【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

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03-1・テンパった結果

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 俺がラティから距離を取ろうとした、その瞬間、目の前にいるラティの雰囲気が一気に恐ろしくなったように感じられて、俺は固まった。

(えっ、何これ怖いっ……!)

 ラティは怒っているというような表情をしているわけではない。
 むしろ俺を気遣わしげに見ていた、その表情自体は何も変わっていなかった。
 にもかかわらず、はっきりと気分を害しただろうことがわかる。

(な、なんでっ?!)

 俺は混乱した。
 なんだか泣きたい気分になる。

「えっ、いや、あのっ、そのっ……! えっとっ……!」

 何かを、言わなければ、思うのに、何を言えばいいのかがわからない。
 ラティが小さく首を傾げた。

「ルニア? 本当にどうしたんだい? そんな風に距離を取ろうとなんてして……寂しいじゃないか」

 ついで浮かべられた切なそうな表情に、胸がぎゅっと痛んだ。でも。

「あの、その、俺っ! さ、さっきラティ様が、おっしゃられたよう、に、前世を思い出して! それでっ……!」

 だから。

「うん。わかっているよ。そうだろうと思った。でも記憶はあるんだろう? なら、何も問題ないじゃないだろう?」

 あわあわと必死に言葉を紡いだ俺に、にこと微笑んでそう言いながら、俺を改めて引き寄せようとするラティに、俺は必死で抗った。
 否、抗おうとした。
 けど、出来たのは手を突っぱねることぐらい、依然としてラティの顔は近く、俺はともすれば見惚れてしまいそうになる。
 その度に、

(ダメだダメだダメだダメだっ! うっとりしてる場合じゃないっ! だって俺はっ!)

 俺はっ!
 俺はもう間違いなくパニックを起こしていた。
 泣きたい気持ちで何もかもよくわからないまま口を開く。
 自分がいったい何を言っているのかすら上手く認識せずに。

「おおお、俺っ! ぜ、前世でっ! 小説! この世界に似てて! それで俺、前世からラティ様のこと、好きでっ! それでっ!」
「うん、ありがとう、嬉しいよ。私も君のことが、」
「違くて!」
「うん?」

 多分、俺のことが。
 すすすす、好き、だとか、あ、愛してる、だとか。そんな感じのことを言おうとしたのだろうラティの言葉を遮る。
 言われるわけにはいかない。
 強くそう思ったからだった。
 だって、聞いてしまえば俺はきっと抗えない。
 今だってもういっぱいいっぱいだ。
 わけがわからないまま、駄目だ、そう思わずにはいられなくて。
 だって俺は。
 前世で、とても好きだったんだ。
 この世界に似た世界が舞台の学園モノ異世界BL小説。
 要素が多すぎてなんだかよくわからないが、とにかく俺は好きだった。
 『世界は愛で救われる』だとかなんだとかよくわからないタイトルだった、はず!
 それが好きで。だから。
 俺は一息に捲くし立てた。
 何がなんだかよくわからないままに。
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