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第1章
1-65・転変。および希求⑦
しおりを挟むラーヴィ様とヴィーフェ様のお二人はナウラティスの方だ。つまり、このニアディスレ王国からすると他国の方となる。
今は表向き他国へ嫁いだ俺の補佐、あるいは最終的な教育のために、実際はあまりにもボロボロな王宮の現状を改善するためにここまで来てくれているが、それも勿論、期間は限られていて、最大で半年と、初めから決められていた。
それもナウラティスを出てから帰国するまでを半年と想定しているそうなので、移動時間を考えると、実質ニアディスレにいる期間としては4ケ月ほどとなる。
それはつまり婚姻式を終えても2ヶ月は滞在してくれるということではあるのだが、とは言えいずれにせよ長い期間というわけではない。
つまり結局は客分、外部指導員。他国の者である事実は揺るがず、本来ならば助言はしても、実際に何かを差配するというような立場にはなかった。
にもかかわらず宰相はその裁量権を彼らに与えてしまったのである。
これはともすれば国をまるまま彼らに渡したにも等しく、良識的に考えると到底あり得ないことだった。
いくら国力差があり、ナウラティス王族になど逆らえる者がいないとしても、それらはあまりに非常識だった。
そもそも、ナウラティス王族は国の特殊性からしても、自らの持つ強権を行使しない者達である。逆に言うと、そうでなければ王族を名乗れなかった。にもかかわらずそのような状況になったとすると、必ず相手から求められて、以外にあり得なかった。
それらは周辺国であるならばどこの国でも把握していることで、時折それによりナウラティス王族が軽んじられることさえあるほどだった。勿論、そうして軽んじた国の末路など、口に出すまでもないこととなるのだが。
なお、ナウラティス王族が強権を発動しないのはあくまでも彼ら個人の資質によるもので、他国への配慮などでは一切ない。何故ならナウラティスはどのようなことも自国だけで完結可能であり、例えば周辺国すべてを敵に回したとしても、遠く離れた地にある強国の力でも借りない限り、ナウラティスには敵わないからだ。だが、ナウラティスに敵う可能性がある強国は遠く離れた地にしかなく、そこからの助力など到底望めない。すなわちどう控えめに考えても到底現実的ではないということ。
ナウラティスの強大さというのは、それほどまでに周辺国と差があった。
それでも、他国の裁量権などナウラティスは全く求めていない。ゆえに今回の宰相の決定には呆れかえるばかりだった。
俺でさえそうだったのだから、お二人の心情はいかばかりであったことだろう。
もっとも、請われた以上は可能な限り尽力するつもりではいてくれているのだろうけれど。
ただし、格段にやりやすくなったのは確かである。むしろそうでもしなければ彼らがいてくれている間になんとか形を整えることさえ難しかったかもしれない。
当然宰相としても、それら諸々を含めての判断だったとは思う。たとえそれが実質、国を売り払ったに等しい決断だったとしても。そうするより他ないのは間違いようもない事実だった。
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