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本編
私たち距離を置き·····嘘です嘘ですお願いだから迫って来ないで下さい
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今までの私は、正直殿下の好意の上に胡座をかいていました。どんな美女に言い寄られても、『僕にはアイネが一番だよ』と言ってくれるのに、安心しきっていたのです。ですがリディナ様の言う事が本当なら、私は殿下に捨てられてしまうわけで。婚約を破棄された女の末路など修道院か、好色家の年寄り貴族の後妻しかありません。私だけならまだしも、最悪の場合両親や使用人たちにも迷惑がかかってしまいます。そうならないように殿下を本気で愛してしまう前に殿下から離れる準備をしておかなくては。
そう思い立った私は、身の回りの整理をし始めました。幸いにも私は公爵家の端くれ。身に付ける物の殆どが質の良いものばかりでした。これがあれば、婚約を破棄されてしまった後も売ってお金に替えれば何とかやっていけますし、修道院に入るにしてもお金を用意すればあまり酷い待遇にはならない筈です。逃亡の際にも、馬があれば何処へでも行けます。後の問題は殿下ですがリディナ様曰くお二人は運命の相手らしいので、今は私に愛を囁いて下さっていますが何時かは私ではなくリディナ様にその愛の言葉を囁くのでしょう。今ならまだ、耐えられます。私が本気で殿下を愛してしまう前に、リディナ様への想いに気付いて下されば、そうしたら私は身を引くことにしましょう。その為にも殿下とは距離を置くことにします。
·····きっと、その方が良いのです。私は、胸の奥に感じた鈍い痛みに気付かない振りをしました。
▽▼▽▼▽▼▽▼
「············。」
殿下とリディナ様が結ばれるように殿下と距離を置こうと昨日決心したのですが·····。
「おはよう僕のアイネ。今日も世界一綺麗だね。さあ、迎えに来たよ。共に行こうか。」
普段は私が殿下の元へ向かいそれから同じ馬車に乗って学園へ向かうのですが、それならいつもより早く家を出て自分の家の馬車を使おうとしたのです。しかし、時刻はいつもよりも一時間弱早い筈なのに玄関のドアを開ければいつもの(私限定の)蕩けるような笑みを浮かべた殿下が立っていました。
·······何でしょう、殿下には私専用のセンサーか何かでも付いているのでしょうか?
「で、殿下、いつもの時間ではないのにどうして家に?」
「ん?いやあ、何故かね?君が僕を避けてあわよくば婚約を解消しようとしてる気がしてね?そんなこと万が一、いや億が一にも有り得ない事ではあると思うんだけど、もしそうだとしたら···って思ったらいても立ってもいられなくてね。」
明け方からここで待ってたんだ。と、笑顔の中に物凄い圧を感じながらそう告げられました。
明け方って貴方仮にも王族でしょうが、と思いましたし、何故私の考えをそんな正確に察知してるんですか、とも思いました。でも、
「私たち、距離を置いた方が······」
「えっ、どうして!?僕何かした!?アイネに嫌われたら僕生きていけないよ!?僕を死なすの?そんな訳ないよね?そうだよね、国の事を良く考えてくれてるアイネは王太子を見殺しにするなんて事しないよね?」
「嘘です嘘です、冗談です。It's a joke☆あはは、私がそんなことする筈がないじゃありませんか。軽い冗談ですよ。お願いだから迫って来ないで下さい。」
混乱しながら器用に喜怒哀楽全てを顔に表して私に迫って来る殿下を見ていたら、どうでもよくなってきてしまいました。リディナ様の言う『げーむ』の『しなりお』だと私は殿下に相手にされていなくて、それが悔しくて彼女に嫌がらせをするようになったとか。でも殿下は私をちょっと(いえ、かなり?)病的なまでに愛して下さっています。今は、その愛を信じることにしましょう。ですが、人の気持ちは移ろいやすいもの。殿下もいつか私に飽きてリディナ様の元へ行っていまうかもしれません。
---そんなの、真っ平ご免です。どうやら私この愛がとてつもない殿下の事がとても好きなようです。きっと、初めて会っていきなり愛を告げられたあの日から。だから、
「エミリオ様。」
「えっ、アイネ·····、っ!?」
チュッ、と私は殿下の頬に口づけました。いつもは私が振り回されていますけれど、こうして殿下が照れて真っ赤になっている姿が見れるなら、振り回すのもたまには悪くないかもしれません。
