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しおりを挟む今日、ここで過ごすことにしたのだって、言ってしまえばただの気まぐれで、だけど俺の、こんな程度の気まぐれなら誰に咎められるようなものでもない。
当然、シェラを含めた侍従の中に、不満を抱えるような者もいなかった。
腰かけるとほとんど同時、すかさず用意されたお茶とさり気なく差し出された本をありがたく受け取って、ふぅとなんとなく、小さく息を吐きながら静かに本をめくりはじめる。
相変わらず中身は、主に男性同士を主体とした恋愛小説。
子供を成すのに男女の別がない世界だけあって、一口に大衆向けの恋愛小説と言ってしまうと、性別が混在しがちな中にあって、主な登場人物が男性に偏っているように思える物を敢えて選んで読んでいた。
何故ならそんなもの、俺からするとただのBLだからである。
俺の代わりに本を見繕ってくれることの多い侍従たちも、その辺りは理解した上で選んでくれていて、期待外れだったというようなこともない。
面白いのは、ここ数ヶ月、暇にあかせて結構な数の本を読んだのだが、前世でも読んだことのあるようなないような話がそれなりの割合で存在していることだろう。
例えばよく見かける婚約破棄ものとかそういったものだ。
ただし、そう言った物の中には実話が混じっていたりする。
何故なら実際に起こり得る世界だからだ。……――ランティエイザ王国で、と限定するとそんなものは此処数十年起こったりしていないようだけれども。
いずれにせよ、楽しく読めるものであることは間違いがない。
(なんか俺、いっそ前世よりBL充しているような気がするよな~)
しかも一番の推しとも言える存在が自分の旦那だ。
ある意味理想の状況なのではないかとさえ思う。
(いや、でもでも、俺は別に物語の登場人物になりたかったわけではないし……)
推しなんて、見るだけで充分なのだ。
だって近くにいられるとそれだけで心臓が持たない。
(いや、ほんと、俺今の状況よく受け入れてるよ)
改めて思うと、そんな風な思考にもなった。
脳内で取りとめもなくそんな、いろんなことを考えながら本をめくって文字を追う。
俺はすぐにも物語の中へと引き込まれていった。
(あ~、この受けちゃん、素直になれないとこがかわい~……喧嘩っぷるかな? これはこれでよき……)
今読んでいたのは両片想いだとかすれ違いだとかそんな話で、彼らの職業は騎士らしく、そこに魔物討伐だとか命の危機だとかが含まれる、恋愛だけに留まらない話でそこそこ読み応えのある物だった。
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