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02-4
しおりを挟むざっと血の気が引いていく気がする。
何故なのかまではわからない。
「えっ、なんで……」
なんで。
どうしてわかったのか。前世なんて言葉が、なぜ出てくるのだろう。
俺は『夢』と言ったし、それはシェラも同じで、やはり『夢』としか言っていないはずだ。
それをどうして、『前世』と。
信じられないと固まった俺は、余程悲惨な顔をしていたのか、今度はラティが気遣わしげに、だけど不思議そうに首を傾げた。
そして俺の混乱がわからないとばかりに戸惑う。
「なんでって……」
次いできゅっと眉根を寄せた。
それでもどこまでも心配そうな様子でしかなく、ごく当たり前のことを告げるかのように口を開いていく。
「だって、突然前触れもなく様子が……とりわけ、人格や性格が変わってしまったように見えるだなんて、そんなの、前世を思い出したというのが一番可能性が高いじゃないか。そういうことも覚えていない? でも、記憶が全くないというわけでもないよね?」
いつも通りを装うとしていたようには見えたし、なら、いつも通りがわかっていたはずだ。
だから、記憶はあるのだろうと思ったのだけれど。
と、全く持って俺の今の状況をぴったり当てて見せたラティに、俺はますます目を見開き、そして……――『覚えていないのか』という言葉に、始めて思い出すことが出来た。
「あっ……」
ああ。
何のことはない。
(そ、そうだった、この世界、前世を思い出すとか結構あることなんだった……)
珍しくはないとまでは言わないが、それなりにあり得るのである。
具体的に言うと、だいたい100人か1000人ぐらいに1人の割合で、前世を覚えていたり、突然思い出したりする者が存在している。
分母が100人と1000人では随分違うが、それは地域差などがある為だ。
前世を覚えていたり、思い出したりする者の特徴として、首都などの都市部に集まりがちな傾向があるので、どうしても都市部では多く、農村部では少なくなるのである。
おそらくは都市部の方が過ごしやすいから。
生まれつき覚えていたり、突然思い出したり、それは人によって様々ではあるようなのだが、いずれにせよ、そういう、前世の記憶を持つ者……――一般にこの辺りでは覚醒者や回顧者、などと呼ばれることが多いのだが、そういった者は周囲に馴染めなくなってしまうことが多かった。
それはそもそもの人口が少ない農村部などになるとより顕著で、異端として居づらくなってしまい、居場所を求めて都市部へと流れてくるのである。
都市部なら少なくとも他よりは、そういった者も受け入れやすい土壌となっていることが多いためだ。
そういった事情から地域によって割合は変わってくるものの、それなりに存在しているのが、覚醒者であり、また、誰であっても突然そうなる可能性があるのが『前世を思い出す』という現象だった。
加えて記憶が混乱したり、失くしてしまったりすることも発生し、誰が罹ってもおかしくはない不治の病のように捉えられている。
一度蘇った前世の記憶は、多くの場合無くなることはなく、人格にも影響を与えてしまう場合があるが故に。――……例えば、今の俺のように。
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