食料や衣類を届けてくれる業者などもいるし、週に何度か来る通いのメイドなどもいるのだ。
今の所、見つからずに居るが…、それも時間の問題だ。
いずれは他の業者達などにも見つかり、大騒ぎになるに違いない。
そうしたら、未来予知映像の通り、犯罪者として風雷館に送られる事になるだろう。

だが、たった1年だが、一緒に過ごして来た情はある…!
そんなに簡単に気持ちは切り離せない…。
「ううう…。」
唇を噛み締め、決断しきれずにいるマリンとマロンを、チューブは苦笑しながら見ている。
「お2人は、数日後に行われる12歳検診後には、高等科へ進まれるでしょう。
高等科はここからは遠い為、寮生活となる筈。
そうなっては、この屋敷にも簡単には帰れませんよ?」
「っ、12歳検診っ!!」
「高等科っ!!」
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