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11・将来の為に

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「クラス落ちすれば、王子の婚約者候補から外れられるのかなぁ…?」
「外れられるとしても、卒業後じゃない…?
高等科にいる間には、ならないんじゃないかなぁ…?」
「それじゃ、断罪劇前にはならないかぁ…。」
「多分ね…。」
寮のベッドの上で大の字に横になり、語り合うのは定番となりそうだ。
マリンとマロンは制服を着たまま、同じポーズで同時にため息を付く。
「でもさ、もうライちゃんもいないし、国家転覆の企みってのは、消えたんじゃないかな?」
「だと思うけど、あの映像だと本当にライちゃんが原因か分からなくない?
安心出来ないよね?」
「そうだけど…。」
「とりあえず、王子と同じクラスを回避する為にも、クラス落ちしておいた方が良くない?」
「……、マロン、わたし達、こんな風に勉強出来る機会は、もうないかもしれないんだよ…?」
マリンはベッドから起き上がり身を寄せる。
マロンも起き上がり、マリンと同じようにベッドの淵に座り、顔を見合わせる。
「卒業後に国から出る為にも、蓄えられる知識は蓄えておいた方がいいよ。
わたし達、前世の世界は観たけど、生きて行く方法までは分からなかったんだから。」
「…そうだね…。
分かった…、クラス落ちしないよう、頑張る…。」
「わたしも一緒に勉強するからっ。
ほら、わたし達、どっちかが勉強したのも自分が勉強したように記憶出来るじゃん!」
「そだね。
もうちょっとチート能力欲しかったけど、贅沢言っちゃいけないよね。」
「十分、持ってるじゃん!
ほらっ、わたし達、頭はさ、弱いけど、魔力は高いから!
魔法の実技はトップクラス!
エルフのお母様に感謝しなきゃ!」
「ん、そだね…。」
「…。」
マロンはまだ元気がない。
以前のマリンとマロンならば、何も考えずにいつも元気で居られたが…。
グミーの授業で考えさせられたようだ。
だが、考える事は悪い事ではない。
今まで何も考えずに生きて来た分を取り返せるよう、良い結果になるよう沢山考えなければ。
マリンはそっとマロンの頭を撫でると、マロンは瞳を潤ませマリンに抱き着くのだった。
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