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30.レイの誕生日
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昼食を済ませてしばらくくつろいでいると子供たちは眠ってしまった
昼過ぎに日当たりの良くなる場所を子供たちの遊びスペースにしていて、そこにはマットレスのようなものを敷き詰めてある
そこが気持ちいいのかよくそのまま眠ってしまうために後から敷いたものだ
「眠ったみたいね」
ナターシャさんが笑いながら3人に毛布を掛けていく
それももう見慣れた光景だ
「その内ここにメリッサの子供とサラサちゃんの2人目が加わるのかしらね」
「かなり賑やかになりそうね」
小さな子が5人、賑やかな空間を想像するのは容易い
「次は少し大きめの子もいいかもしれないわね」
「引き取る話?」
「そうよ。マリクを甘やかしてくれるお兄ちゃんかお姉ちゃん、なんていいと思わない?」
「それはいいかも」
いつもお兄ちゃんを頑張っているマリクが大人以外に甘えられる存在は必要かもしれない
パーティー用の食事の準備は殆ど済んでいたため3人で女子会のごとくおしゃべりタイムを楽しんでいると、3時を回ったあたりでエントランスが賑やかになった
「帰ってきたみたいね」
ナターシャさんがそう言った時マリクが目を覚ました
「パパ帰ってきた?」
「そうみたいよ」
「リアム」
マリクはそばで眠るリアムの体をゆする
「ん…」
「リアム、パパ帰ってきたよ」
「ほんと?」
リアムは一気に体を起こす
そしてエントランスで音がするのに気付くと、シアを起こさないようにそーっとエントランスに向かう
「お帰り」
「お帰りなさい」
「お疲れ様」
3人それぞれ声を掛けながら立ち上がり、私はシアを抱き上げた
「メリッサも来てたのか」
レイが少し驚いている
「ふふ…今日はレイの誕生日パーティーだよ」
「は?」
「今年は皆でお祝いしたいなと思ってみんなにも協力してもらったの。おめでとうレイ」
「「「「「おめでとう!」」」」」
「「レイお兄ちゃんおめでとー」」
「まじか…」
子供達含め皆の祝いの言葉に苦笑する
「今日やたらと早く帰ろうとしてたのはこのためか?」
「まぁな」
カルムさんがニヤリと笑う
「サラサお姉ちゃんケーキは?」
「もちろんあるわよ。もうおやつの時間だからみんなで食べようね」
訊ねてきたリアムにそう返して準備を始める
「ケーキまで作ったのか?」
「勿論」
私はそう言って2種類のタルトをテーブルに出した
「すげ…」
「うまそ…」
「何だコレ…」
順にカルムさん、アランさん、トータさんが言った言葉だ
レイは無言のままじっと見ている
「タルトって言ってね、こっちがパイ生地、こっちがビスケット生地の中にクリームとフルーツを盛りつけてあるの」
両方のケーキを9等分し1切れずつ皿に盛りつけていく
2種類のタルトの乗った皿をマリクとリアムは抱え込むように自分の前に引き寄せている
その間にナターシャさんとメリッサさんが飲み物を用意してくれていた
「「食べていい?」」
「いいわよ」
「「いただきまーす」」
マリクとリアムが真っ先に食べ始める
一口食べた後夢中で食べ続ける2人を見て皆も食べ始めた
「…うまい」
「本当?よかった」
隣でそう言いながら食べるレイにホッとする
「サラサちゃん、プレゼントは渡さないの?」
「渡すけど…ナターシャさん言っちゃだめだよ…」
「あ、ごめん」
本当にすまなそうな表情を見せたナターシャさんに苦笑する
「バレちゃったから渡しちゃうね」
私はインベントリからラッピングしたプレゼントを渡す
「…開けていいのか?」
「いいよ」
応えるとレイはリボンを解いていく
「これは…」
目の前に広げたセーターをレイはその場で着て見せる
「あったけぇな」
「サラサまさかこれ…」
「私が編みましたよ?」
カルムさんにあっさり返すと面食らっていた
「サンキュ」
レイはそう言って抱きしめると額に口づけを落とす
「寒がりのレイの為に夕食もとっておきの暖かいものを用意するから楽しみにしててね」
「まだあんのか?」
「そっちの方がメインなの。そのためにみんなに集まってもらったんだもの」
「?」
意味が分からないという様に首を傾げる
それを見て笑って誤魔化すとタルトを狙っているシアの口にクリームを少し入れてやる
「シアも気に入ったみたいだな」
