チートな親から生まれたのは「規格外」でした

4-147.後始末

1

広い会議室に大勢の貴族が集まっていた
その一角にその場に相応しいとはいいがたい3人の男女
レイとサラサ、そしてカルムだ

「呪いなどと…やり過ぎとは思わんかね？！」
「それもあの場にいた者の5親等内の血縁すべてなど…」
「しかも性行為で苦痛を感じるなど…血縁が途絶えたらどう責任を取るつもりだ？！」
「大体平民が貴族に対してやる事とは思えん！」
「君達は一体貴族を何だと思っとるんだね？」
口々に発せられるのはシアへの批判
「しかもまだ成人したての若造だそうじゃないか。なぜこの場にいない！？」
「貴様らは我々を舐めてるのか？」
止まる事のないヤジを3人はただ聞き流していたもののさすがに限界が来た

「いい加減うんざりだ」
ドスの聞いた地を這うような声に室内が静まり返った
威圧を含むその声に声を出せなくなったという方が正しいかもしれない
「俺達の『弾丸』をはじめ、シア達の『無限』には陛下との取り決めがあるのを忘れたか？」
「それが何だというんだね？かの者は別に弾丸の家族達に手は出していないじゃないか」
その言葉にレイが魔法を発動させた
「な…！？」
突然自分の頬を掠め壁にぶつかったそれは地面に水たまりを作る
ぶつかった部分の壁は酷くえぐれていた
それを見てその場が静まり返っていた

「カルムが言っただろうが、『シア達』と。被害にあったのはシアとパーティーを組む『無限』のメンバーだが？」
その言葉にどよめきが起こる
「陛下との取り決めは簡単なことだ。関わる貴族は後ろ盾のコーラルのみ。スタンピードの際にこの国を守るために動く代わりに、家族や身近な者も含めて他の貴族を関わらせないというものだ」
「それは全ての貴族に周知している」
陛下がすかさずそう言った
「なら今回のは何なんだ？あの屑はその取り決めを、『無限』のパーティーでもありシアの恋人でもあるレティシアナの力と魔力を封じ、その身を汚そうとする最悪な形で破ったんだぞ？！」
「人として軽蔑すべきことだし、シアの取った行動を責める権利はあなた方にはありませんよね？」
見る者を凍り付かせるような笑みを浮かべながらサラサが続く
「被害にあったレティシアナは魔力も力も封じ込められて凌辱されそうになっていたんですよ？こうしてる今もその心の傷が癒えずに外にも出られないというのに…」
実際には外に出ないというよりは別荘に閉じこもっているのだが…

「しかし結果的に何事も…」
「それなりの覚悟を持って発言しろよ？レティシアナの心が傷付いている以上何もなかったとは言わせない。それに俺達がこの国に何の思い入れも持っていないことを忘れるな」
カルムの言葉に口を開きかけていた者が一斉閉じた