「エミリオ様、お慕いしています。喩え、リディナ様と貴方が結ばれる運命なのだと言われても、絶対に離してあげません。」
「アイネ·····。」
運命などに負けて堪りますか。私は、『しなりお』とやらに必死に抗ってみせましょう。
そう思い立った私は、身の回りの整理をし始めました。幸いにも私は公爵家の端くれ。身に付ける物の殆どが質の良いものばかりでした。これがあれば、婚約を破棄されてしまった後も売ってお金に替えれば何とかやっていけますし、修道院に入るにしてもお金を用意すればあまり酷い待遇にはならない筈です。逃亡の際にも、馬があれば何処へでも行けます。後の問題は殿下ですがリディナ様曰くお二人は運命の相手らしいので、今は私に愛を囁いて下さっていますが何時かは私ではなくリディナ様にその愛の言葉を囁くのでしょう。今ならまだ、耐えられます。私が本気で殿下を愛してしまう前に、リディナ様への想いに気付いて下されば、そうしたら私は身を引くことにしましょう。その為にも殿下とは距離を置くことにします。
·····きっと、その方が良いのです。私は、胸の奥に感じた鈍い痛みに気付かない振りをしました。
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「············。」
殿下とリディナ様が結ばれるように殿下と距離を置こうと昨日決心したのですが·····。
「おはよう僕のアイネ。今日も世界一綺麗だね。さあ、迎えに来たよ。共に行こうか。」
普段は私が殿下の元へ向かいそれから同じ馬車に乗って学園へ向かうのですが、それならいつもより早く家を出て自分の家の馬車を使おうとしたのです。しかし、時刻はいつもよりも一時間弱早い筈なのに玄関のドアを開ければいつもの(私限定の)蕩けるような笑みを浮かべた殿下が立っていました。
·······何でしょう、殿下には私専用のセンサーか何かでも付いているのでしょうか?
「で、殿下、いつもの時間ではないのにどうして家に?」
「ん?いやあ、何故かね?君が僕を避けてあわよくば婚約を解消しようとしてる気がしてね?そんなこと万が一、いや億が一にも有り得ない事ではあると思うんだけど、もしそうだとしたら···って思ったらいても立ってもいられなくてね。」
明け方からここで待ってたんだ。と、笑顔の中に物凄い圧を感じながらそう告げられました。
明け方って貴方仮にも王族でしょうが、と思いましたし、何故私の考えをそんな正確に察知してるんですか、とも思いました。でも、
「私たち、距離を置いた方が······」
「えっ、どうして!?僕何かした!?アイネに嫌われたら僕生きていけないよ!?僕を死なすの?そんな訳ないよね?そうだよね、国の事を良く考えてくれてるアイネは王太子を見殺しにするなんて事しないよね?」
「嘘です嘘です、冗談です。It's a joke☆あはは、私がそんなことする筈がないじゃありませんか。軽い冗談ですよ。お願いだから迫って来ないで下さい。」
混乱しながら器用に喜怒哀楽全てを顔に表して私に迫って来る殿下を見ていたら、どうでもよくなってきてしまいました。リディナ様の言う『げーむ』の『しなりお』だと私は殿下に相手にされていなくて、それが悔しくて彼女に嫌がらせをするようになったとか。でも殿下は私をちょっと(いえ、かなり?)病的なまでに愛して下さっています。今は、その愛を信じることにしましょう。ですが、人の気持ちは移ろいやすいもの。殿下もいつか私に飽きてリディナ様の元へ行っていまうかもしれません。
---そんなの、真っ平ご免です。どうやら私この愛がとてつもない殿下の事がとても好きなようです。きっと、初めて会っていきなり愛を告げられたあの日から。だから、
「エミリオ様。」
「えっ、アイネ·····、っ!?」
チュッ、と私は殿下の頬に口づけました。いつもは私が振り回されていますけれど、こうして殿下が照れて真っ赤になっている姿が見れるなら、振り回すのもたまには悪くないかもしれません。
「エミリオ様、お慕いしています。喩え、リディナ様と貴方が結ばれる運命なのだと言われても、絶対に離してあげません。」
「アイネ·····。」
運命などに負けて堪りますか。私は、『しなりお』とやらに必死に抗ってみせましょう。
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