【完結】気づいたら6人の子持ちで旦那がいました。え、今7人目がお腹にいる?なにそれ聞いてません!

愛早さくら

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14・増えた子供と

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 流石にもう一度なんて求められることはなく、ようやく落ち着いて、ぐったりとしたまま俺はグローディが甲斐甲斐しく身支度を整えてくれるのに任せた。
 着せかけられた服はやはり見慣れない形をしている。
 まるで中世ヨーロッパの貴族のような、装飾過多なドレスシャツなど、女性でも着ないのではないかと思った。
 履かせられた下着は、辛うじて見覚えのあるボクサータイプで少しほっとする。
 紺色のトラウザーズにも目立った装飾はなく、しかし、お腹が大きいのを考慮してか、細身でありながらウエスト部分にはゆとりがあり、しっかりと着付けても苦しさは感じられなかった。
 そう言えば先ほどの青年も似た印象の服を着ていたように思う。昨日一緒にいた子供達も、グローディも。
 女の子たちは、ドレスのようなワンピース姿だった。
 どれもこれも、あまり目にしない形のものばかり。
 自然難しい顔になった俺に、気付いていながらグローディは何も言わず、服装を整えてからは、彼に支えられながら部屋を出た。
 長い廊下を進んで、どうやら昨夜、気付いた時にいた部屋とはまた違う部屋を目指しているらしい。
 辿り着いたのはガラス張りの広いサンルームのような場所で、子供達と先程の青年が思い思いに寛いでいる。
 否、昨日いなかった子供が一人増えている?
 2歳ぐらいだろうか。昨夜俺の膝の上にいた、一番小さい子供よりほんの少しだけ大きく見えた。ちょうど、その次に小さい子との間ぐらい。

「お待たせしました。ああ、テュリーも連れてきていたんですね」
「置いてはいけなかったんだよ」

 グローディが青年に声をかけた。テュリーはあの増えた小さい子供の名前のようだ。
 くだんの子供は、俺とグローディが部屋に入ってくるのを見たせいか、慌てたように青年に走り寄っていた。
 ひしとしがみついている。
 青年はその子供を抱き寄せて膝に乗せた。
 年少の二人が俺に気付いてか、それともグローディにか、こちらに来ようとしたところを年長の子供たちに止められている。

「お会いするのは去年以来でしょうか」
「そうだね、揃って挨拶に来てくれた時以来だと思うけど」

 グローディが俺の側から離れて、青年の側で跪いた。
 視線は青年の膝の上に乗せられてなお、しがみついたままの子供。

「お久しぶりです、スィーテュリエ殿下。私はグローディジェと申します」

 臣下の礼だった。
 青年が溜め息を吐く。子供を促すと子供はおずおずと顔を上げて、

「グローディ……にいたま?」

 なんとか聞き取れる程度の小さな声で呟いた。
 グローディがにっこりと微笑む。

「ええ、それで構いませんよ」

 わけがわからない。にいたま? 兄様か。つまり兄。兄?

「レシア様」
「あ、ああ、」

 名を呼ばれて思考が途切れた。招かれるまま、歩み寄る。
 どうするのがいいのかさっぱりわからないなりに、グローディの横辺りで身を屈め、両膝をついた。
 大きなお腹が邪魔で、跪くのは難しそうだったので。
 だが、そこまでして、この後どうすればいいのか。俺も倣って名乗るべきなのか。
 だがなんと?
 俺の名前は何と言っていたか。確か、レミュシアとか何とか。
 そもそも、この美しい青年のことさえ俺は知らない。
 この子供を殿下と呼んでいた。殿下ということは、この子供は王族だとかそいう立場にあるということだろうか。では、青年は? それに、グローディを、兄と?

「こちらはレミュシア。私の伴侶です。私も一緒に去年一度お会いしているのですが、覚えてらっしゃらないですよね」

 グローディの言葉に、子供が頷く。去年ならばきっとこの子供はほんの赤子のようなものだったことだろう。ならば、覚えていなくとも仕方がない。

「どうぞ、これからよろしくお願い致します」

 礼儀正しく、努めて柔らかく語りかけるグローディに、子供は徐々に警戒を解いていっているようだった。
 俺はわけが分からないまま、それを間近で見ているしかなく。

「あ~~……さっきは急に悪かったよ」

 そんなばつの悪そうな青年の言葉に、ようやくそちらへと顔を向けた。
 これほどの近くで見ると圧倒される。改めて見ても、銀の髪と透き通った水色の瞳が眩しい、輝かんばかりの美貌の青年だった。
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