63 / 78
新学期
14
しおりを挟む
ハルside
綺麗な夕日で空が紅く照らされる頃、私はいつもの海にいた。
何とかしないと、このままだと、私たちバラバラになっちゃうかも。
そんな事を思いながら、どこまでも続いている海の向こう側をじっと見つめていた。
「みんな何してるのかなぁ。」
学校以外でレンくんと顔を合わす事もほぼ無くなった。
バンドが忙しいのは分かるけど、でもねぇ…。
ゆいも、ライブに一緒に行ったきり連絡すら取っていない。
セナは…、会っていないというかなんというか…。
「あれ?ハルちゃんじゃん。」
後ろを振り返ると、驚いたような表情を浮かべるカイトが居た。
「かいちゃん!!!」
「久しぶりだなぁ、何でこんなとこ1人で居るんだよ。」
「えっ、何でって…近所だし、お気に入りスポットだから?かな?」
確かに、1人で海見て黄昏てるって、ちょっと変だよね。
「……ちょっとまって?かいちゃんこそ、なんで1人で?」
「あ、いや。なんつーか……。おれもここ好きなんだよね。」
邪魔しないから隣いい?
そう言って、隣にちょこんと座り込むカイト。
この人もワンちゃんっぽいんだよなぁ。
こうやって、誰かと一緒に海に居ると、どうしても思い出す。
初めてみんなで遊んだのも、それから遊ぶ度に待ち合わせする場所も、全部ここだったなぁって。
あともうちょっとで冬休みだけど、遊ぶ事も無いかもしれない。
短かったなぁ、色々と。
「ハルちゃんさ、おれ話聞くよ?」
「んー?何がー?」
「いや、何でもない。」
きっとカイトは全部知ってる。
「カイトは、どう?バンド。」
「いや、別に。」
何となく想像はつく。
ここ最近、レンくんがよく言っていた。
「あいつの考えてる事全然分かんねえよ、あいつにとっての友達って、仲間って何なんだよ。」
あの口ぶりと、荒れようで大体想像はつく。
「ねえ、カイト。みんな困惑はしてると思うけどさ」
「セナのこと、見捨てないであげてね。」
こくりと頷き、そのまま俯いてしまったカイトの頭を撫でてあげた。
本当は、私が誰かにしてもらいたいのにね。
もう深夜になり、明日も学校があるから寝なきゃいけないけど、私はまだベッドに入ることは無く、その時が来るのをじっと待っていた。
遠くから微かに聞こえる、バイクの音。
私は、親を起こさないようにそっと家を出て、いつもの場所に向かう。
もうとっくに夏の色は無く、辺りを冷たい風が包んでいる。もうちょっと厚着してくれば良かったなぁ。
そんな事考えながら歩いていたら、いつの間にか着いていた。登ることは決して無い。
めんどくさい、弱い人だ。みんな、みんな経験してることだ。私だって…、私だっていま正に、君と同じように傷ついてる。
でも、みんなとは違うんだよね。
この人は、全てを、笑顔で隠しちゃう。どんどん弱っていってるのに、全部笑顔に隠して、誰にも触れさせようとしない。
一人でいる時ですら、こうやって、歌う事でしか表現出来ずに。その歌すらも悲しげに鳴り響く波の音に隠してしまう。
君は、酷い人だ。
ねぇ、私思うんだ。こうやって、バラバラになりかけてるのって、集まれなくなったのって。
私たちのせいなんだって。君と私があのふたりに対して気持ちがあるから、それを2人はちゃんと知ってるから会えなくなってるって。
そうでしょ?セナ。
【新学期】Fin.
綺麗な夕日で空が紅く照らされる頃、私はいつもの海にいた。
何とかしないと、このままだと、私たちバラバラになっちゃうかも。
そんな事を思いながら、どこまでも続いている海の向こう側をじっと見つめていた。
「みんな何してるのかなぁ。」
学校以外でレンくんと顔を合わす事もほぼ無くなった。
バンドが忙しいのは分かるけど、でもねぇ…。
ゆいも、ライブに一緒に行ったきり連絡すら取っていない。
セナは…、会っていないというかなんというか…。
「あれ?ハルちゃんじゃん。」
後ろを振り返ると、驚いたような表情を浮かべるカイトが居た。
「かいちゃん!!!」
「久しぶりだなぁ、何でこんなとこ1人で居るんだよ。」
「えっ、何でって…近所だし、お気に入りスポットだから?かな?」
確かに、1人で海見て黄昏てるって、ちょっと変だよね。
「……ちょっとまって?かいちゃんこそ、なんで1人で?」
「あ、いや。なんつーか……。おれもここ好きなんだよね。」
邪魔しないから隣いい?
そう言って、隣にちょこんと座り込むカイト。
この人もワンちゃんっぽいんだよなぁ。
こうやって、誰かと一緒に海に居ると、どうしても思い出す。
初めてみんなで遊んだのも、それから遊ぶ度に待ち合わせする場所も、全部ここだったなぁって。
あともうちょっとで冬休みだけど、遊ぶ事も無いかもしれない。
短かったなぁ、色々と。
「ハルちゃんさ、おれ話聞くよ?」
「んー?何がー?」
「いや、何でもない。」
きっとカイトは全部知ってる。
「カイトは、どう?バンド。」
「いや、別に。」
何となく想像はつく。
ここ最近、レンくんがよく言っていた。
「あいつの考えてる事全然分かんねえよ、あいつにとっての友達って、仲間って何なんだよ。」
あの口ぶりと、荒れようで大体想像はつく。
「ねえ、カイト。みんな困惑はしてると思うけどさ」
「セナのこと、見捨てないであげてね。」
こくりと頷き、そのまま俯いてしまったカイトの頭を撫でてあげた。
本当は、私が誰かにしてもらいたいのにね。
もう深夜になり、明日も学校があるから寝なきゃいけないけど、私はまだベッドに入ることは無く、その時が来るのをじっと待っていた。
遠くから微かに聞こえる、バイクの音。
私は、親を起こさないようにそっと家を出て、いつもの場所に向かう。
もうとっくに夏の色は無く、辺りを冷たい風が包んでいる。もうちょっと厚着してくれば良かったなぁ。
そんな事考えながら歩いていたら、いつの間にか着いていた。登ることは決して無い。
めんどくさい、弱い人だ。みんな、みんな経験してることだ。私だって…、私だっていま正に、君と同じように傷ついてる。
でも、みんなとは違うんだよね。
この人は、全てを、笑顔で隠しちゃう。どんどん弱っていってるのに、全部笑顔に隠して、誰にも触れさせようとしない。
一人でいる時ですら、こうやって、歌う事でしか表現出来ずに。その歌すらも悲しげに鳴り響く波の音に隠してしまう。
君は、酷い人だ。
ねぇ、私思うんだ。こうやって、バラバラになりかけてるのって、集まれなくなったのって。
私たちのせいなんだって。君と私があのふたりに対して気持ちがあるから、それを2人はちゃんと知ってるから会えなくなってるって。
そうでしょ?セナ。
【新学期】Fin.
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった
naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】
出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。
マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。
会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。
――でも、君は彼女で、私は彼だった。
嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。
百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。
“会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる