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01-1・現状の把握を試みる
しおりを挟む「ルニア様、本当に大丈夫ですか?」
シェラから、大変に気遣わしげにそう確かめられて、俺は努めていつも通りの表情を心掛けて微笑む。
「心配をかけてごめんね、少し、おかしな夢を見て、それで……」
混乱してしまったのだ、なんて、気弱そうな表情を作った。
俺らしくなさ過ぎて、何とも居心地が悪くなるのだが、これこそがいつも通り。
ルニアとしての今までを思い返すと、これであっているはずだ。
現にシェラは、どこかほっと安堵したような様子を見せて、
「そうですか? でしたら、宜しいのですが……」
などと、そこまで食い下がらずに引き下がる。まだ気になってはいるようだが、これ以上しつこく問いかけてきたりなどせずにいれくれるらしい。とは言え、侍従という立場を考えると当たり前と言えば当たり前なのだが。剰え、
「ま、とってもおかしな夢を見て、混乱することってありますものね」
なんて、賛同する為か、自分に言い聞かせているのかそんな風にまで言ってくれて、俺はやはり柔く微笑んだ。
「ね。たまにあるよね。本当に……心配させてしまってごめんね」
「いいえ! どうぞお気になさらないでください。大事ないようでしたらよかったです」
俺の適当な相槌と重ねての謝罪にも、にこっと可愛らしく笑いかけてくれるシェラは、その年よりも幼く見える見た目も相俟って、まるで天使か何かのように神々しかった。
(あ~~~~、かんわいぃ~~~! 神ぃ~~!)
内心で悶えながら、ルニアらしい表情を崩さないようにだけ気を付ける。
少し前、頓狂な俺の悲鳴を目の当たりにしたシェラは、当然ながら慌てたように俺を気遣った。
『ルニア様っ?! いったいどうなさったのですっ?! 主人公? 何をおっしゃって……』
血相を変えて駆け寄ってくるシェラに、はっと我に返った俺も、シェラ以上に慌てて取り繕った。
『な、ななな、な、なんでもないっ! す、すまない、おかしな発言をして……少し、あの……』
そうして俺の様子をひとしきり注意深く窺った後にシェラは、ようやく小さく頷いて、そんな風にしての今だった。
ああ、こんなにかわいい子に心配をかけてしまった、と罪悪感がしくしくと疼く。
シェラは、僕が一番信頼を寄せている侍従なのに、と。
「落ち着かれたようでしたら、さぁ、身支度を整えてしまいましょう。それとも、今日はこのままもう少しお休みになりますか? お体がお辛いようでしたら、ご無理はなさらなくて構わないともお伝えするよう申し付けられております。今は特に御身、大事にして頂きませんと」
気を取り直したように確かめてくるシェラに、俺はやはり努めていつも通りの表情を浮かべて力なく微笑んだ。
「起きるよ。心配性だなぁ。そんな、辛いなんてことは……」
言いながら改めて自分の状態を意識してみて、ほんの少しだけ固まった。
動くのが辛い、だとかいうわけではない、それほどまでではないのだが、しかし。
(全身が、ちょっと……怠い……?)
間違っても好調とは言い難かったである。
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