[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

文字の大きさ
123 / 199
31.夢の中で

1

いつものようにシアを寝かせてベッドに入ると,
レイに抱きしめられてその温もりを感じる
妊娠中レイは行為には及ばない
それはシアの時から変わらない

「欲求不満になったりしないの?」
それは他意のな率直な疑問
高ランク冒険者の云々を聞いてから余計に不思議ではあった
「ならないと言ったらウソになるな」
苦笑しながらレイは言う

「でもこうしてお前を感じられるならそれでいい。変に手を出して抱きつぶす方が怖い」
「…」
何度も潰された自分としてはそんなことないよね、なんて言えない

「よそで発散とか…」
「冗談でもそんなこと勧めんな。そもそもお前に会ってから他の女にその気にならない」
「え…?」
軽く小突きながらレイはつぶやくように言った
「お前を保護した日からお前意外の女に自分から触れたいとも思わねぇよ」
予想外の言葉だった

確かに事件の時もレイから触れたわけではなかったらしい
一緒に住んでるナターシャさんにも子供達絡みの時くらいしか近寄らない
そこまで考えて顔がニヤケるのが分かる
嬉しくないはずがないのだから

「レイ」
「ん?」
「愛してるよ?」
「何だよ突然?」
「何となく…言いたくなった」
ふっ…と笑いながらも口づけが落ちてくる

「愛してる」
そう言ってしっかりと抱きしめられる
その胸に顔を埋めて優しいぬくもりと鼓動に包まれながら少しずつ意識を手放していった


◇ ◇ ◇


「久しぶりだな」
かけられた声に意識を浮上させる
目を開くと白い空間が広がっていた
その空間には覚えがある
そう、ミュラリアに行く直前にいた場所だ

「…神界?」
「そうだ。元気そうで良かったよ」
ゼノビアが姿を現した

「…まさか、私また死んだ?」
以前神界に来たのは死んだ時だった
またここにいるってことは…?
と、冷や汗がでる
以前と違い今の私には手放せないものが沢山あるのだ

「違うぞ。眠ったあなたにアクセスしただけ」
死んだわけではないと聞きホッとする

「それだけ今の世界で幸せに暮らしているということかな?」
「ええ。おかげさまで」
言葉と共に笑みがこぼれる

「ミュラーリアはあなたのおかげで少しずつ変わってきた。感謝する」
「私は特に何も…好き勝手させてもらってるだけですから」
「あぁ、確かに周りの者を巻き込んで楽しそうにしているのは知っている」
時々様子を見てているのだとゼノビアは言う

「一部の者の憂いも晴らされた」
「憂い?」
「創造など与えて何を考えているのだとな」
「まぁ確かにとんでもないスキルだとは思いますけど」
うん。願ったものが創れるのだからある意味恐ろしい

「悪用出来るスキルだけにある種の賭けでもあった。でもそなたは悪用どころか使う頻度も少ない」
「そうですか?結構使ってる気もしますけど…」
「大したことはない。よその世界で創造を与えられた者達の中には、核兵器まがいの物ばかり量産して、その世界を滅ぼした者もいる」
「それは…」
確かに出来なくはないのか?
したいとは欠片も思わないけれど…

「そういう意味ではあなたはもっと使ってもいいくらいだ。使えば消費のコントロールも覚えられるだろう」
「あ、それは是非…」
毎度毎度ダウンするのはいただけない

「そもそもどれくらい使えば?」
「そうだな、過去の例で言えば毎日使ってればその内…」
「毎日…それまで毎日ダウンしろと?」
恨みがましく言うとゼノビアは笑って誤魔化した

「まぁいいですけどね。で、こんなアクセスの仕方をされた理由は?」
肝心なことはそっちだろうと話題を変える

「実はあなたに頼みがある」
「頼み…ですか?」
「ああ。この先、出会うであろう少年を救ってほしい」
あまりにも唐突な頼み事だった

「出会うっていつ?救うって何から?どうやって?」
疑問しか浮かばない

「近いうちに出会うことになるはずの心に傷を負っている少年だ。このままでは絶望したまま命の終わりを迎えてしまう」
「絶望って…」
前世を思い出し嫌な感じに包まれる

「どうか寄り添って希望を持たせてやって欲しい」
「…その子はなぜ特別扱いを?」
「特別扱いか…」
「そうでしょう?だって、ミュラーリアで心に傷を負ってる子供は沢山いるわ。マリクだってリアムだってそうだもの。魔物のいる世界である以上避けては通れないことなんでしょうけど…」
「確かにそうだな。ただ彼は…」
ゼノビアは言葉を濁した
そこには伝えるかどうかの迷いが浮かんでいた
感想 11

あなたにおすすめの小説

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。