7 / 61
本編
5.ヨハンの企み②
しおりを挟む
「…ありがとう。もう大丈夫」
赤みが引いた手を拭きながらつぶやいた
またヨハンと姉の元に戻らなければならないと思うと気が重い
それでも戻らないわけにはいかない
「マリエル、これを。空間魔法も付いてるから大切なものはその中にいれるといい」
渡されたのは小さな宝石の付いたネックレスだった
「それなら服の下に隠せるだろ?」
「うん…ありがとうレオン。大切にするね」
早速身に着け服の中に隠す
見つからなければ取られることもない
それがレオンが考えてくれた方法の一つだ
これまではベッド下の床板をめくってそこに隠していた
「戻ろう」
促されて重い足を動かす
そして部屋の前まで来てドアを開けようとした時、信じられない言葉が聞こえてきた
「それにしてもヨハン様は意地悪です」
「そう言うなよ。レオンの前だけだろ?」
「でも…」
姉の拗ねるような声が聞こえる
「俺がマリエルを選んだのはレオンがマリエルを気に入ってるからだって言ってあるだろう?」
「それは聞きましたけど…でもどうしてなんです?」
「俺はあいつが心底嫌いだ。だからあいつの気に入ってるマリエルを取り上げた。当然、マリエルに気持ちが向くことは無い。俺が土壇場でマリエルを捨てたとき、レオンがどんな顔をするのか楽しみで仕方ないんだよ」
その言葉に私は思わずレオンを見た
怒りに震えているのが見て取れる
「レオンは俺には逆らえない」
「どうしてですか?」
「インディペイト家は家長と跡継ぎの言葉が絶対だ。次男以降に自分の意思は必要ない。奴隷のように従うのが定めなんだよ」
ヨハンの声は楽しげだった
「レオンの望むものは全て奪う。それが俺の楽しみだ」
「悪い人」
「何とでも。とにかくそのためならマリエルを気に入ってる演技くらいいくらでもしてやるさ」
「でも、それでもやっぱり悲しいです。私の目の前でヨハン様がマリエルを褒めるなんて」
「そう言うな。ちょっとの間我慢するだけだろ?」
「もぅ…じゃぁこの間みたいな口づけ、してください。それで今日は我慢します」
「この間みたいな?…あぁ、舌を絡めるのが気に入ったのか?」
「言葉にしないでください!」
少しムキになったような姉の言葉に絶句する
「レオン」
私はレオンの服の袖をつかんでいた
「何があっても耐えてみせる。耐え抜いて…成人したら絶対独立する」
この国では18歳で成人とみなされる
18歳の誕生日を迎えたその日から、自分の意志で親の後見を外れることも出来るのだ
「婚姻は学園を卒業してからだから、その前に独立する。あの言い方ならきっと卒業直前に婚約破棄してくると思う。その時に返り討ちにするわ」
中に悟られないように小声で伝える
「…じゃぁ俺はその時に必ず迎えに行くよ。だから、その後は一緒にいてくれるか?」
「レオンが望んでくれるなら」
2人顔を見合わせて決意する
必ず自分の人生を取り戻すと
そのためならどんな屈辱も耐えて見せると誓った
赤みが引いた手を拭きながらつぶやいた
またヨハンと姉の元に戻らなければならないと思うと気が重い
それでも戻らないわけにはいかない
「マリエル、これを。空間魔法も付いてるから大切なものはその中にいれるといい」
渡されたのは小さな宝石の付いたネックレスだった
「それなら服の下に隠せるだろ?」
「うん…ありがとうレオン。大切にするね」
早速身に着け服の中に隠す
見つからなければ取られることもない
それがレオンが考えてくれた方法の一つだ
これまではベッド下の床板をめくってそこに隠していた
「戻ろう」
促されて重い足を動かす
そして部屋の前まで来てドアを開けようとした時、信じられない言葉が聞こえてきた
「それにしてもヨハン様は意地悪です」
「そう言うなよ。レオンの前だけだろ?」
「でも…」
姉の拗ねるような声が聞こえる
「俺がマリエルを選んだのはレオンがマリエルを気に入ってるからだって言ってあるだろう?」
「それは聞きましたけど…でもどうしてなんです?」
「俺はあいつが心底嫌いだ。だからあいつの気に入ってるマリエルを取り上げた。当然、マリエルに気持ちが向くことは無い。俺が土壇場でマリエルを捨てたとき、レオンがどんな顔をするのか楽しみで仕方ないんだよ」
その言葉に私は思わずレオンを見た
怒りに震えているのが見て取れる
「レオンは俺には逆らえない」
「どうしてですか?」
「インディペイト家は家長と跡継ぎの言葉が絶対だ。次男以降に自分の意思は必要ない。奴隷のように従うのが定めなんだよ」
ヨハンの声は楽しげだった
「レオンの望むものは全て奪う。それが俺の楽しみだ」
「悪い人」
「何とでも。とにかくそのためならマリエルを気に入ってる演技くらいいくらでもしてやるさ」
「でも、それでもやっぱり悲しいです。私の目の前でヨハン様がマリエルを褒めるなんて」
「そう言うな。ちょっとの間我慢するだけだろ?」
「もぅ…じゃぁこの間みたいな口づけ、してください。それで今日は我慢します」
「この間みたいな?…あぁ、舌を絡めるのが気に入ったのか?」
「言葉にしないでください!」
少しムキになったような姉の言葉に絶句する
「レオン」
私はレオンの服の袖をつかんでいた
「何があっても耐えてみせる。耐え抜いて…成人したら絶対独立する」
この国では18歳で成人とみなされる
18歳の誕生日を迎えたその日から、自分の意志で親の後見を外れることも出来るのだ
「婚姻は学園を卒業してからだから、その前に独立する。あの言い方ならきっと卒業直前に婚約破棄してくると思う。その時に返り討ちにするわ」
中に悟られないように小声で伝える
「…じゃぁ俺はその時に必ず迎えに行くよ。だから、その後は一緒にいてくれるか?」
「レオンが望んでくれるなら」
2人顔を見合わせて決意する
必ず自分の人生を取り戻すと
そのためならどんな屈辱も耐えて見せると誓った
10
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
拝啓。私を追い出した皆様へ! 化け物と噂の辺境伯に嫁がされましたが噂と違い素敵な旦那様と幸せに暮らしています。
ハーフのクロエ
恋愛
公爵家の長女のオリビアは実母が生きている時は公爵家令嬢として育ち、8歳の時、王命で王太子と婚約して12歳の時に母親が亡くなり、父親の再婚相手の愛人だった継母に使用人のように扱われていた。学園の卒業パーティーで婚約破棄され、連れ子の妹と王太子が婚約してオリビアは化け物と噂のある辺境伯に嫁がされる。噂と違い辺境伯は最強の武人で綺麗な方でオリビアは前世の日本人の記憶持ちで、その記憶と魔法を使い領地を発展させて幸せになる。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる