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101.報告した

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「レティとこの先一緒に生きてくことを決めた上で魔力交換をしたんだ」
「魔力交換?」
「龍神族は生涯で一人だけ魔力を交換することが出来るらしい。で、その魔力の交換をしたら種族間の寿命が調整される」
「…なるほど?でもそれだけでは済まなかったようだが?」
父さんの視線の先は種族が表示されていた

「…ごめんなさい」
「レティシアナ?」
「レティは謝らなくていい」
「でも…」
「いいから」
額に口づけ手からその泣きそうな顔を皆から隠すように抱き寄せた
その体は少し震えていた

「これまでに龍神族と魔力を交換した人族との間で、寿命の交換があったことまでしかレティも知らなかったんだ」
「不測の事態が起こったということか?」
「不測の事態って言うか…レティが純粋な龍神族であると同時に龍神の血を引く直系だったってのが影響したんだと思う」
「直系…」
「ああ。その直系には“龍神の力を継ぐ者”って称号があるんだけど、その力がどんなものかはレティ自身知らなかったってこと」
「龍神の力…」
母さんが呟いた
「多分その力の影響で俺の種族が変わったんだと思う」
「体は何ともないのね?」
「ああ。身体能力が大幅に上がったのとスキルが増えた以外は特に何も。ただ」
「ただ?」
「リトスのスキルが俺の魔力のせいで進化した」
「それで大きくなったと?」
父さんの言葉に頷いた

「リトスの進化は多分みんな喜ぶと思うんだ」
「喜ぶ?」
「ああ。リトスいいぞ」
肩に乗ったまま様子を伺っていたリトスにそう言うとリトスはテーブルの上に飛び降りた
『ぼく いしそつう おぼえたー』
リトスの言葉に皆が固まった
まぁそうなるか?
「今の…リトス?」
『うん!スカイ だいすきー』
リトスはスカイに飛びついた
「私も大好き!これからはリトスとお話できるの?」
『できるー』
その言葉にスカイだけでなくケインたちもリトスの周りに集まり、そのまま庭に飛び出して行った

「リトスの進化は他にもあるのか?」
「結界と風魔法が使える様になった。あと、分裂するのが3年に短縮された」
「そうか…」
ため息交じりに吐き出された言葉は呆れなのか何なのか…

「シア」
「ん?」
「シアは後悔してないのね?」
母さんの言葉にレティの体がこわばった
「するわけないじゃん」
「強がりって感じではなさそうだな?」
「…俺がレティとの将来を考えた時に一番恐れたのは寿命のことなんだ。200年の差は大きいし、俺は確実にレティを置いていく。その事でレティを傷つけることになるんじゃないかって…」
「分からなくはないな」
父さんがため息交じりに言う
「ありがと。でもその差が調整されるって知って俺は迷わず魔力交換することを選んだ。ただそこに種族変更やらスキルが付いてきただけ」
「随分簡単に言うじゃないか?」
カルムさんがそう言いながらニヤリと笑った
多分俺の考えくらい読めてるんだろうけど…

「今更じゃね?これまでも散々規格外だなんだって言われてきてるし、人外になったくらい大したことじゃないだろ?そりゃ皆に置いてかれるのはあれだけどレティを一人にするよりよっぽどいいし」
「人外になった“くらい”ときたか」
父さんがそう言って豪快に笑い出す
「普通はそこが一番引っかかるはずなんだけどね?」
「そうかもしれないけど…でも龍化出来るってわかってあふれ出たのは期待だったし」
「確かに龍化は俺もしてみたいな」
「カルム…」
ナターシャさんが呆れたように呟いた
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