異世界から来た黒騎士は、大国の皇帝に望まれる

愛早さくら

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*46・護衛依頼⑧

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 昨日だって。

『あっ、あっ、ソーマぁっ! いい! いいよぉっ! あぁんっ!』

 俺の上で腰を振り、喉を仰け反らせていたアーディはあでやかで、そしてどこまでも俺を求めてくれていた。
 なまめかしい濡れた真っ白な姿態や、蕩けた眼差し。
 熱く、俺を包み込んでくる体内。
 そこに腰を打ち付ける度に広がった快感。

『ソーマぁ!』

 俺を呼び、縋る腕だとか。
 そんな全部に堪らなく興奮して、愛しくて、それで……――なんてことなんかをうっかり色々と思い出してしまい、つい股間が反応しそうになって焦った。
 いけないいけない。
 今は護衛依頼を受けていて、この商団の護衛をしているのだ。
 いくらアーディが結界を張ってあるからと言って、油断していいはずがない。

「ソーマ?」

 隣でぶるぶると首を横に振ったりしていたからだろう、きょとんと首を傾げたアーディの問いかける声にまで反応してしまう。
 だって、この声が、昨日、俺を。
 ああ、俺はなんでこんなことばかり。

「どうかした? 体調が悪いとか……」
「いや、なんでもない」

 余程に俺の様子がおかしくなってしまっていたのか、心配そうにアーディに訊ねられ、俺は今度は否定の為に首を横に振った。
 ただ、そう。

「ただ、アーディの横顔がキレイで」

 見惚れてしまっていただけ。
 ポロ、思わずそのまま口からこぼれ出た心情に、はっと気づいたのは、

「えっ?」

 アーディの顔がぱっと赤く染まったから。

「え、あ、いや、今のは……う、そ、とか、でも、ない、けど……」

 咄嗟に否定しそうになってやめた。
 アーディに嘘はつきたくない。彼にはいつも誠実でありたい。
 どうしてか俺はそう思って。
 自分の頬が赤くなっているのがわかる。
 なんだこれ恥ずかしい。

「えっと……あの、その……ありが、とう……」

 小さな消え入りそうな声でアーディがもごと礼を紡ぐ。
 珍しい、照れたような顔がやっぱりかわいい、そう思った。
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