【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

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 でも、寂しい、だとか。
 そんなこと、とても素直には言えなくて。
 そしてラティはそういう言葉を、俺から必ず引きだそうだとか、そんなことはしないのだ。
 それどころか、

「ああ、大丈夫だよ、ルニア。その可愛い様子だけでわかる。無理はしなくていい。それよりも私にとってはやっぱり、ルニアの方から申し出てくれた。その事実だけで充分なのだから」

 などと言って、どこまでも俺の口にすら出していない意図を汲んで、甘やかして・・・・・くる始末。
 それは完璧に、今まで通り、ただひたすらルニアに甘いばかりのラティの姿に他ならなかった。
 ラティは、変わらない・・・・・
 思うと、ぎゅっと胸が締め付けられるように感じられる。
 なんだか泣きたい気持ちになりながら、俺はただ頷いた。
 そんな俺に、ラティが何度目か苦笑した気配。そして。

「ルニア」

 カタン、僅か椅子を引いた音がしたかと思うと、ラティは静かに俺のすぐ隣にまでテーブルを回り込んできて。
 俺の名を口にしたのとほとんど同時、俺の手をそっと取った。
 導かれるように、ラティへと顔を巡らせた俺に、思った以上に近くにいたラティがにっこりを笑いかけてくる。

「……寝室へ行こうか」

 それははっきりとした夜の誘い。
 夕食の後、お茶を飲み終わったばかりだった。
 まだ寝支度は全く終わらせられていない。
 湯も使わなければならないし、当然、いくら部屋から出ないからと言って、寝間着で過ごしているわけがないから、身に纏っているのは、ある程度簡素ないつもの普段着。
 それに何よりも時間が早い。
 いくらこの後はお互い、それこそ寝支度をするぐらいしか、何かをする予定がないとはいえ、今から? この後すぐに?
 なんて考えると、急ぎ過ぎではないかとしか思えなくて、でも。

「う、うん……」

 気付くと俺は頷いて、ラティが、ごくごく自然な動作でエスコートしてくれるのに従い、まるで操られているかのように、ふらふらとラティに手を引かれ、立ち上がり、歩いて、寝室へと向かってしまっていたのだった。
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