チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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1-2.旅に出たい

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「こんな感じかしら?」
母さんがその紙を父さんに渡す
「そうだな…」
父さんは確認してから出発してから行うことの下に一つだけ付け足した

*****
〇けんかした時は仲直りするまで旅を中断すること
*****

「何で俺の成人?」
「世間的な信用の問題。宿に泊まるっていう一つの事をとっても、成人してるかしてないかで扱いは変わってくるからね」
「そういうもん?」
何となくぴんと来ない

「まぁこの町は俺達の事を知ってるから問題ないが他所では違うな。俺達の名前を知ってても、お前たちが俺たちの身内だといちいちと証明して回るわけにもいかないだろ?」
「それは…わざわざしたくないかも」
それだと俺達だけで旅する意味がない
「お前が成人してればその辺の煩わしさは少ないはずだ。もっともそれと同時に責任も付いてくるけどな」
「シアなら大丈夫よ。今でもしっかりしてるしレイより慎重だもの」
母さんの言葉に父さんが恨めしそうな顔をした
でも、仕方ないわねって顔で母さんが笑いかければ、それだけで父さんは機嫌が良くなる
俺達家族の前でだけ見せる父さんのその姿に俺はなぜか安心する

「母さん、記録ってどんな?」
「どんな魔物をどうやって倒したのか、失敗したことがあるならそれを回避するには次からどうすればいいのか、そういうことよ」
「えーめんどくさい」
「3人ともまだまだ未熟だってことを理解しなさい。自分たちがうまくできる事、出来なかったこと、その対策、そういうことをきちんと把握していくのは大事なことよ?」
「どうせなら3人で連携してどれだけ効率的に魔物を倒せるのか考えてみるといい」
「連携かぁ…」
「ルークとシャノンは自然とやってる部分もあるけど、意識してやってみればもっと可能性が広がるはずだから楽しみね」
母さんが心底楽しそうに言うと2人は顔を見合わせて少し照れたように笑う

「あぁ、あとシアは出発するまでにあなたの中のわだかまりをちゃんとスッキリさせておきなさいね」
「え?」
「シアわだかまりなんてあんの?」
「いや…別に…」
「母さんの目はごまかせないって知ってるわよね?」
「…わかったよ…」
俺は頷くしかなかった
まさか気づかれてるなんて思ってなかったんだ
でも母さんが何でそんなことを言い出したのかが分かるだけに否はなかった

とにかく、俺たちはこの日から旅をするために動き始めたんだ
最初の1週間は空いた時間に話し合って3人でスケジュールを立てた
母さんが1人に1冊ずつノートをくれたからその最初のページに条件を書きうつした

魔法の活かし方を学ぶのは毎月決まった日にしたいと3人で話し合った後、カルムさんに相談した
そしたら最初の休みの日、つまり毎月2日に皆で付き合ってやるって言ってくれたんだ
勿論ナターシャさんも一緒に

俺が弾丸に同行させてもらえるのは週の最初の日に決まった
その日にルークとシャノンは即席パーティーと孤児院の予定を入れた
1週目と4週目が即席パーティー、2週目と5週目が孤児院だ
残った3週目は2人で初級迷宮に挑むらしい

週の2日目、3日目、5日目は3人で中級迷宮の攻略、4日目はギルドの依頼を受けることにした
父さんが迷宮ばかり潜ってたら旅の途中の移動で困るだろうって言うから確かにそうだなって思った
ルークとシャノンも納得してくれた

週の最後の日は昔から決めてる休みの日
冒険者を始める前からこの日は家族が皆揃う日になってるんだ
ちゃんと体を休める日は必要だって母さんにしつこく言われて育ったからね
これに関してはルークもシャノンも当然のように休みの日だって決めてたから、母さんってある意味凄い

俺達のスケジュールは母さんと父さんも納得してくれたから今はそれに沿って行動中ってわけ
といってもまだ1か月目だけどな

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