【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

文字の大きさ
121 / 141

31-4

しおりを挟む

 だからこそ、なのだと思う。
 シェラに……会いたくなかった。
 シェラが近くにいると知覚してしまうとおそらくダメだ。
 逆に目に入る所にいない、ただそれだけでわけのわからない不安に襲われてしまう。
 だけどシェラの存在が感じられない場合、それはそれで今のように思考を自由に遊ばせることが可能だった。
 おかしな不安に支配されることもない。
 シェラがカギだとは思うのだが、だからと言ってなぜこんな風になっているのか、だとかそんなことはわからない。
 ただわかるのは自分の情緒がどうしようもないほど不安定であるようだという事実だけで。

(いっそ暇を出すか)

 今の状態なら問題とはならないだろう。
 むしろ、その方がいいようにすら思える。
 ラティに言えばいい。
 それだけですぐにも可能だろう。
 だけどそもそもシェラは俺の為に仕事を辞めて、特に希望してもいなかった侍従などになってくれているのである。
 なのに、今度は突然、暇を出すだなんて。
 暇を出すということは事実上の解雇だ。
 よしんばそこまでには至らなくとも、強制的に休暇を取らせることに違いはないし、配置換え程度で王宮では雇用し続けるとしてもあまり大きな違いはないだろう。
 そもそもそうなると、シェラの今の状態では再教育は必須で、シェラの意思ならともかく、そうではないことで苦労を掛けること自体気が引ける。
 あるいは、今は王宮内の宿舎で暮らしているシェラに暇を摂らせるとなると王宮から出すこととなり、そうなると今度はあの原因となった男の問題も出てくるのだ。
 男は王宮どころか王都にも出入り禁止となっているが、あくまでもそれだけ。
 シェラが王都から出てしまうようなことがあれば意味がない。
 そう言った場合、なら護衛を付ければいいとなるかもしれないが、暇を出した元侍従が対象となると、今度はそれはそれで流石に、短期間ならまだしも長期間となると難しかった。
 元々のきっかけからして、そんな諸々の事情を考えての侍従としての雇用で、だからこそルニアは安心していたとも言えるのだ。
 にもかかわらず、今更、シェラを遠ざけるとなると、それではあんまりにシェラを振り回し過ぎというものだろう。
 俺は俺だけの事情で、そこまで自分勝手には慣れなかった。だけど。

(じゃあ、どうすればいい? 距離を取った方がいいのは間違いないんだ。何か、せめて理由があれば……)

 このまま一人で考えていても、いい方法など思い浮かぶわけがない。
 前世と違って今の俺は、能力という意味においては決して低くはないとは思う。
 少なくとも勉強面や記憶力など、そう言った意味で誰かに咎められた覚えはない。
 だが、ならば優秀なのかと言えば到底そうとも言い切れなくって、現に今こうして、何も思い浮かばないという程度には、発想力に乏しいのは間違いなかった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!

華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...