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*22・離れたはずなのに夢に見る
しおりを挟む『ソーマ』
白く、艶めかしい体が揺れる。俺の上で、腰をくねらせて。
それはひどく淫靡で色気にあふれていて、俺の股間を熱く滾らせた。
『アーディ』
俺は導かれるままに白い体へと手を伸ばして、そして。
『ぁあっ!』
体を仰け反らせて快感を享受する瑞々しい肢体を揺さぶる。腰から駆け上がる性感に逆らわず、上り詰め、そして。
「くっ、うぅ……」
ドクン、ドクン、包み込むような気持ちのいい体内へと熱を吐き出した。
……――ところで、目を覚ました。
はっと、置き上がる。ぬる、下肢に感じた気持ちの悪い濡れた感触に溜め息を吐いた。
また、だ。
ここしばらく、こんなことばかりだった。
ほとんど毎晩のように、寝入りと同時に夢の中、一度だけ触れたあの白い肢体を揺さぶっている。
夢の中のアーディは美しく、いやらしく。いつかの夜と全く同じ顔で俺を見て、うっとりと目を潤ませて。否、本当は覚えていないのだ。
だってあの夜は本当に気持ちよくて、ただ夢中で。我を忘れ、アーディを、貪ってしまったのは覚えている。代わりに詳細はちっとも記憶になかった。
腰が溶けるかと思うほどの気持ちよさしか、本当に全く覚えていなかった。否、違う、もう一つ覚えていることがあった。それはアーディの美しさだ。
キレイで、キレイで可愛くて。そしてやっぱり気持ちよかったのだった。
しかし、だからと言って。それをこうも頻繁に夢に見るだなんて。まるですでに俺自身が彼に捕らわれて、心ごと絡め取られているかのようだ。
それはどう考えてもよくはない。よくはないのに。
はぁと、深く、俺はもう一つ溜め息を吐いて、しぶしぶのろのろと寝台から降りた。ぬるついて気持ちの悪い下着を取り換えなくてはならない。ついでに一度吐き出したはずなのにもかかわらず、硬く兆し始めている自分の分身のことも慰めなければ。
なのに擦って出す、たったそれだけを思っても、どうにも気が重くて仕方なかった。
なにせそこを握ると、どうしても、たった一度きりの気持ちよさを、思い出さずにはいられないのだから。
ナウラティスの王宮を出て二週間。基本的になかなかポータルを使用できない俺は、一番近い国境を目指し、国を出た。なので実はナウラティスの国を出てからは、まだほんの数日しか経っていない。
なにせ彼の国は広大で、国内の移動だけでも、それなりの日数が必要となった為だった。
はじめは、まだ国から出ていないからではないかと思った。あんな夢を見る理由だ。だけど、国境を出ても状況は変わらず、俺はほとんど毎日アーディを夢に見て、そして。
「うっ……くっ、ぅ、ぁーでぃっ……んっ」
兆し始めていた俺自身を握って擦って熱を吐いた。その瞬間、やはり俺の脳裏によみがえったのは、たった一度だけ触れたアーディの艶めかしさなのだった。
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