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5.魔法の活用

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「シアこっちこい」
「何?」
父さんに呼ばれてドキッした

「…あれ?」
俺は父さんの方に向かおうとして違和感を覚える
「え?何で?」
普通に歩いてるはずなのに景色が中々変わらない
スローモーションみたいな感じ?
一人パニクってると母さんがクスクスと笑いだす

「レイ、ちゃんと説明してからしてあげないとシアが混乱してるわよ?」
母さんが笑いながらそう言った
じゃぁこれは父さんに何かされてるってことなのか?

「シア、これが『スロウ』だ」
「スロウ?」
「時空魔法の1つだな。対象の行動速度を遅らせる」
「えー…こんなのかけられたら確実に死ぬじゃん」
「敵が複数の時にも役に立つ。ただし熟練度を上げないと効果が薄いな」
「どんなふうに?」
「熟練度が低ければ10秒くらいしか効果がないし対象も1つのみ」
10秒…殆ど意味がない気がする

「10秒ってことは…テーブルから落としてしまったもののスピードを殺す時くらいにしか使えないわね」
「お前は相変わらず生活に当てはめるな…」
母さんの言葉に呆れたように返す父さんに苦笑する

「ちなみに父さんはどれくらい?」
「今は15分くらいか。対象は5だな」
「ステータスで表示される?」
「詳細で確認はできる」
「逆に対象の時間を早めるのはエイジングよ」
「それ母さんが料理する時に使ってるやつ?」
「よく覚えてたわね?」
覚えるくらい頻繁に使ってるだけだと思う

「エイジングとスロウは、シアがイメージするなら早送りとスローモーション、かしらね」
「うん。何となくわかる」
念動力もだけど魔法はイメージが全て

俺が小さい頃から使いこなせたのは前世のおかげかもしれない
病院で大半の時間をアニメを見たり絵本を読んで過ごしてたおかげでイメージには事欠かない
母さんもよく前世の物をイメージするから俺と母さんの魔法は似てるんだって
しかも同じ魔法なのにこの世界のと威力や形状が違ったりする

それは生活魔法でも同じで、ウォーターを使った時が顕著だった
手を洗いたいときに父さんたちは水球を作るけど、俺は水道をイメージしてしまった
外では問題ないけど部屋の中だったから大変なことになったんだ
それを見て母さんはそうなるわよね…って笑ってたんだよな

「ひょっとして一時停止みたいのもある?」
「それはストップだな」
おーやっぱりあるんだ

「それも熟練度で変わる?」
「正解。最初は1~2秒だな」
「…意味ないじゃん」
「そう思うなら頑張って熟練度を上げることだ」
父さんは笑いながら言う
「熟練度を上げるには使うしかないんだよね?」
「そうだな」
「ん~」
対象が必要なだけに悩む
多分これ、無闇に人に対して使ったら滅茶苦茶怒られるヤツだよな?

「動いてるもの…」
自分の周りで勝手に動いてるものを探す
でも中々これというものが浮かばない
ん?動かせばいいのか…?
「念動力で飛ばせばいいのか」
「あら、それはいいかもしれないわね。念動力も鍛えられるし」
「それなら早さもデカさも自由だな」
父さんが頷くのを見てホッとする

「父さん闇魔法教えて!」
ルークに呼ばれて父さんが行ってしまったから、俺は母さんに回復魔法を強化する方法を教えてもらった
この日はそこら中で色んな魔法が使われたから、聞き耳を立ててるだけでも勉強になる
母さんは全属性使えるけど戦いに特化した使い方は滅多にしない
でも父さんたちは戦いに特化してるからびっくりすることもたくさんあった
剣に纏わせるって1つの事をとっても色んな方法があるんだ
それを聞いたらやっぱり実践で使ってみたくなる
ルークとシャノンも同じみたいで、明日の迷宮攻略が待ち遠しくなった
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