レイもシアの口にクリームを入れて、喜ぶ姿を見て顔をほころばせる
しばらくみんなでそんな穏やかな時間を楽しんでいた
昼過ぎに日当たりの良くなる場所を子供たちの遊びスペースにしていて、そこにはマットレスのようなものを敷き詰めてある
そこが気持ちいいのかよくそのまま眠ってしまうために後から敷いたものだ
「眠ったみたいね」
ナターシャさんが笑いながら3人に毛布を掛けていく
それももう見慣れた光景だ
「その内ここにメリッサの子供とサラサちゃんの2人目が加わるのかしらね」
「かなり賑やかになりそうね」
小さな子が5人、賑やかな空間を想像するのは容易い
「次は少し大きめの子もいいかもしれないわね」
「引き取る話?」
「そうよ。マリクを甘やかしてくれるお兄ちゃんかお姉ちゃん、なんていいと思わない?」
「それはいいかも」
いつもお兄ちゃんを頑張っているマリクが大人以外に甘えられる存在は必要かもしれない
パーティー用の食事の準備は殆ど済んでいたため3人で女子会のごとくおしゃべりタイムを楽しんでいると、3時を回ったあたりでエントランスが賑やかになった
「帰ってきたみたいね」
ナターシャさんがそう言った時マリクが目を覚ました
「パパ帰ってきた?」
「そうみたいよ」
「リアム」
マリクはそばで眠るリアムの体をゆする
「ん…」
「リアム、パパ帰ってきたよ」
「ほんと?」
リアムは一気に体を起こす
そしてエントランスで音がするのに気付くと、シアを起こさないようにそーっとエントランスに向かう
「お帰り」
「お帰りなさい」
「お疲れ様」
3人それぞれ声を掛けながら立ち上がり、私はシアを抱き上げた
「メリッサも来てたのか」
レイが少し驚いている
「ふふ…今日はレイの誕生日パーティーだよ」
「は?」
「今年は皆でお祝いしたいなと思ってみんなにも協力してもらったの。おめでとうレイ」
「「「「「おめでとう!」」」」」
「「レイお兄ちゃんおめでとー」」
「まじか…」
子供達含め皆の祝いの言葉に苦笑する
「今日やたらと早く帰ろうとしてたのはこのためか?」
「まぁな」
カルムさんがニヤリと笑う
「サラサお姉ちゃんケーキは?」
「もちろんあるわよ。もうおやつの時間だからみんなで食べようね」
訊ねてきたリアムにそう返して準備を始める
「ケーキまで作ったのか?」
「勿論」
私はそう言って2種類のタルトをテーブルに出した
「すげ…」
「うまそ…」
「何だコレ…」
順にカルムさん、アランさん、トータさんが言った言葉だ
レイは無言のままじっと見ている
「タルトって言ってね、こっちがパイ生地、こっちがビスケット生地の中にクリームとフルーツを盛りつけてあるの」
両方のケーキを9等分し1切れずつ皿に盛りつけていく
2種類のタルトの乗った皿をマリクとリアムは抱え込むように自分の前に引き寄せている
その間にナターシャさんとメリッサさんが飲み物を用意してくれていた
「「食べていい?」」
「いいわよ」
「「いただきまーす」」
マリクとリアムが真っ先に食べ始める
一口食べた後夢中で食べ続ける2人を見て皆も食べ始めた
「…うまい」
「本当?よかった」
隣でそう言いながら食べるレイにホッとする
「サラサちゃん、プレゼントは渡さないの?」
「渡すけど…ナターシャさん言っちゃだめだよ…」
「あ、ごめん」
本当にすまなそうな表情を見せたナターシャさんに苦笑する
「バレちゃったから渡しちゃうね」
私はインベントリからラッピングしたプレゼントを渡す
「…開けていいのか?」
「いいよ」
応えるとレイはリボンを解いていく
「これは…」
目の前に広げたセーターをレイはその場で着て見せる
「あったけぇな」
「サラサまさかこれ…」
「私が編みましたよ?」
カルムさんにあっさり返すと面食らっていた
「サンキュ」
レイはそう言って抱きしめると額に口づけを落とす
「寒がりのレイの為に夕食もとっておきの暖かいものを用意するから楽しみにしててね」
「まだあんのか?」
「そっちの方がメインなの。そのためにみんなに集まってもらったんだもの」
「?」
意味が分からないという様に首を傾げる
それを見て笑って誤魔化すとタルトを狙っているシアの口にクリームを少し入れてやる
「シアも気に入ったみたいだな」
レイもシアの口にクリームを入れて、喜ぶ姿を見て顔をほころばせる
しばらくみんなでそんな穏やかな時間を楽しんでいた
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