やがてまた愛と知る

愛早さくら

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第2章

2-1・彼と過ごす、日常①

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「ティーシャ!」

 呼ばれて振り返る。
 村の中心部にある市場。
 俺の手の中には先ほど購入した果物。
 呼びかけてきた人物はそれを見て、にこと微笑んだ。

「ルーシー!」

 呼んだ俺の声が弾む。
 だってルーシーは今日もかっこいい。
 俺より4つ年上の、少年と青年の中間ぐらいの男の人。
 俺が今12だから、ルーシーはこの間、16になったはず。
 まだ、大人というには若いけど、俺からすると十分に大きくてかっこいい。

「それ、今日のデザート? 持つよ」
「ありがと」

 ルーシーに代わりに持ってもらわなければならないほど、たくさん買ったわけではなかったのだけれど、両手が塞がっていたのは確かだから甘えてしまう。
 だって片手を空けたいし。きっとルーシーも同じ気持ち。
 その証拠に、俺の片手から果物を取ったルーシーは、空いた俺の手をそっと取って握り込んだ。
 手をつなぐ、たったそれだけのことがやたらと嬉しいのは、ルーシーがかっこよすぎるからだろうか。
 二人、手をつないで並んで歩きながら、向かうのは街はずれの小さな平屋。
 冒険者協会の集会所に近い場所にあって、俺たち二人が仮宿としている家だった。
 俺もルーシーも冒険者として日々を過ごしているから、本来決まった家はないのだけれど、今のよう、少し長く一つの街に滞在する時には、小さな家を借りたりすることがあった。
 ずっと宿に泊まり続けるより、そちらの方が安上がりだったりするからね。
 特に、俺とルーシーみたいに、一つの家を二人で借りるならなおさらのこと。

「今日の晩御飯どうする?」
「うーん、家で作ってもいいけど……」
「何か食べに行く? どっちでもいいよ」
「俺もどっちでもいいんだよね……使わなきゃいけない食材、あったかなぁ……あ、それより、なんかいい依頼あった?」

 今は昼下がり。夕食のことを聞かれて、家にあった食材を思い浮かべながら、いや、それよりもと逆にルーシーに問い返した。
 ルーシーは今日、俺と離れて一人、冒険者協会の集会所まで依頼を見に行っていたのだ。

「うーん、微妙な感じ。だから明日、もう一回確認した方がいいかもね」
「そっかぁ。明日は良いのあるといいね。俺も一緒に見に行くよ」
「うん、そうだね」

 そんな風に頷き合う。
 今日は、俺は市場に薬を卸しに行っていたから、一緒に行かなかったのだ。
 その時に少し渋っていたのは、俺を心配してくれてのことだろう。
 でも、俺だった冒険者なんだけどな、なんて思う。
 ルーシーは少し心配症なのだ。
 兄のように俺のことを、いつも心配してくれる。
 それはとっても嬉しいのだけれど、時折少しもやもやするのは何なのだろうか。
 最近俺は自分の気持ちを、どうにも持て余し気味だった。

「ティーシャ?」

 どうかした?
 尋ねられて首を横に振った。

「ううん、何にもない」
「そう? ならいいけど」

 不思議そうに首を傾げたルーシーはやっぱりかっこよくて。
 俺はやっぱり少しだけ見惚れてしまったのだった。
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