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09・黒魔導師Sクラス
しおりを挟むマロンは黒魔導師のSクラスになった。
マロンの他に、メロウ王子、フロアやシータもこのクラスに居る。
黒魔導師のクラスは成績で分かれているが、忖度されている部分もある。
Sクラスは本当に実力がある者と、金持ちだったり身分が高かったり、高貴な身分の婚約者候補だったりも、Sクラスとされる。
このクラス分けは将来の就職にも大きく響く為、卒業時には何とかSクラスで卒業出来るよう必死になるのである。
マロンは自席に座ったまま、キョロキョロと教室内を見回す。
こんなにたくさんの人数が教室に居るのを昨日初めて見た。
男子もたくさんいる。
マロンの席は一番前の端で、メロウ王子は同じ列の一番後ろだ。
フロアやシータもかなり席が離されている。
(…意図的なのかな…?)
そんな事を思いながら観察していると、不機嫌そうに組んだ両足を机に乗せ、腕組みをしているメロウ王子と目が合ってしまった。
(ヤバイッ。)
マロンは思わずサッと目を反らし、授業の準備をしているフリをする為に、机の横に掛けていたバッグの中身をゴソゴソと漁る。
「ちっ!」
王子の舌打ちが聞こえた気がするが、聞こえなかったフリをする。
今は一限目が始まる前の時間で、もう席を立ってうろつく時間はないが、まだ教室内はざわついている。
機嫌の悪そうな王子に近付く者は1人もいない。
と思ったが、王子の前の席の女生徒が振り返って何かを話しかけていた。
(うわぁ…、誰だか知らないけど、勇気あるなぁ…。
あそこまで機嫌悪いと、フロアちゃんですら話しかけないのになぁ…。
知らないって、怖い…。
でも、前のわたしなら、あんな王子をよしよし~とかってやってたんだもんね…。
うわぁ…、思い出すだけで鳥肌モンだわ…。
あの頃のわたし、思えば聖女だったかもしれん…。
あのワガママ王子をよしよし~なんて頭撫でて抱き締めてあげてたんだもん…。
悪いけど、もう今のわたしには無理だわ…、無理過ぎるわ…。
あんな目で訴えて来られても、困るんだわ…。)
今更だが、白魔導師となり王子とは別のクラスになったマリンを、少しだけ羨ましいと思ってしまう。
だが、白魔導師はグロッシュラーでは不遇だ、大変な道なのだ…。
だから、王子と同じクラスだと言うくらいの泣き言は、マリンに言う事は出来ない。
『マロン、がんばってっ。
休み時間、辛かったら、こっちの教室においでっ。』
「!」
マリンのテレパシーが聞こえて来て、マロンは驚き固まる。
そして、思わず瞳がうるうるなってしまった。
何か返そうと思っていたら、教室のドアが開き、講師が現れた。
「おはようっ!」
元気な声を上げて現れたのは、第3王子の第2王子妃、グミー・ル・グロッシュラー。
王子妃であり、1学年のSクラス担任を受け持っている。
もちろんこの配属は故意に行われた物でもある。
王子やその婚約者候補達の成長を見守り、育てて行くと言う特別な割り当てだ。
メロウ王子は再び小さく舌打ちをした後、ゆっくりと机の上から足を降ろす。
「メロウ王子、机に足を乗せる行為ははしたないです。
次回見かけたら、夫に報告しますね。」
ニッコリと微笑むグミー王子妃、もとい講師は、さすが王子妃だけあり、気品と美しさを併せ持っている。
黒のタイトスカートのスーツの上下に茶色のストレートロングヘア。
他の生徒達は皆グミーの美しさに見とれていたが、メロウ王子だけは小さく舌打ちをしていた。
「その舌打ちもおやめなさい。
ここは、高等科、名前の通り高度な学科や魔法を学ぶ場です。
学ぶ気がない者はたとえ王子であっても、退場して貰います。
そして次回からのクラス分けは私が公平に行わせて頂きますからね。
王子でもクラス落ちする可能性がある事、お心に刻むように。」
ニッコリ微笑むグミーとは裏腹に、その言葉を聞いて顔を青ざめさせたのは王子だけではなかった。
マロンもその一人である。
(ヤバイッ…、このままだと学科でクラス落ちしちゃうっ…!
か、帰ってからも猛勉強しなきゃっ…!!!)
『マロン、わたしも手伝うよ。
2人でやれば、2倍進むよっ。』
「!」
(マリンッ…、ありがとっ…。)
マリンが居てくれて、双子で、本当に良かったーーー。
あんな最悪な未来予知を見てしまったが、マリンが居てくれれば、2人ならばきっと上手く回避出来るだろう。
「では、本日はグロッシュラーの王族についてお話します。」
グミーが黒板に魔法石の付いたペン先を向けると、黒板には文字が浮かび上がった。
マロンは慌てて姿勢を正し、黒板に視線を向けた。
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